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衣類乾燥機の事故による猫の熱中症に注意!

 衣類乾燥機に猫が入っていることに気づかずスイッチを入れてしまい、熱中症になってしまうという症例が一般のニュースだけでなく医学文献の中でも報告されています。

猫の乾燥機事故

 衣類乾燥機は内部温が52~57℃に達する家庭用電化製品。用途は文字通り洗濯後の衣類を乾かすことです。アメリカ・カリフォルニア州にあるACCESS Specialty Animal Hospitalsは、この乾燥機の中に猫が入っていることに気づかずスイッチを入れて熱中症にかかってしまった3つの事故例を報告しています。
症例1
●去勢済みオス/10歳/短毛種
●飼い主が誤ってスイッチを入れてしまい衣類乾燥機の中に10~15分放置された
●症状は意識鈍麻、横臥(自力で立てない)、発声、直腸温42.3℃、粘膜うっ血、舌と口腔内の血液を伴う潰瘍、両目から漿液性の涙
症例2
●避妊メス/9歳/長毛種
●飼い主が誤ってスイッチを入れてしまい衣類乾燥機の中に20分ほど放置された
●意識昏迷、横臥(自力で立てない)、直腸温42.2℃、両目の角膜潰瘍、頬粘膜と舌のびらん、耳介と脇腹の軽度熱傷(焼け焦げた被毛と水疱を伴わない紅斑)
症例3
●避妊メス/14歳/ペルシャ
●飼い主が誤ってスイッチを入れてしまい衣類乾燥機の中に45分放置された
●直腸温は高すぎて計測不能、横臥(自力で立てない)、頻脈、口腔粘膜潰瘍、歯牙破折、前房出血、瞳孔不同、喀血
Clothes dryer-induced heat stroke in three cats
Sarah E. Cudney,Annie Wayne, Elizabeth A., et al., Journal of Veterinary Emergency and Critical CareVolume 31, Issue 6, DOI:10.1111/vec.13131

乾燥機を使う前に中を確認!

 どの熱中症症例においても神経の機能不全、角膜と粘膜の潰瘍、横紋筋融解症が主な症状でした。また放置された時間(=熱にさらされた時間)が長いほど血液凝固不全、急性肝障害、急性腎障害、心機能不全、消化器不全などの後遺症が顕著に現れ、障害を受けた臓器の数と入院期間が増えました。
 皮膚のやけどが主症状でない点は直感に反しますが、上記した後遺症のほうがマシというわけでは全然ありません。幸い命を落としたケースはなかったものの、どの猫も2~9日間の入院と集中治療を余儀なくされています。 乾燥機を使用する前に中に猫がいないかどうかを必ず確認すること  すべてのケースに共通している事故の原因は「飼い主のうっかり」です。夏場はドラムのひんやり感を求め、冬場は洗濯物の一時置き場のフカフカ感を求めて乾燥機の中に入ってしまうものと推測されます。また単純にこじんまりした個室に本能的な魅力を感じてしまうということもあるでしょう。 子供がいる家庭では乾燥機のチャイルドロックを使用すること  理由はどうあれ、乾燥機を所有している場合は「開けっ放しにしない」「使う前に中を確認する」という習慣を持つことが重要です。猫だけでなく小さい子供が家庭内いる場合は、チャイルドロックでそもそも中に入れないようにすることも有効でしょう出典資料:JEMA)
ドラム内に衣類を放置しがちな洗濯乾燥機も猫にとっては絶好の隠れ家になります。また排風ダクトがついたタイプの場合、ダクト内に猫が入ってしまうという事故例があります。猫の熱中症はこう防ぐ!