トップ猫の文化猫の浮世絵美術館歌川国芳展流行猫じゃらし

流行猫じゃらし

 江戸時代に活躍した浮世絵師・歌川国芳の残した猫の登場する作品のうち、流行猫じゃらしについて写真付きで解説します。

作品の基本情報

  • 作品名流行猫じゃらし
  • 制作年代1841年(江戸・天保12)
  • 落款一勇斎国芳画
  • 板元川口屋宇兵衛
流行猫じゃらしのサムネイル写真

作品解説

 「流行猫じゃらし」(はやりねこじゃらし)は、江戸時代にあったお菓子袋に摺られた絵で、今で言うと商品パッケージのようなものです。袋の裏には「御薬 かる焼 白雪こう精製所」、「日本橋坂本町 川口宇兵衛板」と摺られています。
 「かる焼」とは、江戸時代の子供が病気になったときに食べるお菓子で、「白雪こう」(はくせつこう)とは加熱していない米の粉を水飴を加え成型し、セイロで蒸し上げた後、ホイロで乾燥させた落雁(らくがん)の親戚で、当時は母乳の代わりとして用いられることもあったようです。どうやら、版元である川口宇兵衛は、かる焼と白雪こうの菓子販売を副業とする特殊な業態であり、彼の依頼を受けた国芳がこのパッケージを作成したと推察されます。
 ちなみにこの菓子袋には、畳をかたどった台紙と、猫の形に切り取られた5枚の猫型がおまけとしてついていました。遊び方は不明ですが、今で言うと「フィギュアつき駄菓子」といった感じで売り上げにつなげていたのかもしれません。
 絵柄を見てみると、うなぎの蒲焼とタコの足のぶつ切りが皿に盛られており、猫の着ている着物の柄は魚の骨、イカ、鈴と、なかなか造形が細かくなっています。手ぬぐいをかぶって踊るのは、猫が人間に化けるという「猫又伝説」に由来しており、当作品のみならず、江戸時代の浮世絵や挿絵には多く見られる図案です。