トップ猫の手入れとケア歯磨き粉の成分・大辞典プロポリス

プロポリス~犬猫向け歯磨き粉の安全性と危険性

 犬猫向け歯磨き粉に含まれている「プロポリス」。この成分はペットが口にしても大丈夫なのでしょうか?最新の科学的データと共に安全性と危険性を検証しましょう。

日本における安全性情報

 プロポリス(propolis)とはミツバチが樹木の新芽、蕾、樹皮などから採取した樹液や色素と、ミツバチ自身が分泌した体液が混じり合ってできた混合物のことです。 犬猫向け歯磨き粉に含まれている成分「プロポリス」  日本では厚生労働省によって「プロポリス抽出物」が指定添加物の「酸化防止剤」として認可されています。定義は「ミツバチ科ミツバチ(Apis mellifera LINNE, Apis indica RODOSZKOWSKI)の巣より、エタノールで抽出して得られたフラボノイドを主成分とするもの」で使用基準は特に設定されていません。
 ラットにおける無毒性量は、オスの場合が体重1kg当たり1日236mg、メスの場合が287mgと推計されています。遺伝毒性や発がん性は確認されていません出典資料:薬事・食品衛生審議会

海外における安全性情報

 海外ではJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でもEFSA(欧州食品安全機関)でも一日摂取許容量(ADI)や使用基準は設定されておらず、国際がん研究機関(IARC)によって発がん性も確認されていません。データが足りないため安全性の評価ができていないというのが実際のところです出典資料:EFSA
 プロポリスには複数の成分が含まれているため、ハチミツ、針葉樹、ポプラ、サリチル酸にアレルギーのある人は使用を避けることが推奨されています。またアトピー性皮膚炎や慢性再発性湿疹などのアレルギーを抱えている場合、経口摂取で胃腸、呼吸器、皮膚などにアレルギー反応が出てしまう危険性があります。
 歯磨き粉に含まれている理由はよくわかりません。イギリス国内で健康成人41名を対象として行われた試験では、プロポリスエキス10%を含んだマウスウォッシュを1日2回のペース(1回1分間)で5日間使用しても、歯垢の量に影響は認められなかったと報告されています出典資料:Murray, 1997。またブラジル国内で健康成人60名を対象として行われた試験でも、2%プロポリスマウスウォッシュ15mLを1日2回のペースで28日間使用しても、歯肉炎スコアは改善しなかったといいます出典資料:Netto, 2014
人間において効果が実証されていませんので、犬や猫においても歯垢や歯石の蓄積予防効果は期待できないでしょう。そもそもうがいができませんので…。