トップ猫の文化猫の浮世絵美術館歌川国芳展心学稚絵得

心学稚絵得

 江戸時代に活躍した浮世絵師・歌川国芳の残した猫の登場する作品のうち、心学稚絵得について写真付きで解説します。

作品の基本情報

  • 作品名心学稚絵得
  • 制作年代1842年(江戸・天保13)
  • 落款一勇斎国芳画
  • 板元若狭屋与市
心学稚絵得のサムネイル写真

作品解説

 「心学稚絵得」(しんがくおさなえとき)は、「心学」と呼ばれる学問を絵得(えとき)する、すなわち絵を用いてわかりやすく幼児に教えるために短冊に描かれた作品です。
 「心学」(しんがく)とは江戸時代中期の思想家・石田梅岩(いしだばいがん,1685年~1744年)を開祖とする倫理学の一派のことで、江戸時代後期に大流行し、全国的に広まりました。心学者たちが集った「心学講舎」(しんがくこうしゃ)と呼ばれる施設は、学者たちが修業を行うと同時に、一般大衆へ「道話」(道徳的・教訓的な話)を広める場として、最盛期には全国に180ヶ所以上あったそうです。
 さて、作品中では猫とネズミが酒盛りに興じています。上部には和歌が記されており、 「おそろしい ものをにゃんとも思わさる 心から身を ついにとらるる」 と読めます。「恐ろしいものをなんとも思わないような無知なものは、そのうち命を落とすぞ」、という教訓的な意味がこめられていますが、それはまさに猫を目の前にしてのほほんと酒を飲み、ほろ酔い気分になっているネズミへの警告なのでしょうか。そう考えると、猫が「どうぞ」と差し出しているタコの足も、相手を油断させるための罠(わな)なのかもしれませんね。