東京都国立市における地域猫活動

📰2010年10月27日 東京新聞より
 飼い主のいない猫を地域で見守る「地域猫」活動が、国立市で本格的に始まって十年になる。えさやりやトイレ作りの世話をし、同時に不妊・去勢手術をして野良猫を増やさない取り組みは、猫をめぐる苦情の減少など成果を挙げている。
 地域猫活動は市内約十カ所で行われている。各地域のボランティアが、時間と場所を決めて猫にえさをやったり、土を入れたプランターなどのトイレを設けたりして、それぞれ2~10匹の世話をする。猫は、ボランティアらによって不妊・去勢の手術済み。新たに捨てられた猫を見かけた場合、市の環境保全課に情報を寄せるよう地域住民に呼び掛けている。
 活動の中心となっているボランティアグループ「猫のゆりかご」代表の後藤由美子さん(53)は「野良猫が増えて人間とトラブルになるのを防ぐのが目的。住民、ボランティア、行政の協力がなければ、地域猫活動はうまくいきません」と説明する。
 活動によって「ふん尿が迷惑」「ごみを荒らす」「えさが置きっぱなしになって汚い」などの苦情も減ってきた。2008年度は32件の苦情が市に寄せられたが本年度は9月までで5件にとどまっている。野良猫の数もかつては30匹ほどがいた地域もあったが現在はそれほど多い地域はない。
 後藤さんは「猫が好きな人にも嫌いな人にも、地域に猫がいていいと認めてもらえるのが地域猫。そういう地域がさらに増えれば」と期待する。