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猫はサルよりも物理法則を理解している

 音だけを頼りに見えない物体の存在を予測する能力は、霊長類よりも猫の方が優れているという可能性が示されました(2016.6.17/日本)。

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 猫の論理的思考力に関しては過去に、「紐」という視覚的情報を頼りにその先に付ついているものを予測することができるかどうかという実験が行われました。その結果、紐が2本になったり交差したりした途端に猫の正答率が悪くなり、最終的に「猫は紐とその先に結びつけられている物体との関係性を理解できない」という不名誉なレッテルを貼られてしまいました(→出典)。 紐が2本になったり交差してしまうと、猫は紐と先端の物体の連結を理解できなくなる  しかしこうした結論に対し、致命的な欠陥があるのではないかと指摘する学者もいます。イギリスの動物学者ジョン・ブラッドショーが代表格ですが、彼が指摘する欠陥とは「猫は聴覚の動物である」という事実を忘れているという点です。
 今回の調査を行ったのは、京都大学心理学部のチーム。以下に述べる4つの条件を設定し、猫が音だけを頼りに見えない物体の存在を予測することができるかどうかを、「期待違反メソッド」を用いて検証しました。
猫の予測能力実験条件
  • 一致条件1コンテナを振るとカタカタと音が鳴る(5秒)→コンテナをひっくり返すと鉄球が出てくる→猫に自由に探索させる(15秒)
  • 一致条件2コンテナを振っても音が鳴らない(5秒)→コンテナをひっくり返しても何も出てこない→猫に自由に探索させる(15秒)
  • 不一致条件1コンテナを振るとカタカタと音が鳴る(5秒)→コンテナをひっくり返しても何も出てこない→猫に自由に探索させる(15秒)
  • 不一致条件2コンテナを振っても音が鳴らない(5秒)→コンテナをひっくり返すと鉄球が出てくる→猫に自由に探索させる(15秒)
 「期待違反メソッド」とは、期待していたものと違った内容を目の当たりにした時、注視時間が延びるという現象を利用した方法論のことです。人間で言う「二度見」に近い現象と言えば分かりやすいでしょう。今回の実験を例に取ると、「カタカタと音が鳴っていたのに何も出てこなかった」および「音が鳴っていなかったのに中から物が出てきた」という状況が「期待していたものと違った内容」に相当し、注視時間が延びると予測されます。研究チームは、2つの「不一致条件」において猫の注視時間が延び、また探索時間も長くなるだろうと予測しました。
 猫カフェからリクルートされた22頭と家庭で飼われているペット猫8頭からなる30頭を対象に観察を行ったところ、チームの予測通り物理法則に合わない「不一致条件」において猫たちの注視時間が延びたと言います。ただし探索時間に格差は見られなかったとも。
 こうした事実から研究チームは、生き物が暗闇の中で動く音から獲物の位置を把握してハンティングを行ってきた猫は、聴覚的情報から欠けている情報を補う能力に長けているという可能性を示しました。今回と似たようなテストを類人猿や人間以外の霊長類で行ったとき、ほとんどの動物がクリアできなかったという事実から考えると、この種の予測能力に関しては霊長類よりも猫の方が上なのではないかとも推測しています。 猫の耳・聴覚 There's no ball without noise: cats' prediction of an object from noise 猫はカサカサという音を聞くと「獲物が隠れているのでは?」と予測する