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猫の副鼻腔炎~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の副鼻腔炎(ふくびくうえん)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の副鼻腔炎の病態と症状

 猫の副鼻腔炎とは、鼻の奥にある空洞、「副鼻腔」内に炎症が発生した状態です。猫の副鼻腔には、鼻腔の上に位置する「前頭洞」(ぜんとうどう)と、鼻腔の奥に位置する「蝶形骨洞」(ちょうけいこつどう)の2つがあります。猫の鼻腔の断面図  副鼻腔の一部は鼻腔とつながっているため、鼻腔内に炎症があると、小さな穴を伝って副鼻腔内に侵入してしまうことがあります。鼻腔と副鼻腔の炎症は併発することが多いため、「鼻副鼻腔炎」(びふくびくうえん)と合体させて呼ばれることもしばしばです。ちなみに炎症の結果として副鼻腔内に膿(うみ)がたまった状態は蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれます。
 猫の副鼻腔炎の症状としては以下のようなものが挙げられます。
副鼻腔炎の主症状
  • さらさら~ねばねばの鼻水
  • くしゃみ
  • 鼻が詰まって呼吸が荒くなる
  • 鼻筋が盛り上がる
  • 結膜炎鼻炎の併発
  • 鼻や顔を気にするそぶりを見せる

猫の副鼻腔炎の原因

 猫の副鼻腔炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
副鼻腔炎の主な原因
  • 鼻腔からの波及 鼻腔内に鼻炎が発生していると、隣接している副鼻腔内にまで炎症が波及してしまうことがあります。副鼻腔炎の大部分はこのパターンです。
  • 上顎からの波及 猫の副鼻腔には、額に近い場所にある「前頭洞」(ぜんとうどう)と、奥歯に近い場所にある「蝶形骨洞」(ちょうけいこつどう)の2つがあります。このうち特に「蝶形骨洞」の方は、上顎に発生した炎症の影響を受けることがあります。具体的には歯周病です。

猫の副鼻腔炎の治療

 猫の副鼻腔炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
副鼻腔炎の主な治療法
  • 基礎疾患の治療  別の疾病によって副鼻腔炎が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。鼻炎が原因の場合は抗生物質や抗真菌薬の投与、また歯周病が原因の場合はそちらの治療が優先されます。
  • ネブライザー  症状が重く、猫が呼吸困難を示しているような場合は、取り急ぎネブライザーと呼ばれる吸入器を用い、鼻やのどに薬剤を噴霧して炎症を抑えます。
  • 外科手術  副鼻腔に膿がたまる「蓄膿症」を発症している場合は、チューブなどを用いてたまった膿を洗い流します。