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猫ひっかき病

 人獣共通感染症の内、猫ひっかき病について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。人にも犬猫などのペットにも感染する病気ですので、予備知識として抑えておきましょう。

猫ひっかき病の病態と症状

 猫ひっかき病とは、バルトネラヘンセラ(Bartonella henselae)という細菌によって引き起こされる、リンパ節炎を主体とした感染症のことです。
猫ひっかき病の原因菌となるバルトネラヘンセラ菌  原因菌は、猫(特に子猫)の血液、口腔粘膜、目ヤニ、ネコノミなどから検出されるありふれたものです。猫同士の間では、主にネコノミの排せつ物を介して伝播します。つまり、感染猫の血液を吸ったノミが被毛の上で排泄→猫同士がお互いの体をなめ合う「アログルーミング」を通して排泄物を摂取→摂取した猫の体内で増殖というルートです。一方、猫から人間への感染は、病名が示している通り、「猫の引っ掻き」によって成立します。
 猫ひっかき病の主な症状は以下です。人間以外の動物にはほとんど症状を引き起こしません。季節では夏から秋、年齢層では小児における発症がよくみられます。
猫ひっかき病の主症状
  • 患部の発赤(約10日後)
  • リンパ節の腫れ
  • 発熱
  • 全身倦怠
  • 関節痛
  • 吐き気
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猫ひっかき病の原因

 猫ひっかき病の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
猫ひっかき病の主な原因
猫ひっかき病の感染ルート
  • 猫による引っかき傷  猫の血を吸って菌を取り込んだネコノミは、体内で菌を増殖させ、宿主となっているの猫の被毛内に糞便として排菌します。そして菌を含んだ排泄物は、猫がグルーミングをする際、歯や爪に付着します。そして歯や爪に菌を保有した状態の猫が、人間を咬んだり引っかいたりすることで、傷口から菌が入り込み、猫ひっかき病が成立します。
  • 季節性(?) 「アメリカ疾病予防管理センター」(CDC)の調査チームが2016年に発表したデータによると、北米のどの地域においても1月の患者数が増加するという現象が確認されています。詳細な原因はよく分かっていませんが、寒い季節になると猫が家の中に閉じこもりがちになるという傾向と、年末年始のホリデーシーズンになると飼い主が家に引きこもりがちになるという傾向による相乗効果ではないかと推測されています。つまり、人も猫も家の中にこもりがちになるためお互いに接触する機会が増え、その分猫に引っかかれる可能性が高まるということです。詳しくはこちらの記事をご参照ください。猫ひっかき病の患者数はアメリカのすべての地域において1月にピークを迎える
 猫ひっかき病を引き起こす「バルトネラヘンセラ菌」は、同時に「塹壕熱」(ざんごうねつ)や「細菌性血管腫症」の原因菌でもあります。前者は発熱、後者は皮膚病変を引き起こす病気であり、いずれも免疫力が落ちた人において高頻度で発症します。バルトネラヘンセラに近い種としては「バルトネラクインターナ」(Bartonella quintana)があり、ヘンセラと共に前2疾病を引き起こすことが分かっていますが、この菌が猫ひっかき病を引き起こすことはありません。なお2015年に発表された最新の研究により、バルトネラヘンセラがうつ病の引き金になっているのではないかという可能性が示されました。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
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猫ひっかき病の治療

 猫ひっかき病の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫ひっかき病の主な治療法
  • 投薬治療  特に治療を行わなくても、自然に治癒することがほとんどですが、治癒するまでに数週間、場合によっては数ヶ月もかかることがあります。免疫不全の人や、免疫能力の落ちた高齢者では、重症化して麻痺や脊髄障害に至るものもあるので要注意です。
     治療薬としては、一般的にマクロライド系抗生物質が用いられます。テトラサイクリン系抗生剤であるミノサイクリンも有効ですが、副作用として歯牙の着色を来たす可能性があるため、永久歯が生えていない年齢の小児への投与は十分な配慮が必要です。
  • 猫ひっかき病の予防策  猫ひっかき病の予防策は、猫にノミやダニが付かないように心がけることです。この病気はネコノミが媒介していることが分かっていますので、ネコノミを駆除することが感染予防につながります。また定期的に猫の爪を切り、引っかかれても傷がつかない状態にしておくことも大事です。 猫のノミ・ダニ対策用品 猫の爪切りの仕方
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