トップ猫の繁殖子猫の育て方・準備編

子猫の育て方・準備編

 外で生まれた子猫のうち生後半年まで生きていられるのは4頭に1頭くらいです。拾った子猫を育てたくなるのは自然な気持ちですが、準備ができていないのに見切り発車で連れ帰ってしまうと、逆に命取りになりかねません。子猫を育てるのに必要な条件や必須アイテムが揃っているかを事前に確認しておきましょう。

子猫を拾ったら

 生まれて間もない子猫を育てるという幸運に恵まれることがあります。出会いの状況に関わらず言えることは、子猫を育てようと決めたら24時間つきっきりで面倒を見なければならないという点です。仕事や学校で半日も子猫を放置しなければならない人が同情心だけで迎え入れた場合、ほぼ間違いなく子猫は命を落としてしまいます。自分、家族、友人、知人の誰かが必ず子猫のそばにおり、緊急事態に対応できる体制を作っておくことが原則です。

子猫を外で拾った

 外で子猫を拾ったときに重要となるのは、本当に母猫がいないのかどうかを確認することです。

箱の中に入れられていた

 子猫が箱や袋の中に入れられた状態で道端や公園にいた場合、どこかの誰かが飼育放棄した可能性が大です。また「子猫差し上げます」といったメモが残されている場合はほぼ間違いなく遺棄です。その場合、母親はいないと考えられますので迎え入れても大丈夫でしょう。 箱に入れられている子猫は飼育放棄や遺棄の可能性が高い  保健所や動物愛護センターに連絡すると高い確率で殺処分になります(炭酸ガスで殺してしまうこと)。地元で犬や猫の保護活動を行っている民間団体がある場合、ホームページやブログを見つけて連絡してみましょう。スペースや人手不足から「猫の引き取りは行っていません」と断られることが多々ありますが、ネットワークを生かしてミルクボランティアを見つけてくれるかもしれません。

きょうだい猫と一緒にいた

 子猫が家の床下や物置の裏、公園の茂みの中などにきょうだい猫と一緒にいた場合、母猫が一時的にどこかに行っているだけの可能性が大です。人間がむやみに触ってしまうと、育児放棄されてしまう危険性もありますのでそっとしておきましょう。ただし「一生面倒見る」とか「確実に里親を見つける」という覚悟がある場合はぜひ迎え入れてください。 子猫のそばにきょうだい猫がいる場合、母猫が一時的に留守にしているだけかも

道端でぐったりしていた

 子猫が道端で倒れてぐったりしているような場合、巣から離れて戻れなくなった、母親が移動の途中で落とした、カラスにさらわれた後で落下したなどいろいろな可能性が考えられます。いずれにしても、そのままにしておくと高い確率で死んでしまいますので、準備を整えて迎え入れてあげましょう。
 触ってもうんともすんとも反応しない場合は低体温(冬)、高体温(夏)、脱水、低血糖などの可能性が考えられます。取り急ぎ最寄りの動物病院に行って体温調整と輸液治療などを施してもらいます。

子猫が家で生まれた

 家の中で猫が子猫を生んだ場合に重要となるのが繁殖制限です。

放し飼い猫が妊娠した

 不妊手術を施していないメス猫を放し飼いにしていると、妊娠した状態で帰宅してしまうことがあります。繁殖制限していないこともむやみに放し飼いしてることも全て飼い主の責任ですので、生まれてきた子猫の面倒はしっかり見てあげます。また再び望まない妊娠してしまうことを防ぐため不妊手術についても考慮します。なお常識ですが、子猫を公園や道端、愛護センターの前、猫カフェの前などに遺棄することは動物愛護法違反の犯罪です。 猫の去勢と避妊手術

意図的に繁殖した

 家庭内でオス猫とメス猫を飼っており、2頭の子猫を見てみたいという理由で繁殖を行うことがあります。飼い主の意志によって繁殖した結果ですので、生まれてきた子猫は頭数にかかわらずしっかり面倒をみてあげます。もしまだ決めかねている場合は、日本国内で殺処分されてる猫たちのことも知り、繁殖がそもそも必要なことかどうかをじっくり考え直します。 猫の殺処分の現状

友人や知人から譲り受けた

 友人や知人の家で生まれた子猫を引き取ることがあります。家庭動物等の飼養及び保管に関する基準 (環境省告示)では「ねこの所有者は、子ねこの譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないよう努めるとともに、その社会化が十分に図られた後に譲渡するよう努めること」と定められています。母猫がいる場合はしっかりと離乳が終わってから引き取るようにします。また子猫の出産が望まないものであった場合、同じ状況の再発を防ぐため猫を飼っている友人や知人に不妊手術に関する提案をします。 猫の去勢と避妊手術

ミルクボランティアになった

 「ミルクボランティア」とは動物愛護センターや保健所に収容された生後間もない子猫を一時的に引き取り、離乳が完了する生後2ヶ月齢くらいまで自宅で授乳をしてあげる人のことです。「ミルボラ」などとも呼ばれます。子猫が離乳するまでの期間限定で世話をするミルクボランティア  子猫の殺処分率が全国的に高い理由はいろいろありますが、中でも最も大きいのは「24時間体制で授乳してあげる人員が足りない」ということです。この致命的な欠陥を補うため、自治体の中には民間人の中からミルクボランティアを募り、一時的に子猫を預ける体制を取っているところがあります。
 「ミルクボランティアになりたい」という方は所属している自治体が募集をかけているかどうかを確認してみてください。また民間の保護団体でも募集していることがあります。ミルボラはただ単にお乳をあげるのではなく、子猫たちの命をつなぐという大きな意味を持っています。
子猫の育て方・準備編

子猫の保育に必要なもの

 子猫を迎える際に必要となる飼い主の側の条件は「24時間体制で世話ができる」「先住猫と隔離できるスペースがある」「温度と湿度を調整できるスペースがある」という点です。こうした条件が揃ってないのに見切り発車で子猫を迎えてしまうと、子猫、先住猫、飼い主のいずれかが不幸になってしまいます。
 子猫とどのような状況で出会ったとしても、以下に述べるようなアイテムは必要となります。家の近くに売っていない場合は、取り急ぎ最寄りの動物病院に行き子猫用のミルクだけは分けてもらいましょう。事前に連絡して在庫があるかどうかを確認しておいた方が確実です。

授乳用品

 栄養と水分を補給する際のミルクは欠かせません。基本的に牛乳や赤ちゃん用の粉ミルクは使用しないでください。

子猫専用のミルク

 すでに液体状になっているミルクか子猫用の粉ミルクを用意します。近くに売っている場所がないような場合は動物病院にお問い合わせください。また粉ミルクを溶くときに使うミネラルウォーターも用意しておきましょう。

哺乳瓶

 子猫用の小さなものを使います。吸口の切り方を失敗したときのため2~3個予備があったほうが無難です。

計量スプーン

 必要な授乳量を計測するときに用います。小型のシリンジ(注射器)で代用することもできますが、洗いやすさとメンテナンスのしやすさから考えるとスプーンのほうがよいでしょう。

ベッド・寝床用品

 子猫は体表面積が広くて皮下脂肪が薄く、また自律神経や皮膚の角質層が発達していないため、すぐ低体温や高体温に陥ってしまいます。温度を一定にした寝床を用意し、体温調整を補助してあげましょう。

四方に壁がある箱

 子猫が出歩けないように四方を壁で囲まれた箱を用意します。小さいうちは中の様子をすぐに確認できる透明の衣装ケース(収納ボックス)が最も便利です。大きくなったらペットサークル(固定式・折りたたみ式)などに引っ越しします。

毛布やバスタオル

 フリース毛布を下に敷いたりバスタオルを箱の上にかけて箱の中を保温します。エアコンや空気清浄機の風が箱に直接当たらないように気をつけてください。タオルは基本的に毎日洗濯しますので必ず複数枚用意しておきます。

抱きぐるみ

 抱きかかえるタイプのぬいぐるみがあると子猫が安心します。これはちょうどきょうだい猫とネコダンゴを作って眠っている時の状態と同じです。人間の赤ちゃん用のぬいぐるみを用いる場合は、ガラガラが入っていないものを選ぶようにします。

あんか・湯たんぽ

 ペット用の低温パッド(自動でスイッチが切れないタイプ)を寝床の半分にだけ使います。コードが有ると邪魔ですので電子レンジで温める湯たんぽタイプや充電式のものがよいでしょう。残りの半分を空けておく理由は、体が熱くなりすぎた時子猫が自発的に移動できるためです。人間用のあんかやペットボトルあんかを用いる場合は必ずタオルなどで包みます。

温度計と湿度計

 子猫が入る箱の中に取り付けておきます。小型のものがよいでしょう。

ケア用品

 子猫の成長をしっかりとモニターし、正常に育っているかを日々観察するようにします。また自力で排泄ができませんので、下のお世話もしてあげます。

ウェットティッシュ

 ミルクで汚れた体を拭くときやお尻の周りを拭くときなどに大量に消費します。

スケール・計量器

 子猫の体重を測ったり粉ミルクを作るときに使用します。バネばかりではなくグラム単位で計測できるデジタルスケールを用意してください。また子猫をすっぽり収めるための底の深い容器も合わせて用意しておきます。

体温計

 お尻の穴に体温計を入れて計測するのが理想ですがストレスが大きいので赤ちゃん用に売られている遠隔計測体温計で代用します。

トイレ

 子猫が自力で排泄できるようになったらトイレを用意してあげます。猫砂を入れるトレーの方はタッパーなどで代用しても構いません。猫砂の方はべとべとした塊が足に付かないよう固まらないタイプの方がベターですが、手に入らない場合は粒が小さめで無香料の砂を選ぶようにします。 子猫用のトイレは敷居の低い容器と固まらない猫砂で

成長記録

 子猫がしっかり成長しているかどうかを確認するため与えたミルクの量、体重、体温などを毎日チェックして記録していきます。うんちの硬さや色も記録したほうがよいでしょう。罫線の付いた紙や表計算ソフトなどが役に立ちます。
子猫の育て方・準備編

迎えたらまずするケア

 生まれたばかりの子猫を拾ったり引き取った場合、以下に述べるような項目は優先的に処理しておかなければなりません。

衰弱していたら病院へ

 子猫が衰弱しており、呼吸はしているけれども触っても反応しない場合は低体温(冬)、高体温(夏)、脱水、低血糖、怪我などの可能性が考えられます。取り急ぎ最寄りの動物病院に行って応急処置をしてもらいましょう。
 低体温の場合は保温(1時間で1℃)、高体温の場合は放熱、脱水の場合は輸液、低血糖の場合は糖分の投与やチューブ給餌などが行われます。感染症で目が真っ赤かになっている場合は、抗生物質の入った目薬も処方してもらいましょう。また近くに量販店がない場合は子猫用のミルクも分けてもらいます。

母猫がいる場合は初乳を

 生まれたばかりの子猫に母猫がいる状況においては、生後16時間以内に初乳を飲ませてあげるよう努めます。「初乳」とは栄養素のほかに免疫力を高める抗体が含まれている特別なミルクのことであり、これを飲んだ子猫では生後8週齢まで病気にかかりにくくなります。常乳が白くてサラサラしているのに対し、初乳は黄色くて粘調度が高く、トロトロしているのが特徴  子犬でも子猫でも生後12~16時間になると腸管バリアが完全に確立してIg抗体を吸収できなくなりますので、母猫がいる場合はなるべく子猫に初乳を飲ませるようにして下さい。

先住猫との隔離

 ネコノミミミダニは感染力が強くすぐ他の猫に移ってしまいます。また猫ウイルス性鼻気管炎猫エイズウイルス感染症(FIV)、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)に感染している場合もウイルスを移してしまう危険性があります。先住猫がいる場合、子猫が2ヶ月齢(60日齢)くらいになり、虫下しと感染症検査を終えたタイミングでようやく顔合わせを始めるようにして下さい。
 なお子猫の被毛にノミやダニがついていたり、おしりから紐のような回虫や条虫が出てくることがあります。しかし市販薬だろうと処方薬だろうと、ノミダニ薬や寄生虫薬の多くは生後6~8週齢からしか使えませんので、自己判断で投与することは絶対にしないで下さい。最悪のケースでは体内に入った薬剤を代謝できず中毒死してしまいます。

体をきれいにする

 子猫の体があまりにも汚れている場合は、濡れティッシュやぬるま湯で濡らしたコットンを使って体の表面を拭いてあげます。かさぶたやうんちが被毛にこびりついているような場合は最初にノミ取りコームを使っても構いません。
 猫の体にノミがついている場合は、お風呂場などに新聞紙を敷き、地肌を傷つけないようにゆっくりとノミ取りコームをかけていきます。取れたノミは再び猫に付いてしまわないようすぐ洗面台などに流してください。塩の粒のようなものが取れたときはノミの卵です。これも同じように流してしてしまいます。
 急激な体温の上昇や低下は臓器不全につながり、子猫にとっては命取りになりかねません。体をきれいにするにしてもノミを取るにしても自力で体温調整ができるようになる20日齢くらいまでお風呂やシャワーは控えます。口の中を見た時、歯茎や頬の粘膜が白く変色している場合はノミに血を吸われて貧血に陥っている可能性があります。あまりにもぐったりしている場合は取り急ぎ動物病院に連れて行って下さい。

体重を測る

 グラム単位で計測できるデジタルスケールに子猫を載せ体重をはかりましょう。胃袋の大きさや1日の必要カロリー数は体重によって決まりますので毎日正確に計測し、成長日誌に記録しておきます。成長日誌には体重のほかウンチやおしっこの回数や色、体温なども記録するようにします。 子猫の成長の具合を記録する「成長日誌」の一例

年齢の見分け方

 子猫を外で拾ったときなど、正確な年齢(日齢や週齢)がわからないことが多々あります。子猫の週齢を見分ける方法にはいくつかありますが、最も簡便でわかりやすいのが歯を見るという方法です。子猫の体重が1kg未満で歯が生えている場合、それらはすべて乳歯ですので以下の目安を参考にして週齢を予測します。
1~2週齢
生後1週齢の子猫では歯が全く生えておらず、2週齢になってようやく切歯の先端がうっすらと見え始める
  • 1週齢(~7日齢)歯が全く生えておらずまぶたがぴっちり閉じている | 体重は50~125gくらい
  • 2週齢(~14日齢)切歯の先端だけがうっすらと見え始める | 体重は150~225gくらい | 目がうっすらと開いている
3~4週齢
3~4週齢の子猫では犬歯と前臼歯の先端がうっすらと見え始める
  • 3週齢(~21日齢)切歯がはっきりと生え、犬歯と前臼歯の先端がうっすらと見え始めている | 体重は250~325gくらい
  • 4週齢(~28日齢)犬歯と前臼歯の先端がはっきりと見え始める | 体重は350~425gくらい | 耳が立ち始める
5~6週齢
5週齢の子猫では後臼歯を除くすべての乳歯が伸び切る
  • 5週齢(~35日齢)後臼歯を除くすべての歯がはっきりと見える(後臼歯に乳歯はないので生えてこないのが正常) | 体重は450~525gくらい
  • 6週齢(~42日齢)すべての乳歯が伸び切る | 体重は550g以上

性別の見分け方

 生後間もない子猫のお尻にはオスもメスも穴が二つあり、オスの場合は穴と穴の距離が13mm(1.3cm)くらいでこんもり盛り上がって見えます。一方、メスの場合は7~8mmくらいで周囲の被毛は平らです。しかしこの判定法は、目見当(めけんとう)で行うため、たった5~6mmの違いを見分けることは容易ではありません。 子猫の雌雄判定は、生後2~3ヶ月頃になるまで難しい  三毛猫やサビ猫はほぼ100%の確率でメス、茶トラ(茶トラホワイトも含む)はかなりの確率でオスです。より確実にオスメスを判定したいときは生後2~3ヶ月齢になるまで待たなければなりません。この月齢になると、オス猫の場合穴と穴の間に通称「猫の後金(あときん)」と呼ばれる睾丸のふくらみが目立ち始めます。
 子猫を迎える準備が整ったら、次は基本的なケアの仕方をマスターしましょう! 次は→ 子猫の育て方・基本編
子猫の育て方・準備編