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猫はパッと見で数量や大小の比較ができる

 二者択一テストを用いた調査により、対象物の大きさや数量をぱっと見で目算する「ANS」(近似数認知機構)が、猫にも備わっているという可能性が示されました(2016.5.16/メキシコ)。

詳細

 調査を行ったのは、メキシコ自治大学・生物医学研究所のチーム。猫にも「ANS」が備わっているかどうかを確かめるため、エサの数量が異なる2つのお皿を同時に提示したとき、猫がどちらを選択するかを観察しました。
ANS
 「ANS」(Approximate number system)とは、対象物を1つ1つ数えるのではなく、視覚で全体的に捉えることで数量比較する能力のことで、日本語では「近似数認知機構」といった意味になります。言葉を覚える前の乳幼児、サル、イヌなどで確認されている普遍的な能力の一つです。
 数量格差に変化を持たせ、合計8パターンの実験を行ったところ、偶然を超える確率で大きい方の選択肢を選ぶ傾向が見出されたと言います。そしてその傾向は、数量格差が2倍以上あるときに強くなったとも。また別のテストでは、大きさの異なる2つの餌を猫の前に同時に提示し、どちらを選ぶかが観察されました。その結果、やはり偶然以上の確率で大きい方の選択肢を選ぶ傾向が確認されたと言います。ただし不思議なことに、選択肢の一方に最も大きな餌が含まれているときは、なぜか逆に小さい方を選ぶ傾向が強かったとのこと。さらに数量の異なる2つの餌を、猫から見えない状態で提示したところ、見えている状態の時に観察された「多い方の選択肢を選ぶ」という傾向が見られなくなったそうです。
 こうした結果から研究チームは、猫にも数量や大きさを比較する「ANS」があり、その能力は主として視覚系を通じて発揮されるという可能性を突き止めました。ただし「極端に大きなものは避けようとする」という奇妙な習性が、いったい何の役に立っているのかという適応的な意味はよくわからないとも。 More or less: spontaneous quantity discrimination in the domestic cat Researchers show humans and other animals can understand quantities, even without language

解説

 2016年1月、イギリスのBBCで放映されたドキュメンタリー番組「Cats v Dogs」の中では、猫のカウント能力に関する実験風景を確認することができます。この実験では、猫に「数量の多い方を選んだら餌がもらえる」ということを事前に覚えさせ、左右に提示する磁気パネルの数量を調整した上で行動が観察されました(→出典)。 猫は磁気パネルの数量を比較して多い方を選ぶことができる  犬における「ANS」は、餌の量を比較する時や、敵対する群の大きさを瞬時に把握して、撤退か攻撃かを決める時に役立っていると推測されています(→出典)。また人間では、「ANS」の能力が高いほど算数の成績も良くなるという可能性が指摘されています(→出典)。一方、猫の「ANS」が野生環境下でどのような役割を担っているのかに関してはよくわかっていません。「子猫の数を確認する」ときに役立ちそうですが、巣を引っ越す際、子猫を1匹だけ置いてけぼりにするといった事例などから考えると、すべての猫が理系なわけでは無いようです。