トップ猫の手入れとケア歯磨き粉の成分・大辞典ラクトフェリン

ラクトフェリン~犬猫向け歯磨き粉の安全性と危険性

 犬猫向け歯磨き粉に含まれている「ラクトフェリン」。この成分はペットが口にしても大丈夫なのでしょうか?最新の科学的データと共に安全性と危険性を検証しましょう。

日本における安全性情報

 ラクトフェリン(lactoferrin)は哺乳動物の乳汁、涙、唾液、膵液中に検出される糖タンパクの一種。分子量はウシで86,000、ヒトで88,000です。また牛乳には0.02~0.35mg/mL、ヒトの母乳には2mg/mL程度の割合で含まれています。分子構造は以下です。 犬猫向け歯磨き粉に含まれている成分「ラクトフェリン」  日本では厚生労働省によって「ラクトフェリン濃縮物」が既存添加物の「製造用剤」として認可されています。定義は「ほ乳類の乳を脱脂分離したもの又は乳清より、精製し、濃縮して得られたもの」で、使用基準は特に設定されていません。
 なお食品安全委員会の動物医薬品専門調査会によると、NOAEL(動物を使った毒性試験において何ら有害作用が認められなかった用量レベル)は、ラットを用いた4週間および13週間の亜急性毒性試験から体重1kg当たり2gと推計されています。

海外における安全性情報

 海外ではJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)による一日摂取許容量(ADI)や使用基準が設定されておらず、国際がん研究機関(IARC)によって発がん性も確認されていません。
 EFSA(欧州食品安全機関)では成人の1日摂取量に関し、体重1kg当たり0.6~ 2.1mg、トータルで45~150mgまでなら健康に問題ないだろうとの見解を示しています。アメリカのFDA(食品医薬品局)はラクトフェリンをGRAS(一般的に安全とみなされる物質)に区分しています。
ラクトフェリンは細菌の増殖に必要な鉄を奪い去ることで増加を抑制するほか、グラム陰性菌の細胞膜上にあるリポポリサッカライドと結合することで抗菌作用を示します。一見すると医薬品のような印象を受けますが、区分上はあくまでも食品添加物です。