トップ2016年・猫ニュース一覧12月の猫ニュース12月5日

狩猟防止アイテムは外猫の行動範囲までは減らしてくれない

 猫の狩猟行動を減らすために開発された特殊な首輪を装着しても、外を歩く猫の行動範囲を制限することまではできないことが判明しました(2016.12.5/オーストラリア)。

詳細

 調査を行ったのは、猫による野生動物の生態系撹乱が問題となっている西オーストラリアのマードッグ大学獣医生命科学校のチーム。猫の狩猟行動を減らすために開発された特殊な首輪をペット猫に装着した時、外を出歩く際の行動範囲まで小さくなるかどうかを検証するため、「Birdsbesafe™」および「CatBib™」という2つのアイテムを用いた比較実験を行いました。 猫による鳥の狩猟被害を防ぐために開発された特殊な首輪「Birdsbesafe」  実験に参加したのは、家庭で飼われている30頭の猫。16頭には「CatBib」を、残りの14頭には「Birdsbesafe」を装着させ、装着した時の5日間の行動範囲と、装着していない時の5日間の行動範囲とをそれぞれ統計的に比較しました。 よだれかけのような形をした猫の狩猟抑制アイテム「CatBib」  その結果、どちらの首輪にも猫の行動範囲を狭くする効果は見られなかったと言います。具体的には以下です。「ホームレンジ」(HR)は猫が頻繁に訪れる範囲、「コアレンジ」(CR)はその中でも特に出現頻度が高い範囲のことで、単位はすべて「ha」(ヘクタール=100m×100m)です。
特殊首輪と猫の行動範囲
  • Birdsbesafe【装着時】HR=0.58 | CR=0.15
    【非装着時】HR=0.50 | CR=0.14
  • CatBib【装着時】HR=2.79 | CR=0.63
    【非装着時】HR=2.46 | CR=0.71
 こうしたデータから調査チームは、「CatBib」や「Birdsbesafe」には、猫が鳥類を襲う時の狩猟成功率を下げる効果はあるものの、行動範囲を狭める効果までは無いとの結論に至りました。また両首輪を装着していない時の行動範囲を決定づけている最も大きな要因は、「家庭内における猫の飼育密度」だったとも。「CatBib」よりも「Birdsbesafe」におけるHRやCRが極端に小さかったのは、飼育密度が高い家庭で飼われている猫が、たまたま「Birdsbesafe」グループに多く含まれていたからだと推測されています。
Do collar-mounted predation deterrents restrict wandering in pet domestic cats?

解説

 屋外における猫の自由行動を許すことには多くのリスクがつきまといます。具体的には、野生生物の生態系撹乱、野生のヤマネコとの交雑、野良猫との交配と子猫(殺処分数)の増加、人獣共通感染症のリスク拡大、糞尿や鳴き声による近隣住民への迷惑行為、そして交通事故や感染症による猫自身の死亡率増加などです。特殊な首輪を装着しても猫の行動範囲が変わらなかったことから調査チームは、上記したような様々なリスクを避けるための最も確実な方法は「完全室内飼い」だと主張しています。 猫の放し飼いは交通事故や望まれない子猫の増加につながる  2016年に日本のアイペット損保が公開したアンケート調査によると、犬や猫といったペットとの別れの原因のうち、およそ40%が「事故や行方不明」となっています(→出典)。猫を外に出すことのリスクはたくさんありますが、「猫自身の死亡率が高まる」という項目をもう少し現実的に考えれば、無責任な放し飼いが少しは減ってくれるでしょう。 猫を飼う室内環境の整え方