トップ猫の手入れとケア歯磨き粉の成分・大辞典フミン酸(フルボ酸)

フミン酸(フルボ酸)~犬猫向け歯磨き粉の安全性と危険性

 犬猫向け歯磨き粉に含まれている「フミン酸」(フルボ酸)。この成分はペットが口にしても大丈夫なのでしょうか?最新の科学的データと共に安全性と危険性を検証しましょう。

日本における安全性情報

 フミン酸(humic acid)とは、腐植物質(土壌や河川中の堆積物が含む有機物が分解や変質を経て生じる物質の総称)のうち、アルカリ可溶分画をさらに酸で処理した際に沈殿する分画のことです。沈殿しない分画はフルボ酸(fulvic acid)と呼ばれます。フミン酸一般的な化学構造式は以下。 犬猫向け歯磨き粉に含まれている成分「フミン酸」  フミン酸は原材料の採取場所や分離精製法によって性質が異なり、平均分子量は1,000以下から数十万以上とかなりの幅があります。こうした多様性による混乱を緩和するため、国際腐植物質学会では標準物質の国際的な調製法(IHSS法)が定められています。なお日本では食品添加物として認可されていません。

海外における安全性情報

 海外のJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)では一日摂取許容量(ADI)や使用基準を設定していません。
 EFSA(欧州食品安全機関)でも基準値は設けていませんが、安全性に関する評価書においてはラットを対象とした21~28日間に及ぶフミン酸・フルボ酸キレート(HFC)の毒性試験の結果、NOAEL(無有害作用量=動物を使った毒性試験において何ら有害作用が認められなかった用量レベル)が体重1kg当たり1日50mgとされています。またビーグル犬を対象としたフマル酸カリウムパウダーの給餌試験の結果、NOAELが体重1kg当たり1日15mgとの報告もあります。これはフミン酸・フルボ酸キレート(HFC)に換算すると7mgに相当する分量です。なお国際がん研究機関(IARC)によって発がん性は確認されていません。
ネット上では「デトックス効果がある」「自然治癒力を促進する」「美肌効果がある」などかなりいい加減なことを記載しているページが散見されますが、どれも科学的に実証されたものではありません。効果や安全性が確認されていない成分をわざわざ歯磨き粉に入れる理由がさっぱりわかりませんね。