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猫による攻撃は野生動物の受傷理由として2番目に多い

 野生動物リハビリセンターに収容された動物の統計をとったところ、外を出歩いている猫による受傷ケースがかなりの数に上ることが明らかになりました(2017.4.17/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのは、アメリカの複数の大学と野生動物センターから成る共同チーム。2011年6月から2015年4月の期間、「国立野生動物リハビリテイター協会」(NWRA)に登録されている82機関のデータ104,000件を対象とし、自由に外を出歩ける猫が一体どのくらい収容動物の怪我に関わっているのかを統計的に調査しました。その結果、野生動物が収容される理由として最も多かったのは「親とはぐれた里子」(25%)で、次に多かったのがペット動物による攻撃(14%)だったといいます。また猫が関わっていたものは、全体の8%に相当する8,060件だったとも。それに対し犬の関与が疑われるケースは5%でした。 北米の野生動物リハビリセンターに収容された動物たちの収容理由  すみかの破壊や親の不在などで里子として保護された野生動物のうち、自然に戻された個体数は45%でした。それに対し、猫による攻撃で死んだり安楽死を余儀なくされた動物の数は5,474個体(68%)、生き延びて自然に戻されたのはわずか24%にとどまったといいます。また犬の攻撃による死亡率は猫よりも10%以上低い54%でした。
 猫の攻撃対象として最も多かったのは鳥(52%)で、その次が哺乳動物(47%)でした。また成長した動物(2,209個体)よりも幼齢動物(5,685個体)を襲うケースが圧倒的に多いようです。猫の攻撃を受けた鳥の死亡率は、成鳥が78%、幼齢鳥が60%、哺乳動物全体では84%という極めて高い値になりました。猫による野生動物の受傷ケースが増えるのは春と夏が圧倒的で、春が46%、夏が38%でした。
 以下は、猫による攻撃で受傷した野生動物の上位12種です。哺乳動物は赤字、鳥は黒字で記してあります。 猫の攻撃を受けやすい野生動物を上位12種  外を出歩く猫のなかには、人間と全く接触を持たない野生猫や人間と部分的に接触を持つ野良猫のほか、外飼いのペット猫も含まれているため、野生動物保護のためには適正な飼育方法に関する飼い主への教育が重要であるとしています。
The role of domestic cats in the admission of injured wildlife at rehabilitation and rescue centers
Loyd, K. A. T., Hernandez, S. M. and McRuer, D. A. (2017), Wildl. Soc. Bull., 41: 55?61. doi:10.1002/wsb.737

解説

 過去に行われた調査では、「猫は人工的な場所よりも緑のある場所を好んで移動する」とか、「身近にある環境内で最も個体数が多い動物を攻撃対象とする」と報告されています。一方、北米で進行している都市乱開発により、緑のある地域が限られた狭いエリアに絞られつつあります。つまり都市部では、限局されたグリーンエリアにおいて野生動物と都会暮らしの放浪猫が鉢合わせしてしまう確率が高くなってしまうのです。 都市部に暮らしている地上性動物は猫に襲われる危険性が非常に高い  この現象は、今回の調査で得られた危険因子のオッズ比にも明確に現れています。以下は、猫に襲われる危険性を高めてしまう要因の一覧です。数字は「オッズ比」(OR)で、標準の起こりやすさを「1」としたときどの程度起こりやすいかを相対的に示しています。数字が1よりも大きければ大きいほど起こりやすいことを意味していますが、「都市部」に暮らしている「鳥類」や「地上性動物」が圧倒的に危険だということがお分かりいただけるでしょう。 猫に襲われる確率を高めてしまう危険因子一覧  捕食しないのに獲物を殺す「満腹狩り」は猫に普遍的な現象ですので、放し飼いをしている限り、日本国内においても野生動物に影響を及ぼしてしまう可能性は否定できません。調査チームは、完全室内飼いを推奨すると同時に、夜間の外出禁止令や、春から夏にかけての期間限定の外出禁止令を次善策として提案しています。しかし猫の放し飼いは、野生動物の命のみならず、猫の命も多大なる危険にさらす行為です。猫には本能的な欲求を満たす権利があるという意見(O'Keefe 2003)もありますが、果たしてそこに命を賭けるまでの価値があるのでしょうか。 放し飼いが招く猫の死 猫を飼う室内環境の整え方