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アメリカ中部における野良猫のノミダニ感染率が判明

 定期的な医療ケアを受けていない野良猫を対象とした調査により、アメリカ中央部における猫のノミダニ感染率が明らかになりました(2016.8.18/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのは、アメリカにあるオクラホマ州立大学・獣医健康科学センターのチーム。不妊手術を施した後、元の生活域に戻す「TNR活動」を通じ、アメリカ中部の動物病院に連れてこられた合計673頭の野良猫を対象とし、体の外に寄生する外部寄生虫の感染率を調査したところ、以下のような結果になったと言います。
外部寄生虫感染率
アメリカ中部における野良猫の外部寄生虫感染率グラフ
  • ノミ=71.6%
  • ミミヒゼンダニ=19.3%
  • ダニ=18.7%
  • ハジラミ=1.0%
  • ネコツメダニ=0.9%
 さらにノミ感染猫322頭から合計1,117匹のノミを回収して種類を特定したところ、以下のような内訳になったと言います。
感染ノミの種類
  • ネコノミ=97.2%
  • ヒトノミ=2.8%
  • ウサギノミ=0.6%
  • ヨーロッパネズミノミ=0.6%
 またダニ感染猫126頭から合計373匹のダニを回収して種類を特定したところ、以下のような内訳になったと言います。
感染ダニの種類
  • キララマダニ=65.9%
  • クロアシマダニ=32.5%
  • シンリンダニ=10.3%
  • クリイロコイタマダニ =0.8%
 こうした高い感染率から調査チームは、殺ノミ・殺ダニ薬を通年的に使用することの重要性を訴えています。 Ectoparasites of free-roaming domestic cats in the central United States

解説

 日本における外部寄生虫の疫学調査はほとんどありませんが、耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の保有率に関しては各国と同じくらいと考えるのが妥当でしょう。
世界各国の耳ダニ感染率
  • ギリシア=25.5%
  • ロンドン=29%
  • アメリカ=22.5~37%
  • エジプト=22.65%
  • トルコ=27.7%
 耳ダニ以外の寄生虫に関しても推測の域を出ませんが、ノミの感染率が「71.6%」という高い数値だったことから、ほとんどの野良猫は被毛の下にノミ(特にネコノミ)を保有しているものと考えられます。「野良猫をお風呂に入れたら、体中に隠れていたノミがわさわさと顔に這い上がってきた!」という逸話をたまに耳にしますが、これは残念ながら都市伝説ではありません。
【閲覧注意】以下でご紹介するのは、野良猫をお風呂に入れた時の動画です。被毛の中に隠れていたノミやダニが、水を避けようとして一斉に顔まで這い上がってくる様子が見て取れます。 元動画は→こちら
 外部寄生虫は、食事によって収まる空腹などとは違い、治療を施さない限り朝から晩まで猫を苦しめ続けます。痒さに耐えきれず出血するまで自分の体をかきむしってしまうことも少なくありません。予防の最善策は「完全室内飼い」ですが、それができない場合は少なくともノミダニ用のスポット薬などを投与して苦痛を軽減してあげたいものです。 猫のノミ皮膚炎 猫の耳疥癬 耳ダニによるかゆみに耐えきれず潰瘍ができるまで自分の皮膚をひっかいてしまった猫