トップ猫の手入れとケア歯磨き粉の成分・大辞典パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)

パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)~犬猫向け歯磨き粉の安全性と危険性

 犬猫向け歯磨き粉に含まれている「パラオキシ安息香酸エステル」(パラベン)。この成分はペットが口にしても大丈夫なのでしょうか?最新の科学的データと共に安全性と危険性を検証しましょう。

日本における安全性情報

 パラオキシ安息香酸エステル類(para-hydroxybenzoate)は、パラオキシ安息香酸にアルコール類をエステル化して得られた化学物質の総称。略してただ単に「パラベン」(paraben)とも呼ばれます。基本的な化学構造式は以下です。 犬猫向け歯磨き粉に含まれている成分「パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)」  日本国内では厚生労働省によってパラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルの5品目が指定添加物の「保存料」として指定されています。
 また食品衛生法第11条第1項に基づき、以下のような使用基準が定められています。 日本食品化学研究振興財団
パラベン使用基準
  • しょうゆパラオキシ安息香酸として0.25g/L
  • パラオキシ安息香酸として0.10g/L
  • 果実ソースパラオキシ安息香酸として0.2g/kg
  • 清涼飲料水及びシロップパラオキシ安息香酸として0.1/kg
  • 果実及び果菜の表皮パラオキシ安息香酸として0.012g/kg

海外における安全性情報

 EFSA(欧州食品安全機関)では入手可能なデータが限られているため、現時点におけるパラベンの一日摂取許容量(ADI)や使用基準を決めることはできないとの見解を示しています。一方、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)ではパラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)とエチルパラベンのグループADIとして体重1kg当たり1日0~10mgと設定しています。これはパラオキシ安息香酸エステル類が実験室レベルの試験で弱いエストロゲン(卵胞ホルモン)作用がある可能性を指摘しており、この弱いエストロゲン作用が人の健康に対してどのような影響を及ぼすかに関しては、現時点ではっきりしないからです出典資料:食品安全委員会。なお国際がん研究機関(IARC)によって発がん性は確認されていません。
ペット向けの歯磨き粉には保存料や防腐剤として使用されます。