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国際猫医学会(ISFM)が猫の高血圧症に関するガイドラインを公開

 国際猫医学会(ISFM)は最新の知見に基づき、猫の血圧正常値、計測方法、治療法などに関するガイドラインを公開しました(2017.3.6)。

ガイドライン概要

 国際猫医学会(ISFM)は2017年、猫の高血圧治療に対するガイドラインを公開しました。詳しくは猫の高血圧症というページにまとめてありますのでご参照ください。 猫の血圧測定ではドップラー血圧計や高精細度オシロメトリー(HDO)が推奨される  猫においては拡張期血圧および平均動脈圧を正確に計測することが困難であるため、収縮期血圧が基準値として用いられます。また、計測機器としては超音波を用いたドップラー血圧計もしくは高精細度オシロメトリー(HDO)が推奨されています。高血圧は血管が豊富に分布している臓器をじわじわと傷つけるサイレントキラーという側面があることから、以下のような頻度で定期的に血圧を測定するのが理想です。
猫の血圧計測頻度
  • 3~6歳:できれば12ヶ月に1回程度
  • 7~10歳:少なくとも12ヶ月に1回
  • 11歳超:少なくとも6~12ヶ月に1回
  • リスク猫(※):少なくとも3~6ヶ月に1回
リスク猫
 「リスク猫」とは慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、原発性アルドステロン症(PHA)、副腎皮質機能亢進症(HAC)、褐色細胞腫、血圧が上昇するような投薬治療を受けている、標的臓器障害の兆候が見られる猫のこと。

猫の血圧測定手順

 以下は、学会が推奨している血圧測定の標準的な手順です。計測間の誤差を減らすため、なるべく一定の手順に従って行わなければなりません。 ISFM guidelines on hypertension

計測環境

 他の動物がいない静かな部屋で行う。猫の緊張感をほぐすため5~10分間、身体を拘束しない状態で部屋の中を探索させる。猫のストレスをなるべく減らすため、自分の匂いがついた寝床の上で行うことが望ましい。
 計測は最小限の人員(2名)で行う。飼い主が近くにいた方が落ち着く場合はそうする。計測結果の再現性を確保するため、熟練したスタッフが行う。

姿勢とカフの設置

 猫がリラックスできる姿勢を取らせ、拘束は最小限に抑える。猫が暴れるようだったら強引に抑え込むのではなく、一旦作業を中止する。計測中は猫の姿勢が変化しないように心がける。
 カフ(計測輪)の設置場所は、ドップラー計測の場合は前足か尻尾、HDOの場合は尻尾が望ましい。カフの幅は口径の30~40%程度。カフを締める際は血流を阻害しない程度にしっかり止める。計測場所は可能な限り心臓と同じ水平面に置く。計測場所を触るときは優しく行う。

血圧測定

 ドップラー血圧計を用いる場合は、被毛と皮膚をアルコールで湿らし、超音波ゲルを塗りつけて計測プローブと皮膚とがしっかりと接触するようにする。ほとんどのケースでは被毛剃る必要はない。カフの膨張部分が動脈をしっかり閉塞するようにポジショニングする。カフをゆっくりと膨張させ、血流音が検知できなくなってからさらに20~40mmHg膨らませる。カフからゆっくりと空気を抜いていき、最初に検知された血流を収縮期血圧とみなす。 ドップラー血圧計を用いる場合は前足や尻尾を計測場所とする  高精細度オシロメトリー(HDO)を用いる場合は、ちょっとした動きが収縮期血圧の計測値を変動させてしまうため、計測場所は尻尾を用いることが望ましい。 高精細度オシロメトリー(HDO)を用いる場合は尻尾を計測場所とする

計測値の解釈

 最初の計測値は除外する。5~7回計測を行い、平均値を出す。計測間の誤差が20%を超えるような場合や、計測するごとに値が低下し続けたり上昇し続けたりするような場合は、奇妙な変動が消えるまで計測を繰り返す。正確な計測値が取れない場合は、時間をおいてもう一度計測したり、カフの位置を変えてみる。時間をおいて血圧測定を行う場合は、前回計測した場所と同じ場所、同じ姿勢を採用し、できれば同じスタッフが行う。
猫のドップラー血圧測定
 以下でご紹介するのは、前足にカフを巻きつけて血圧を測定するドップラー血圧測定の様子です。一時的なストレスによる血圧の変動(白衣高血圧)の影響を除外するため、血圧は複数回計測されます。 元動画は⇒こちら