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猫用ランニングホイールは本当に猫たちの運動量を増やすのか?

 斬新な発想で話題になった猫用ホイールは、本当に猫の運動量を増やしてくれるのでしょうか?検証実験が行われました(2017.5.29/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのは、アメリカ・イリノイ大学動物科学部のチーム。オス猫8頭(去勢済 | 平均年齢8.6歳)とメス猫11頭(未避妊 | 平均年齢3.3歳)を対象とし、猫用ホイールの導入前後で自発的な運動量に変化が見られるかどうかを24時間体制でモニタリングしました。実験デザインは以下です。
猫用ホイール実験
  • 猫用ホイールなしで1週間
  • 3週間かけて猫用ホイールに慣らす
  • 猫用ホイールありで1週間
猫向けにデザインされた運動用ホイール「Cat Exercise Wheel」  住環境(明るい時間帯16時間+暗い時間帯8時間)や食事内容を全て統一し、猫の活動量を速度計を用いて調査したところ、メス猫の夜間における活動量が増加したのに対し、オス猫の活動量に変化は見られなかったと言います。以下は具体的な活動量の変化で、単位は「15秒間に見られた活動総数の平均値」です。数字が大きいほど活動が活発であることを意味しています。 猫用ホイールの導入により、メス猫の夜間における活動だけが活発化する
メス猫の活動量変化
  • メス・導入前の日中=3.0
  • メス・導入後の日中=3.3
  • メス・導入前の夜間=21.4
  • メス・導入後の夜間=28.0
オス猫の活動量変化
  • オス・導入前の日中=2.5
  • オス・導入後の日中=2.4
  • オス・導入前の夜間=11.0
  • オス・導入後の夜間=11.1
 こうしたデータから調査チームは、猫用にデザインされたホイールには、若いメス猫の自発的な活動を増やす効果がある程度はあるようだとの結論に至りました。ただしなぜメス猫にだけ変化が生じたのかはわからないとも。
Physical activity level of female and male adult cats before and after running wheel habituation
Katelyn B. Detweiler et al., Journal of Nutritional Science(2017), vol. 6, e17, doi:10.1017/jns.2017.19

解説

 今回の調査に参加した猫たちはかなり限定的な層に属していますので、得られた結果は予備的なものと考えたほうがよいでしょう。「若い未去勢のオス猫」や「歳をとった避妊済のメス猫」を加えて観察を行うと、ひょっとしたら全く違う結果が出てくるかもしれません。
 猫のダイエットにおける王道は食事量の制限ですが、活動を高めるということも同じくらい重要です。猫の活動量を増やす方法としては「散歩に連れ出す」、「おもちゃで遊ぶ」、「外を自由に出歩かせる」などがありますが、それぞれが難点を抱えています。例えば「散歩に連れ出す→外を恋しがって夜鳴きがひどくなる」、「おもちゃで遊ぶ→10分足らずですぐ飽きる」、「外を自由に出歩かせる→感染症や交通事故の危険性が高まる」などです。そこで開発されたのが、飼い主がいようといまいと猫の自発的な運動量を増やしてくれる「猫用ランニングホイール」です。斬新さも手伝ってか、2016年度のクラウドファンディングでは34万ドルという多額の支援金を集めることに成功しました(→出典)。
 もしこの商品が安全かつ安価であったら「まぁ、試しに買ってみようか」くらいの軽い気持ちで導入することができます。しかし実際は、129cm×120cm×30cmというかなり大きなものであり、値段も米国内で200ドル(日本ではなぜか5万円弱!)となかなかです。さらに動画を見る限り、必ずしも猫にとって安全とは言い切れない部分が見えてきます。例えば、勢い良く転がっているホイール上に前足だけで着地する瞬間などです。つんのめって転んだり、手首を捻挫してもおかしくありません。
Cat Exercise Wheel
 以下でご紹介するのは「Cat Exercise Wheel」を猫が実際に使用しているときの動画です。 元動画は→こちら
 去勢手術や避妊手術によって猫の体重が増加することは周知の事実です。様々な関連疾患を予防するため、猫の体重管理することは飼い主に課せられた重要な責務の一つですが、費用対効果の面から考えると、猫用ホイールを買ってほったらかしにするのではなく、まずは飼い主がしっかりと監督した上でおもちゃを使って運動を誘導してあげたほうが良いと思われます。 猫のダイエットの基本 猫と遊ぶ 猫の去勢と避妊手術