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猫の肉芽種~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の肉芽種(にくがしゅ)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の肉芽種の病態と症状

 猫の肉芽腫(にくがしゅ, にくげしゅ)とは、白血球の一種である「好酸球」の集合を特徴とする皮膚病変の総称です。「好酸球肉芽腫症候群」(EGC)とも呼ばれます。
 好酸球肉芽腫症候群は、「好酸球性プラーク」、「好酸球性肉芽腫」、「無痛性潰瘍」という3つの異なる病態から構成されています。全てに共通しているのは、「自然発生して急速に進行すること」、「季節性を示すことがあること」、そして「改善と悪化を繰り返すこと」です。
好酸球肉芽腫症候群3タイプ
  • 好酸球性プラーク猫の皮膚上に出来た好酸球性プラーク プラークは、日本語では「局面形成」と訳され、脱毛と潰瘍を伴う境界線が明確な隆起性病変のことを意味しています。好発年齢は2~6歳で、一般に強いかゆみを伴います。好発部位は舌、口蓋弓、口蓋、鼠径部(太ももの付け根)、会陰部(しっぽの下の領域)、太ももの側面、腋の下などで、症状は脱毛、紅斑、びらん(上皮への浅い浸食)、潰瘍(上皮以下への深い侵入)などです。
  • 好酸球性肉芽腫猫の後肢尾側に出来た好酸球性肉芽腫(線状肉芽腫) 好酸球性肉芽腫は、潰瘍が直線状に出現した状態を指します。病変部は白~黄色のコラーゲン変性を示し、好発部位は唇、顎先、肉球、舌、口蓋弓、口蓋などです。太ももの裏側に出現したものは、特に「線状肉芽腫」とも呼ばれます。
  • 無痛性潰瘍猫の口先に出来た無痛性潰瘍 無痛性潰瘍では、隆起した硬い潰瘍が上唇の先端にできます。病変は片側だけのこともあれば両側のこともあり、また「無痛」と言いつつ痛みを伴うこともあるなど、あまり安定していません。メス猫に多いとされます。

猫の肉芽種の原因

 猫の肉芽種の原因は今のところ不明ですが、以下のような可能性が指摘されています。
肉芽種の主な原因
  • アレルギー(?) 病変部で多く発見される好酸球は、I型アレルギーを引き起こす肥満細胞由来の化学物質によって活性化されます。ですから、肉芽腫の基礎には何らかのアレルギーがあるのではないかと推測されています。また、病変に季節性があることもこの説を裏付けています。
  • 不明 好酸球肉芽腫症候群は、基本的に全てのタイプにおいて原因不明です。

猫の肉芽種の治療

 猫の肉芽種の治療法としては、主に以下のようなものがありますが、根治が困難な病気の一つです。
肉芽種の主な治療法
  • コルチコステロイド 抗炎症作用を持つコルチコステロイドが投与されます。どのタイプにおいてもある程度の改善が見られます。
  • アレルゲンの特定 この病気は基本的に原因不明ですが、「アレルギーの一種である」という仮定に基づき、アレルゲンの特定に努めることも有効です。アレルギーを引き起こす犯人として怪しいのは、ノミ食品などです。
  • 病変部の切除 病変部が隆起して生活に支障をきたしているような場合は、外科的に切除したり炭酸ガスレーザーで除去したりします。