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アメリカンカールに多い病気~原因・遺伝性から検査・治療法まで

 アメリカンカールがかかりやすい病気を原因、遺伝性、検査法、治療法などに分けて一覧リストでご紹介します。なお出典データには海外のものも含まれているため日本に暮らしている猫には必ずしも当てはまらないことがあります。

軟骨形成不全(?)

 軟骨形成不全とは関節同士の接触面などに存在する軟骨が正常に形成されず、変形性関節症といった他の病気を引き起こしてしまう病気。診断はエックス線やCTスキャン、MRIなどで下します。根本的な治療法はありませんので、猫も飼い主も生活の質が低下しないよう注意しながら暮らしていくことになります。 骨軟骨異形成の症状・原因・治療

健康への影響

 1989年に刊行された「The Journal of Heredity」内でアメリカンカールの耳の変形に関する考察が行われました(→出典)。「カール耳(オス)+通常耳(メス)」、「カール耳(メス)+通常耳(オス)」、「カール耳(オス)+カール耳(メス)」、「通常耳(オス)+通常耳(メス)」というカップルから生まれた81腹・383頭の猫を観察した所、カール耳は性染色体とは無関係の常染色体によって遺伝すること、そして両親のどちらか一方から1本でもカール遺伝子を受け継いだら発現する優性遺伝であることが判明したといいます。さらに両親からカール遺伝子(Cu)を1本ずつ受け継いだ「CuCu」というオス猫を2年に渡って観察した所、少なくともこの期間内で健康面に問題が生じることはなかったとのこと。ただしスコティッシュフォールドのように長い年月をかけて関節に異常が生じる可能性も否定できないため、特にカール遺伝子を2本保有したホモ型(CuCu)の猫に関しては、今後も注意深くモニタリングしていく必要があると警告しています。

コロナウイルス

 コロナウイルスとは、ウイルスの表面にまるで太陽のコロナのような突起を持つ一本鎖RNAウイルスの総称。猫では病原性の弱い「猫腸コロナウイルス」(FeCV)と、病原性の高い変異種「猫伝染性腹膜炎ウイルス」(FIPV)があります。今現在、病原性の低い「猫腸コロナウイルス」(FECV)と致死性の高い「猫伝染性腹膜炎ウイルス」(FIPV)を事前に見分ける有効な方法は存在していません。ひとたび後者を発症してしまうと効果的な治療法がなく、二次感染を防ぐための抗生物質の投与、免疫力を高めるためのネコインターフェロンの投与、炎症を抑えるための抗炎症薬の投与などで様子を見るというのが基本方針です。猫伝染性腹膜炎の症状・原因・治療

ウイルス保有率

 2001年から2010年の期間、麻布大学の調査チームが日本国内に暮らす17,392頭の猫を対象としてネココロナウイルス(FCoV)の抗体検査を行ったところ、雑種の陽性率が31.2%だったのに対し、純血種のそれが66.7%と非常に高い値を示したといいます(→出典)。さらに品種別で見たところ、アメリカンカールが83.3%(30/36頭)という標準以上の値になったとも。 詳細な原因に関しては不明ですが、繁殖施設における密飼いがウイルスの伝播を促しているのではないかと推測されています。