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ターキッシュバンに多い病気~原因・遺伝性から検査・治療法まで

 ターキッシュバンがかかりやすい病気を原因、遺伝性、検査法、治療法などに分けて一覧リストでご紹介します。なお出典データには海外のものも含まれているため日本に暮らしている猫には必ずしも当てはまらないことがあります。

皮膚糸状菌症

 皮膚糸状菌症とは、真菌の一種である皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)が感染することで発症する病気のこと。「皮膚真菌症」や「白癬」も呼ばれ、人間の足に発症した場合は「水虫」と呼ばれることもあります。診断は、患部から採取した菌のサンプルを培養することで下します。治療法は抗真菌薬の内服や抗真菌薬の入ったローションや軟膏などの塗布がメインです。 皮膚糸状菌症の症状・原因・治療

保菌率

 2016年、トルコのバン地方に暮らしているターキッシュバン合計264頭を対象とし、皮膚糸状菌の保有率調査が行われました(→出典)。その結果、何の臨床症状も見せていなかったにも関わらず、19頭(7.1%)で陽性反応が出たといいます。内訳は「Trichophyton terrestre」(11/4.1%)、「Microsporum gypseum」(3/1.1%)、「M. nanum」(3/1.1%)、「T. mentagrophytes」(2/0.7%)というものでした。さらに保有率を高める危険因子をさまざまな観点から統計的に検証していった所、最終的に「年齢」だけが残り、1歳未満の子猫が最も感染の危険性が高いとの結論に至りました。
 この調査はトルコの狭い地域で行われたものですので、得られた結論をそのまま海外に輸出することはできないと考えられます。しかしブラジルで61頭のペルシャを対象として行われた調査では、皮膚糸状菌の保有率が「83.6%」と報告されていますので、セミロング~ロングの被毛を持った猫においては短毛種よりもやや保有リスクが高くなると考えてた方が無難でしょう。 ペルシャ猫は健康そうでも白癬菌(皮膚糸状菌)を高確率で保有している

輸血における拒絶反応

 輸血における拒絶反応とは、型が異なる血液を輸血することで赤血球が凝集や溶血を起こし、正常に機能しなくなってしまうこと。血液の拒絶反応

B型の割合

 2003年、85頭のターキッシュバンを対象として行われた血液検査では、A型が40%、B型が60%、AB型が0%と、B型が極めて高い割合で含まれていたといいます(→出典)。また2005年の調査では、B型にA型やAB型を輸血した時、急性の激しい拒絶反応が起こる確率は6.4%、急性の軽い反応が起こる確率が85.9%、赤血球の寿命が短縮する確率が7.7%と推計されています(→出典)。
 A型の猫にB型やAB型を輸血した時、急性の軽い拒絶反応が4.4%、赤血球の寿命短縮が83.3%で発生したといいますので、B型の猫に間違ったタイプの血液を輸血した方が重篤な拒絶反応が起こると考えられます。貧血や緊急手術によって輸血が必要となった場合は十分な注意が必要となるでしょう。

新生子溶血

 新生子溶血とは、B型の母猫がA型の子猫に対して初乳を与えたとき、拒絶反応が起こって赤血球が破壊されてしまう現象のこと。最悪のケースでは死亡してしまいます。 新生子溶血

危険性

 国によって多少の違いはあるでしょうが、ターキッシュバンがB型血液を保有している割合は60%近いと推計されます。もし母猫がB型で、生まれてきた子猫がA型というミスマッチが起こった場合、子猫の赤血球と母乳由来の血漿成分が拒絶反応を起こし、新生子溶血を引き起こしてしまう危険性が大です。繁殖に際しては事前に猫の血液型を調べ、「B型の母猫をそもそも繁殖に使わない」、「B型の父猫とだけ繁殖させる」等の配慮が必要となります。

尿酸塩尿石症(?)

 下部尿路症候群(LUTD)とは、膀胱から尿道口をつなぐまでのどこかに結石などを生じてしまう病気。猫ではシュウ酸カルシウム結石やストラバイト結石が大半を占めていますが、まれに尿酸塩(アンモニア・ナトリウム・シスチン・キサンチン)が結石を形成することもあります。診断は尿内の結晶検査やエックス線撮影で下します。治療は結石の除去と食事療法がメインです。 下部尿路症候群の症状・原因・治療

発症リスク

 1981年1月から2008年12月の期間中、ミネソタ尿石センターに蓄積されたデータの中から尿酸塩結石を発症した猫5,072頭と発症していない比較対照群437,228頭とを選び出し、結石の発症リスクを高めている要因を検証しました(→出典)。その結果、純血種、不妊手術(12倍)、4~7歳の年齢層(51倍)という因子が浮かび上がってきたといいます。さらに品種ごとにリスクを計算した所、ターキッシュバンで6倍(1/15)のリスクが確認されたとも。ただし調査対象となった猫の数が15頭とそもそも少ないことから、確定的なデータではないとしています。