キャットタワー（ツリー）は猫同士の敵対行動を減らす

　調査を行ったのは、ペットフードメーカー「ウォルサム」とイギリスのプリマス大学。4つの部屋で飼育されている合計29頭の猫に、「2日間の予備フェーズ」、「4日間のテストフェーズ」、「2日間の対照フェーズ」を設け、空間の使い方を10分ごとに1日3時間（30分×6セット）観察しました。テストフェーズと残り2フェーズとの違いは、「部屋を仕切るようにキャットタワーが備え付けてある」という点です。主な観察結果は以下。

• すべてのフェーズにおいて、朝食後（2.6%）よりも朝食前（22.7%）の方が敵対的行動が多かった
• 朝食の時間以降における敵対的な行動は、テストフェーズ（1.1%）の方が予備フェーズ（2.9%）よりも顕著に少なかった
• 夕食前における敵対的な行動は、テストフェーズ（4.8%）の方が対照フェーズ（15.1%）よりも顕著に少なかった
• 親和的な行動に関してはフェーズ間で違いは見られなかった
• 従来の棚と新しく備えつけたキャットタワーの使用比率は42：58

　こうしたデータから調査班は、キャットタワーを設けるだけで猫の利用できる自由空間が増え、結果として敵対的行動が減少するとの結論に至りました。 Effect of a shelf-furnished screen on space utilisation and social behaviour of indoor group-housed cats (Felis silvestris catus)

　猫の飼い方を指南する書籍の中では、「高い場所に猫が安心できるスペースを作りましょう」といった類のアドバイスを必ずと言っていいほど見つけることができますが、その根拠にまで言及しているものはほとんどありません。今回の調査は、これまで逸話的に語られていた上記アドバイスを実証するデータになってくれるでしょう。猫のストレスが最小限になるよう空間を整備することは一般的に「環境エンリッチメント」と呼ばれ、キャットタワーを導入すること以外にもたくさんあります。詳しくは以下のページにまとめてありますのでご参照ください。近年激増している「猫カフェ」では、果たしてどの程度実践されているのでしょうか？ 猫の幸せとストレス 売れ筋キャットタワー