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ヤコブソン器官(鋤鼻器官)と猫の攻撃性に関連性

 20頭の猫を対象とした調査により、フェロモンの感知に関わる「ヤコブソン器官」の炎症が、猫同士の間で見られる攻撃行動を誘発している可能性が示されました(2016.1.4/欧州)。

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 調査を行ったのは、フランス、イギリス、イタリアなどから成る共同研究チーム。様々な理由で検死に回されてきた猫20頭の「ヤコブソン器官」に対して組織学的な検査を行い、生前における猫の攻撃性との関連性が検討されました。なお「ヤコブソン器官」とは、口蓋から鼻腔内につながる管状の器官のことで、フェロモンの感知をしている部分です。鋤鼻(じょび)器官とも呼ばれます。 猫の鼻腔とヤコブソン器官の解剖図  調査の結果、管腔の中間部分を占める感覚性上皮と、その他の部分を占める非感覚性上皮の両方において、高率で慢性炎症が見出されたといいます。具体的な数値は以下です。
ヤコブソン器官の慢性炎症
  • 感覚性上皮=11頭(55%)
  • 非感覚性上皮=13頭(65%)
  • 少なくとも1つの炎症=14頭(70%)
 合計20頭のうち、生前において「猫同士の攻撃性」が見られた5頭(25%)、および「人間への攻撃性」が見られた8頭(40%)と、上記慢性炎症の関連性を調査したところ、特に「猫同士の攻撃性」に関しては、器官の炎症と統計的に有意な関連性が見出されたといいます。
 こうしたデータから研究チームは、ヤコブソン器官の慢性炎症がフェロモンの感知能力を低下させ、結果として猫同士のいがみあいにつながっているのではないかという可能性を指摘しています。 猫のヤコブソン器官 Pathology and behaviour in feline medicine: investigating the link between vomeronasalitis and aggression The vomeronasal organ of the cat