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尿管結石を発症しやすい猫の品種が判明

 尿管結石を発症した猫を対象とした統計調査により、雑種猫よりも純血種の方が結石を発症しやすいという傾向が明らかになりました(2016.2.10/日本)。

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 尿管結石とは、腎臓と膀胱とを結ぶ「尿管」と呼ばれる管状の組織内に結石が生じてしまった状態。尿管に入った結石は障害を起こすことなく膀胱内に移行することが多いものの、部分的~完全な尿管閉塞を引き起こすことがあります。結果として尿管や腎臓(腎盂)の拡張を引き起こし、腎実質の破壊を招きます。猫の腎臓と尿路の解剖模式図  調査を行ったのは麻布大学附属動物病院。2007年4月~2014年3月の間、尿管結石と診断された猫64例を元に統計データを作成しました。その結果、結石を発症しやすい品種として「スコティッシュフォールド」、「アメリカンショートヘア」、「ヒマラヤン」といった純血種の名が浮上して来たと言います。具体的には以下です。数値はオッズ比を表しており、「1」より大きければそれだけかかりやすいという意味になります。ちなみに雑種猫は「0.273」という極めて低い値です。
尿管結石の好発品種
尿管結石の好発猫種  その他の基本データは、「全頭が完全室内飼育」、「平均年齢は5.8歳(7ヶ月~12歳)」、「結石の93.8%がシュウ酸カルシウム主体」などです。また品種以外のリスクファクターとしては以下のような項目が考えられています。
尿管結石の危険因子
  • 水分不足
  • 運動不足
  • 肥満
  • ドライフード
 最後のドライフードに関しては、罹患猫の中に缶詰や人の食べ物を主食としている猫がいなかったという事実に基づく推測です。約2割では尿石用の療法食が給餌されていたといいますので、フードのパッケージに書かれている効能を鵜呑みにし、安心してしまうのは危険なようです。
 好発品種として浮上してきた「スコティッシュフォールド」、「アメリカンショートヘアー」、「ヒマラヤン」は、日本国内では人気品種であるため、今後も症例が増えるだろうと予測されています。 日獣会誌68, 761~764(2015) 猫の泌尿器の病気