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猫の虫歯

 猫の虫歯(むしば)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。

猫の虫歯の病態と症状

 猫の虫歯とは、口の中で細菌が繁殖し、産生した酸などで歯が削られてしまった状態のことです。「虫歯」とは口語表現で、正式名称は「齲蝕」(うしょく)と言います。
 虫歯はまず歯垢(しこう, 細菌の塊)が歯の表面に付着することから始まります。歯垢の中にいる細菌は食事中に含まれる炭水化物(主にショ糖)からエネルギーを作り出し、その代謝産物として酸を放出します。通常であればこの酸は唾液によって中和されますが、歯垢という保護テントの中で産生された酸は唾液との接触が起こらず、そのまま歯の表面に付着してしまいます。この酸の働きによって歯の表面のエナメル質が侵食され、次いでその下にあるゾウゲ質が食い破られます。最終的には神経や血管の詰まった歯髄(しずい)にまで達し、痛みを引き起こすという訳です。 猫の歯の断面図  猫の虫歯の症状としては以下のようなものが挙げられます。
猫の虫歯の主症状
  • 息が臭くなる
  • 歯の変色
  • 歯に穴が空く
  • 食べるのが遅くなる
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猫の虫歯の原因

 猫の虫歯の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
猫の虫歯の主な原因
  • よくない食事  人間同様、歯の隙間に挟まりやすいやわらかいものばかり食べていたり、虫歯菌の栄養源となる甘いものを食べると、虫歯になりやすくなります。虫歯の原因菌として有名なストレプトコッカス・ミュータンスが最も好むのはショ糖(砂糖)です。
  • 歯磨きを怠った  定期的に歯磨きをして虫歯の原因となる歯垢を取り除いておかないと、その分虫歯になりやすくなります。
  • 歯周病 歯周病による歯肉の退縮があると、歯の根元に食べかすや歯垢がたまりやすくなり、虫歯の下地になってしまいます。
 猫の虫歯は極めてまれとされています。考えられる主な理由は以下です。
猫の虫歯はなぜ少ない?
  • 食餌中の炭水化物が少ない
  • デンプンを分解する唾液中のアミラーゼがない
  • 食べかすが残りやすいすり鉢状の臼歯を持たない
  • あまり咀嚼しないため歯に食べかすが残りにくい
  • 口の中の細菌が人間のものとは全く同じではない
  • 歯の数が少ない(犬=42本/猫=30本)
  • 甘みを感じないのでそもそも甘いものを食べない
 上記した理由により猫の虫歯は非常に珍しいとされていますが、全くないわけではありません。飼い主が虫歯の原因をしっかりと理解し、予防に努めるに越したことはないでしょう。
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猫の虫歯の治療

 猫の虫歯の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の虫歯の主な治療法
  • 病変部の充填  虫歯になった部位のエナメル質とゾウゲ質を削り取り、そこに充填剤をつめて修復します。用いられるのはフッ化物のうわぐすりやフッ化物放出性の象牙質用接着剤などです。またアマルガム、コンポジットレンジ、プロテアーゼなどによる歯冠の修復が行われることもあります。
  • 歯髄の除去  虫歯がゾウゲ質を通り越して歯髄にまで達している場合は、歯髄を除去することもあります。
  • 抜歯  症状が進行し、歯茎から外に出た「歯冠部」が削られている場合は、歯ごと抜いてしまうこともあります。
  • 歯磨き習慣を作る  飼い主が定期的に猫の歯を磨いてあげることが、虫歯予防になります。 猫の歯磨きの仕方
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