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猫の日光皮膚炎~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の日光皮膚炎(にっこうひふえん)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の日光皮膚炎の病態と症状

 猫の日光皮膚炎とは、日光に当たることで皮膚が炎症を起こした状態を言います。
 好発部位は、耳の先端(特に裏側)、まぶたの下、鼻の表面、唇など、被毛がまばらで、なおかつ直射日光を受けやすい場所です。被毛は紫外線を通しやすい白っぽい色の方が危険とされます。初期症状は軽度の赤みとフケ程度ですが、進行するとまっかっかに腫れ上がり、猫自身がひっかくことによって脱毛や皮膚の硬化が見られるようになります。この皮膚炎を放置すると、皮膚の角質層が異常に増殖する「光線性角化症」から「扁平上皮ガン」へと進行することもありますので要注意です。 猫の日光皮膚炎の好発部位と典型的な症状  猫の日光皮膚炎の症状としては以下のようなものが挙げられます。
日光皮膚炎の主症状
  • 鼻先が赤くなる
  • 脱毛(耳・目・口)
  • 脱毛部の潰瘍

猫の日光皮膚炎の原因

 猫の日光皮膚炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
日光皮膚炎の主な原因
  • 紫外線  白猫や色素の薄い被毛を持った猫に多発することから、日光に含まれる紫外線が影響しているものと考えられています。特に青い目の白猫に多発するようですが、三毛猫やブチ猫でも耳などの白い部分だけに発症することがあります。

猫の日光皮膚炎の治療

 猫の日光皮膚炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
日光皮膚炎の主な治療法
  • 紫外線への露出を避ける  皮膚炎の原因と思われる紫外線との接触をなるべく避けます。放し飼いにしている場合は完全室内飼いに切り替えるなどして猫を日光から遠ざけます。また室内のガラスがUVカット仕様になっていない場合は、日向ぼっこする時間も制限しなければなりません。
  • 日焼け止め 危険部位に日焼け止めを塗ることで可能な限り紫外線の影響を減らします。この際、「グルーミングを通して口に入れる」ということを想定し、安全性が高いものを選定するようにします。なお、日光の当たりやすい部位をマジックで黒く塗るという方法はあまりお勧めできません。また紫外線防護服(キャットウェア)のようなものは、最も危険な顔面の露出部分を放置しているため、あまり意味がありません。
  • 外科手術  炎症部分がガン化してしまった場合は、外科手術によって患部を切除します。詳しくは扁平上皮ガンをご参照ください。