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コハク酸~意味や目的から安全性まで

 キャットフードのラベルに記された「コハク酸」。この成分の意味・目的から安全性までを詳しく解説します。何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

コハク酸とは何か?

 コハク酸(succinic acid)とは貝類のうま味成分として知られるカルボン酸の一種です。琥珀(コハク)を蒸留したときの副産物として採取されたことからこのような名前がつけられました。
 現代では人工的に製造する技術があり、世界中における生産量の総計は1万6千~3万トン、年10%のペースで伸びている物質です。製造方法はマレイン酸への水素添加、1,4-ブタンジオールの酸化、エチレングリコールのカルボニル化のほか、近年では遺伝子操作した大腸菌や出芽酵母から生物的に生成する技術も誕生しています。化学構造式は以下です。コハク酸の分子式 成分の分類上は「酸味料・調味料」に属し、フードの味を変えて猫の食いつきを良くする作用を持っています。
コハク酸の安全性情報・概要
  • 厚生労働省=指定添加物
  • IARC=発がん性なし
  • EFSA=使用基準なし
  • JECFA=使用基準なし
  • ペットフード=データなし

日本での安全性情報

 コハク酸は日本では厚生労働省によって指定添加物として認可されており、酸味料や調味料としてコハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウムが用いられています。使用基準は特に設定されていません。

海外での安全性情報

 コハク酸はIARC(国際がん研究機関)によって発がん性は確認されていません。
 JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)やEFSA(欧州食品安全機関)では使用基準が設定されておらず、またアメリカ食品医薬品局(FDA)でも一般的に安全とみなされる成分(GRAS)に分類されています。

キャットフードに入れると危険?

 コハク酸を猫に対して長期的に与えた場合の安全性や危険性に関してはよくわかっていません。人間に対する摂取使用基準が設けられていないことから、キャットフードに含まれていても猫の健康に対して危険性はないと考えられます。
コハク酸を含んだキャットフード自体ほとんどありません。