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「おいしい」・「まずい」と感じた時に猫が見せるリアクション

 おいしいものとまずいものに接したとき、猫がどのような表情を見せるかに関するユニークな調査が行われました(2016.6.22/スウェーデン)。

詳細

 報告を行ったのは、スウェーデン・リンショーピング大学のミケイラ・ハンソン氏。オス7頭とメス6頭からなる13頭の猫を対象とし、好ましい味と好ましくない味、および普通の蒸留水を舐めた時、一体どのようなリアクションを見せるかを録画観察しました。好ましい味の代表として選ばれたのは、アミノ酸の一種「L-プロリン」、好ましくない味の代表として選ばれたのは苦味成分の一種「キニン酸1塩酸塩」です。観察の結果、以下のような傾向が見出されたと言います。
猫の味覚実験
嗜好性が異なる2つの飲み口を設け、猫のリアクションを観察する
  • 実験1【方法】普通の蒸留水とプロリン溶液の比較実験。プロリン濃度は0.05mMol~500mMolの範囲内で5段階に設定する。

    【結果】プロリン濃度が50mMolと500mMolの時、「匂いをかぐ」、「目を半分以上閉じる」、「舌を突き出す」、「鼻を舐める」、「口を開閉する」という行動が増えた。
  • 実験2【方法】普通の蒸留水とキニン酸溶液の比較実験。キニン酸濃度は0.005μMol~50μMolの範囲内で5段階に設定する。

    【結果】キニン酸溶液を舐める時、「舌を突き出す」、「舌を突き出して口を開ける」という行動が増えた。
  • 実験3【方法】プロリン溶液とミックス溶液の比較実験。プロリン溶液は一定の50mMol。ミックス溶液はキニン酸50μMol+プロリンで、プロリン濃度を5~500mMolの範囲内で5段階に設定する。

    【結果】基本的にはプロリンだけが含まれた溶液に対する選好が見られた。ミックス溶液を舐めている時、「目を半分以上閉じる」が減り、「舌を出して口を開ける」が増えた。
 こうした観察結果から、猫が美味しいと感じているときのリアクションは「目を半分以上閉じる」、「舌を突き出す」、「口を開閉する」であり、逆にまずいと感じている時のリアクションは「口を開けて舌を出す」であるという可能性が示されました。なお「鼻を舐める」に関しては判断が難しいものの、どちらかといえば美味しさに対するリアクションではないかとのこと。 猫の食欲不振と増進 Facial expressions and other behavioral responses to pleasant and unpleasant tastes in cats

解説

 上で解説した各種の動作を写真で示すと以下のようになります。猫が餌を食べている時、表情を観察してみると面白いかもしれません。
猫の味覚と表情の関係
  • 目を半分以上閉じる美味しいと感じた時の猫のリアクション「目を半分以上閉じる」 まぶたを50%以上閉じる動作のことで、美味しいときのリアクションと考えられる。人間の新生児、人間以外の霊長類、ウサギなどでは、美味しいものを味わっている時にリラックスした表情を見せる。目を半分以上閉じた表情が猫にとってのリラックスの証だとすると、この表情を見せている時の猫はおいしさを体感していると推測される。ただし、目尻にシワができるほどまぶたをぴっちりと閉じている状態は、逆にまずいものに対するリアクションである可能性があるため混同してはいけない。
  • 舌を突き出す美味しいと感じた時の猫のリアクション「舌を突き出す」 舌を軽く前方に突き出す動作のことで、美味しいときのリアクションと考えられる。人間以外の霊長類、ラット、ウサギ、ウマが美味しいものを食べたときにも観察される。
  • 口を開閉する
    元動画は⇒こちら
     軽く口を開けてすぐに閉じる動作のことで、美味しいときのリアクションと考えられる。ヒト上科の類人猿や新生児で観察される「唇を舐める」行為や、ラットで観察される「舌なめずり」に相当すると推測される。
  • 鼻を舐める美味しいと感じた時の猫のリアクション「鼻を舐める」 過去に行われた調査(Van den Bos et al. 2000)では、まずいものに接した時のリアクションとして報告されているが、今回の調査では逆に美味しい時のリアクションとして観察された。苦味を含んだキニン酸を味わってる時にこの動作が観察されなかったという事実から考えると、どちらかといえば美味しさに対するリアクションであると推測される。ちなみにこの動作は、新世界サルが美味しいものを食べている時に見せる「舌を上に突き出す」という行動に相当する可能性がある。
  • 口を開けて舌を出すまずいと感じた時の猫のリアクション「口を開けて舌を出す」 口を開けた状態で舌を突き出す動作のことで、まずさに対するリアクションであると考えられる。人間以外の霊長類、ラット、ウサギ、ウマでも同様の行動が観察される。いわゆる「オエッ!」。