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猫アレルゲン「Fel d 1」中の抗原部位が明らかに

 猫アレルギーの主要アレルゲンである「Fel d 1」に関し、アレルギー反応を引き起こす抗原部位の一部が特定されました(2016.2.15/タイ)。

詳細

 報告を行ったのはタイ・バンコクにあるマヒドン大学の免疫学チーム。猫の唾液や皮膚に含まれるタンパク質の一種「Fel d 1」のうち、具体的にどの部分がアレルギー患者の「IgE抗体」と結合してアレルギー反応を引き起こすのかを突き止めるため、原因部分とだけ特異的に結合する「モノクローナル抗体」を用いた調査を行いました。その結果、「Fel d 1」のチェーン1と呼ばれる領域に12ヶ所のエピトープ(抗体が認識する抗原の特定部分)が見つかったと言います。今回得られた知見は、将来的に「CRD」や「CRIT」といった形で応用できると期待されています。 A novel IgE-binding epitope of cat major allergen, Fel d 1 猫アレルギーの主要アレルゲンである「Fel d 1」の3D構造

解説

 「CRD」とは「Component Resolved Diagnostics」の略で、従来のアレルギー検査よりも正確な診断ができる試薬のことです。通常のアレルギー検査では、アレルゲンの原料から抽出した「粗抽出エキス」と呼ばれるものが使用されます。しかしこのエキスの中には、アレルギーを引き起こす「アレルギーコンポーネント」と呼ばれるタンパク質のほか、アレルギー反応とは全く関係のないジャンクタンパク質が含まれていることも少なくありません。さらに「アレルギーコンポーネント」の中には、アレルギー症状の発現に強く関連する「メジャーアレルゲンコンポーネント」や、アレルギー症状の発現にはあまり関連しない「マイナーアレルゲンコンポーネント」などが含まれており、一体何がアレルギーの真犯人なのかがよく分からなくなってしまうことがあります。
 一方「CRD」は「粗抽出エキス」とは違い、余計な混ぜ物を含んでいません。この試薬で反応が出た場合、一体どのアレルギーコンポーネントが関与したのかがはっきりと特定できます。例えば今回発見された「Fel d 1」のエピトープを含む「CRD」が開発された場合、漠然と「猫のフケに対してアレルギーがある」ではなく、「Fel d 1がアレルゲンになっている」と断言することができるようになるでしょう。ちなみに「CRIT」とはアレルゲンコンポーネントそのものを減感作療法に使用する治療法のことです。 猫アレルギーについて CRDと減感作療法 アレルゲン免疫療法とMolecular based Allergen Diagnostic