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エンドウ豆~安全性と危険性から適正量まで

 キャットフードのラベルに記された「エンドウ豆」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも猫に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

エンドウ豆の成分

 エンドウ豆(pea)はマメ科の一・二年草。さやが硬いタイプは「硬莢種」(こうきょうしゅ)と呼ばれ、煎り豆、煮豆、餡、うぐいす豆といった形で食されます。一方、柔らかいタイプは「軟莢種」(なんきょうしゅ)と呼ばれ、未熟のさやがサヤエンドウ、未熟の種子がグリーンピースとして食されます。 キャットフードの成分として用いられる「エンドウ豆」(硬莢種) キャットフードの成分として用いられる「エンドウ豆」(軟莢種)  スナップエンドウは硬莢種と軟莢種のちょうど中間的なタイプで、さやが柔らかいままグリーンピースのような種子を形成します。

エンドウ豆は安全?危険?

 エンドウ豆を猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはエンドウ豆に関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

ヴィシリン(ビシリン)

 ヴィシリン(ビシリン, vicilin)はマメ科の植物が含むグロブリンの一種。エンドウマメやレンズ豆などに多く含まれています。完全には解明されていないものの、このヴィシリンおよび類似物質であるコンヴィシリンが豆アレルギーの原因物質(アレルゲン)になっているのではないかと推測されています出典資料:R. Sanchez‐Monge, 2004

ファビズム

 ファビズム(favism)とはグルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症の通称。性染色体であるX染色体上にある遺伝子の変異により、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼと呼ばれる酵素を生成できなくなくなります。
 患者数は世界で4億人に達すると言われ、ヒトの酵素欠損症としては最多だと推測されています。酵素の欠落により赤血球の細胞膜で活性酸素を処理できなくなり、結果として細胞膜が損傷を受けてすぐに溶血性貧血を起こすのが特徴です。
 ファビズムを患う人の中にはエンドウ豆を食べると溶血性貧血や急性腎不全を起こしてしまう人がいます。哺乳類では人間のほかウマにおいて確認されていますが、猫においては症例が確認されていません。念のため記しておきます。
猫におけるエンドウ豆の安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていません。