トップ猫の栄養と食事キャットフード成分・大辞典着色料紅麹色素

紅麹色素~意味や目的から安全性まで

 キャットフードのラベルに記された「紅麹色素」。この成分の意味・目的から安全性までを詳しく解説します。何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

紅麹色素とは何か?

 紅麹色素(べにこうじしきそ)とは食品を黄色や赤に染めるときに用いられる着色料です。ベニコウジカビの培養液から得られた「アンカフラビン」および「モナスコルブリン」を主成分とするものはベニコウジ色素、キサントモナシン類を主成分とするものはベニコウジ黄色素と呼ばれます。紅kもう次式をのもととなるベニコウジカビ(Monascus purpureus) 成分の分類上は「着色料」に属し、フードの色合いを調整して猫の食いつきを良くする作用を持っています。
紅麹色素の安全性情報・概要
  • 厚生労働省=既存添加物
  • IARC=発がん性未確認
  • EFSA=データなし
  • JECFA=データなし
  • ペットフード=データなし

日本での安全性情報

 日本において紅麹色素は厚生労働省によって既存添加物(着色料)に認可されています。食品添加物リストによる定義は「のう菌類ベニコウジカビ(Monascus purpureus WENT.)の培養液を乾燥し、粉砕したものより、微温時弱塩酸酸性エタノールで抽出し、中和して得られたもの」です。使用基準は特に設定されていません。
 べ二コウジ色素(Monascus Colour)の安全性に関しては、マウスが一度に大量に摂取したときのLD50(半数致死量)が体重1kg当たり14g超、ラットでは5g超と推計されています。また無毒性量は体重1kg当たり1.25gとされています。ここで言う「無毒性量」(NOAEL)とは動物を対象とした実験において毒性学的な有害事象が一切認められない最高暴露量のことです。べ二コウジ色素をさまざまな割合(0% | 1.25% | 2.5%)で含んだエサを、108週間(2年強)の長期に渡ってラットに給餌したところ、腫瘍の発生が認められなかったことから、発がん性はないと考えられています。
 べ二コウジ黄色素(Monascus yellow)の安全性に関しては、マウスにおけるLD50(半数致死量)が体重1kg当たり60g超、無毒性量は4mLと推計されています。変異原性や発がん性は確認されていません出典資料:日本食品科学研究振興財団

海外での安全性情報

 紅麹で発酵させた米に由来するサプリメントが原因と考えられる健康被害報告がちらほらとあります。原因は紅麹菌が生成する「シトリニン」(citrinin)と呼ばれるかび毒です。こうした経緯もあり、フランスでは摂取前に医師に相談することが推奨されており、EU(欧州連合)ではサプリメント中のかび毒基準値が2,000μg/kgに設定されました。またスイスでは食品としても薬品としても売買することが違法とされています。
 EFSA(欧州食品安全機関)およびJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)における紅麹色素の国際的な安全性情報や基準はありません。
 なお抽出された色素成分ではなく紅麹そのものには「ロバスタチン」(lovastatin)と呼ばれるメビニン酸の一種が含まれています。このロバスタチンに関しては肝不全、腎不全、横紋筋融解症といった副作用の事例が報告されており、また動物実験において骨格の催奇形性が示唆されているため、妊婦による摂取は避けるよう推奨されています出典資料:Drugs.com。妊娠中の方はご注意ください。

キャットフードに入れると危険?

 紅麹色素を猫に対して長期的に与えた場合の安全性や危険性に関してはよくわかっていません。サプリメントなど濃縮物として与えない限りは安全と考えられています。ちなみにEFSA(欧州食品安全機関)は紅麹に含まれるモナコリンを1日わずか3mg摂取しただけで肝臓や筋肉に悪影響が出た症例を報告しています出典資料:EFSA
人間用に売られている紅麹サプリメントは絶対に与えないでください!