トップ猫の文化猫の浮世絵美術館歌川国芳展猫身八毛意

猫身八毛意

 江戸時代に活躍した浮世絵師・歌川国芳の残した猫の登場する作品のうち、猫身八毛意について写真付きで解説します。

作品の基本情報

  • 作品名猫身八毛意
  • 制作年代1842年(江戸・天保13)
  • 落款一勇斎国芳戯画
  • 板元未詳
猫身八毛意のサムネイル写真

作品解説

 「猫身八毛意」(みょうみはっけい)は「近江八景」(おうみはっけい)をパロディ化したうちわ絵の一つです。八景には「八毛意」という字が当てられ、図柄にはそれぞれ違った毛色の八匹の猫が登場します。
 そもそも「近江八景」とは、現在の滋賀県に当たる「近江国」(おうみのくに)にみられた優れた8つの風景で、江戸後期の浮世絵師・歌川広重が錦絵として描いたことでも有名です。具体的には以下。
近江八景
  • 石山秋月(いしやまのあきのつき)~石山寺
  • 勢多夕照(せたのせきしょう)~瀬田の唐橋
  • 粟津晴嵐(あわづのせいらん)~粟津原
  • 矢橋帰帆(やばせのきはん)~矢橋
  • 三井晩鐘(みいのばんしょう)~三井寺(園城寺)
  • 唐崎夜雨(からさきのやう)~唐崎神社
  • 堅田落雁(かたたのらくがん)~浮御堂
  • 比良暮雪(ひらのぼせつ)~ 比良山系
 さて、上記したのが本来の「近江八景」ですが、国芳の「猫身八毛意」ではこれらがどのようにアレンジされているのでしょうか?具体的に見てみましょう。なお、カッコ内の数字は下に示した図内の数字に対応しています。また、「唐崎夜雨」(からさきのやう)と「比良暮雪」(ひらのぼせつ)に相当するダジャレは作中にはかかれていません。
猫身八毛意・絵とダジャレの照合図
猫身八毛意・絵とダジャレの照合図
  • いしやまのあきのつき(1)→ぶちなまのあじのすき(生の鯵をほおばるブチ猫)
  • せたのせきしょう(2)→へたなちくしょう(ネズミを取り逃がしてくやしがる)
  • あわづのせいらん(3)→なまずにじょうだん(ナマズに冗談を言っている)
  • やばせのきはん(4)→赤毛のじまん(浴衣をはだけて赤毛を自慢する)
  • みいのばんしょう(5)→三毛のばんしょう(盤将棋を楽しむ三毛猫2匹)
  • かたたのらくがん(6)→またたびらくがん(またたび入りの落雁)