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カナダ・ウィニペグ市で猫の飼育が免許制になってから1年が経過

 カナダ・ウィニペグ市で猫の飼育が免許制になってから1年が経過しました。果たして万事うまく言っているのでしょうか?(2016.1.18/カナダ)

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 2015年1月1日、ウィニペグ市内に暮らす猫の飼い主は、不妊手術を受けている場合は1頭につき年間15ドル、受けていない場合は50ドルを支払って免許を取得することが義務化されました。徴収されたお金は「FIXIT」と呼ばれる基金プログラムに回され、特定の団体が申し込み条件を満たすと、不妊手術を受けるための補助金が下りるという仕組みになっています。11月末日の段階で、市は22,461の免許を発行し、合計264,322ドルの資金を集めたと言います。
 2016年1月、制度の導入からちょうど1年が経過しましたが、現実的な問題点がいくつか浮上してきているようです。
猫の免許制度と問題点
  • 基金の利用が少ない 基金「FIXIT」を利用できるのは、獣医師と提携した非営利団体、動物病院、医療行為を提供できる教育機関だけと定められています。また申し込み条件として「猫の免許制度をニュースレター、ソーシャルメディア、メディアリリースといった手法によって公的にサポートしなければならない」とあります。一部の動物保護団体は免許制度に反対の姿勢を示しているため、「公的にサポートする」という条件を満たせず、利用できるお金はあるけれども手をこまねいているという現状があるようです。
  • 野良猫が恩恵を受けにくい 「FIXIT」を利用して低料金不妊手術プログラム(SNAP)を実行しているのは、今のところ「ウィニペグ動物愛護協会」(WHS)だけです。このプログラムは、ライセンスを取得した猫を飼育している低所得者層がターゲットであり、飼い主がいない野良猫は除外されています。結果として、最も不妊手術を必要としている推計10万頭の野良猫たちに、基金が回っていかないという問題があるようです。
  • 不公平感が残る 法律では、免許を取得せずに猫を飼育した場合、最低250ドルの罰金が課されるとされていますが、それでもやはりルール違反をする人はいるようです。真面目にライセンス料金を払っている人から見ると、馬鹿らしくなってしまうでしょう。この問題を解決するため、市は将来的に戸別訪問によって料金を徴収するという形も考えているようです。
 施行から1年が経ち、上記したような問題点が浮き彫りになってきました。市の担当者は今後、こうした問題を1つずつクリアし、猫たちの福祉向上につながるよう微調整していくことが求められます。 Winnipeg's cat licensing program draws criticism after 1st year THE CITY OF WINNIPEG BY-LAW NO. 92/2013 FIXIT Spay/Neuter Grant Program 猫を免許制にして得られたお金は、野良猫たちに十分回っていかない