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アメリカンボブテイルに多い病気~原因・遺伝性から検査・治療法まで

 アメリカンボブテイルがかかりやすい病気を原因、遺伝性、検査法、治療法などに分けて一覧リストでご紹介します。なお出典データには海外のものも含まれているため日本に暮らしている猫には必ずしも当てはまらないことがあります。

マンクス症候群(?)

 マンクス症候群とは脊椎(背骨)の奇形や脊髄の不全によって引き起こされる様々な障害のこと。具体的な障害は仙骨の無形成や異形成、仙髄(脊髄の下の方)の欠損、脊髄破裂、繋留脊髄、硬膜内脂肪腫、鎖肛(肛門の欠落)、後肢の麻痺や不全麻痺、失禁や排便障害などです。根本的な治療法はありませんので、猫も飼い主も障害と付き合いながら暮らしていくことになります。

疾患遺伝子T-box

 2013年、北米にある複数の大学からなる共同チームは短い尻尾で知られるマンクス136頭、アメリカンボブテイル21頭(1頭だけはしっぽの長さが通常)、ジャパニーズボブテイル14頭、ピクシーボブ15頭、クリリアンボブテイル10頭を対象とした大規模な遺伝子調査を行い、短尾を形成する遺伝子が一体どこにあるのかを検証しました(→出典)。その結果、短尾を持っていたアメリカンボブテイル20頭のうち60%に相当する12頭において、マンクスと同じ「T-box遺伝子」の変異(c.998delT)が見られたといいます。
 T-box遺伝子の変異は「ブラキウリ」(Brachyury)と呼ばれる転写因子の機能不全を招き、短尾のほか神経系の障害や脊椎の奇形を引き起こすことが知られています。「マンクス症候群」とも呼ばれるこの疾患はT-box遺伝子の変異を抱えたすべての猫において発症しうるものですので、アメリカンボブテイルも例外ではありません。