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猫の食生活へのパズルフィーダー導入ガイドライン

 猫の退屈を緩和する環境エンリッチメントの一環として、パズルフィーダーを導入する際のガイドラインが公開されました(2016.9.12/アメリカ)。

詳細

 猫の健康を保ってなるべく長生きさせるためには、完全室内飼いを徹底し、感染症、寄生虫、事故や怪我といった危険から猫を遠ざけることが必要です。しかし室内に閉じこもりきりの生活は、時として猫を退屈に陥れ、攻撃性の増大や過剰な活動性、粗相や飼い主に対するストーキング行為といった問題行動につながる危険性をはらんでいます。そこで重要となってくるのが「環境エンリッチメント」です。
 環境エンリッチメントの基本概念は「自然環境下で動物が見せる行動を、飼育環境下でも再現出来るようにする」というもので、もともとは動物園で飼育されている動物の福祉向上を目的としていました。しかし近年ではペット動物にも応用され、犬や猫のエンリッチメントを目的とした様々な市販商品も登場し始めています。その一例が、食事の時間にちょっとしたゲーム性を加味してあげる「パズルフィーダー」です。 パズルフィーダーは猫の食事にゲーム性を持たせる  今回、パズルフィーダーに関するガイドラインを公開したのは、アメリカの複数の大学からなる共同研究チーム。目的は「なかなか獲物が手に入らない」という状況を意図的に作ることで猫に程良いハードルを課し、「穴に逃げ込んだ小動物を捕まえようとする」など、自然環境下における摂食行動を部屋の中でも再現出来るようにしてあげることです。具体的には以下の2タイプを紹介しています。
パズルフィーダーのタイプ
パズルフィーダーの基本的な2タイプ~可動型と不動型
  • 可動型容器の中にドライタイプのエサやおやつが入っており、猫が鼻先や手で動かすと偶発的にこぼれ落ちる。
  • 不動型容器の中にドライもしくはウェットタイプのエサやおやつが入っており、猫が手で引っ掻き回すと偶発的にこぼれ落ちる。
 今まで食事するときに使用していたフードボールを突然パズルフィーダーに変更しても、猫はついて来てくれません。最悪のケースでは食事を拒絶し、脂肪肝に陥ってしまうことも考えられます。猫が自然にパズルフィーダー受け入れてくれよう、以下のような手順を推奨しています。
パズルフィーダー導入手順
  • 普段使っている容器の側にパズルフィーダーを置く
  • パズルフィーダーの中にたくさんエサやおやつを入れ、簡単に取り出せるようにする
  • エサの量を徐々に少なくしていく
 またパズルフィーダーを導入することに伴う様々な問題に関しては以下のような解決策が考えられます。
パズルフィーダー注意点
  • 騒音可動タイプのフィーダーがコロコロ転がってうるさいときは、夜間の使用をやめたり、音が漏れにくい専用のスペースを設ける。
  • 散らかし床の上に散らかしたまま猫が放置しているエサは、ダニの栄養素になるためすぐに掃除する。
  • 床が不潔いったん床に落ちたエサを猫が食べることに抵抗がある場合は、清潔なシートを敷いた上でフィーダーを用いる。
  • コンテナーが不潔フィーダーは構造が入り組んでいて洗うのが難しいため、洗い残しによる雑菌の繁殖にはよく気をつける。
  • 同居犬同居犬がフィーダーを壊してしまわないよう、使用する時間と空間を制限し、飼い主がしっかりと監督した状態で用いる。
  • 飽き猫がフィーダーに飽きたら、エサの量を減らして難易度上げたり、別のフィーダーに交換してみる。また、半分はお皿、半分はパズルフィーダーからなど、別の食料源も用意する。
 過去に行われた複数の調査では「パズルフィーダーは、猫の問題行動を助長することなくエンリッチメントを実現することができる」という結果が出ています。完全室内飼いはとかく退屈になりがちですので、試しに導入してみてはいかがでしょうか? 楽天市場フィーダー一覧 Food puzzles for cats: Feeding for physical and emotional wellbeing
元動画は→こちら
2021年に行われた最新の観察調査により、猫は基本的にただ食いが好きなニートであり、パズルフィーダーを含めたコントラフリーローディングを忌避する特異な動物である可能性が示されました。猫の食事量をしっかり把握し、極端に減った場合は「向いていない」と諦めて不採用にしましょう。猫は基本的にただ食いが好きなニート