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猫と遊ぶ

 遊びには、猫のストレスを解消すると同時に、脳や体への刺激、適度な疲労による夜中の「運動会」予防など、様々な効果があります。刺激が少なくなりがちな、室内飼いの猫と効果的に遊ぶ方法について考えて見ましょう。

猫の遊びとは?

猫にとって遊びとは、娯楽であり学習でもある。  遊びとは、生きていく上で必要ない行動を、不明確な目的ために行うことです。猫における遊びは、生後4~16週齢の間に最もよく見られますが、成猫になってもなくなるわけではありません。
 遊びの目的には諸説あり、娯楽、体力の増進、狩猟行動の練習、神経系の発達、周囲の環境への慣れ、などが主なところです。
 遊び行動は猫以外の動物でもよく見られます。以下は、家畜として代表的な動物の遊び行動一覧です。 「家畜行動図説」(朝倉書店)
家畜動物の遊び行動
  • ウシ  枯れ枝や雑草の茎などを鼻や頭を使って動かす。尾を上げ、体をくねらせながら飛び跳ねる。子ウシ同士が頭と頭で押し合う。追いかけっこをする。マウンティングをする。
  • ウマ  落ちている小枝などを前足で軽く叩いたり口でくわえたりする。尾を上げて飛び跳ねる。子ウマ同士が後足で立ち上がってじゃれあう。
  • ブタ  丸いものを鼻先で押して転がす。活発に跳ね回る。子ブタ同士で追いかけっこやマウンティングをする。
  • ヤギ  枯れ枝などをくわえて運んだり、頭部や前足を用いて動かす。体をくねらせながら跳ね回ったり急旋回したりする。母ヤギの背中や樹木に登ることもある。子ヤギ同士で追いかけっこやマウンティングをする。
  • ヒツジ  ぶら下がっているものを角などで動かす。尾を上げ、体をくねらせながら飛び跳ねる。箱や切り株などの上に上がる。子ヒツジ同士で押し合ったりマウンティングをする。
  • イヌ  目の前にあるものを前足で動かす。活動的に跳ね回る。舐める。物をかむ。子イヌ同士で追いかけっこをしたりマウンティングをする。遊びに誘うプレイバウ(play bow)を見せることもある。
  • チンパンジー  地面に腕や背中をこすり付ける。物を手で転がしたり振り回したりする。片足を軸にしてグルグルと旋回する。子ザル同士でかみ合ったり軽く叩いたりする。笑うようなプレイフェイス(play face)を見せ、追いかけあったりする。
 このように家畜動物の多くは、子獣時代において遊び行動に夢中になるようです。以下では子猫同士で行う「社会的遊び」と、独りで行う「単独遊び」について解説します。
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子猫の社会的遊び

 生後4週齢の頃は、兄弟猫とじゃれあう社会的遊びがメインです。離乳の早い猫、オスだけからなる群れにおいては社会的遊びが促進されるといいます。また兄弟猫がいない「一人っ子」に関しては、母猫が遊び相手になってやることが多いようです。
 子猫同士が行う社会的遊びは、以下の7つに分類されます。なお前肢(ぜんし)とは前足、後肢(こうし)とは後足のことです。 「猫の行動学」(インターズー)
子猫の社会的遊び
子猫に見られる代表的な遊び七種
  • ベリーアップ(belly up)  仰向けになって前肢は引っかき行動を示し、後肢は歩行行動を示す。21~23日齢の間で初めて登場する。6週齢では社会的遊びの13%を占め、12週齢では16%を占める。
  • スタンドアップ(stand up)  仰向けになっている子猫の前で立ち上がって見せる。67%の確率でベリーアップと同時に見られる。
  • サイドステップ(side step)  1頭の猫が横向きの姿勢を取り、もう1頭の猫に対して体をやや弓なりに反らせ、尾は上向きに曲げる。その姿勢のまま横歩きで歩み寄ったり、他の猫の周囲を回ったりする。32日齢から見られ、6週齢では社会的遊びの20%を占める。
  • バウンス(bounce)  子猫が後肢を体の下に置き、尾をまっすぐ後方に伸ばして身を低くかがめる。後肢を使って体重を前後に移動させ、ほかの子猫に向かって飛びかかる。33~35日齢から登場し、6週齢では社会的遊びの42%を占めるものの、12週齢までには5%まで激減する。
  • イレクト(erect)  後肢の関節を伸ばして二足歩行し、直立姿勢をとる。35日齢から登場し、12週齢では社会的遊びの25%を占める。
  • チェイス(chase)  複数の子猫が、互いに追いかけたり逃げたりする。38~41日齢頃から登場する。
  • フェイスオフ(face off)  2匹の子猫が互いににらみ合い、相手に向かって極端な前傾姿勢をとる。前肢を相手の顔面に向かって動かす。48日齢頃から登場する。
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子猫の単独遊び

 子猫同士で行う社会的な遊びから、独りで行う単独遊びへと切り替わるのは、離乳期の終りに差し掛かった7~8週齢頃です。単独遊びは、隔離されたり兄弟のいない子猫、およびオスの兄弟猫がいるメスの子猫で多く観察されます。また、上記した以外の子猫では、50日齢頃を境にして劇的に増加します。
 子猫の単独遊びには、以下のようなものがあります。 「猫の行動学」(インターズー)
子猫の単独遊び
子猫に見られる代表的な単独遊び三種
  • ネズミ遊び  ボールのような小さな動く物体の上に飛びかかり、前肢でしっかりとその物体を確保する。
  • トリ遊び  飛んでいる物体をとらえ、口の中に入れる。地面から飛び上がる瞬間や、一地点から別の地点へ飛ぶ物体に興味を示す。
  • ウサギ遊び  対象物を地面に倒し、首に噛み付く。
  • 空想遊び  想像上のものや獲物を叩いたり追いかけたりする。
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猫と上手に遊ぶ方法

 猫と上手に遊ぶときのコツをまとめました。同居猫のいない猫や、やんちゃ盛りの子猫を相手にするときの参考にして下さい。
 事故を予防するため、遊ぶ前には必ず固いものを片付けたり、突起にクッションをかぶせるなどします。また足腰への負担を軽減するため、猫に急激な方向転換を強いるようなおもちゃの動かし方は避けるようにします。うまく遊んであげれば、適度に疲れて夜中に騒ぐことがなくなるでしょう。
 以下は、猫と効果的に遊ぶためのポイントです。
猫と遊ぶときのポイント
  • 遊びは食事前に  成猫と遊ぶ際は、少しおなかが空いている頃合いを見計らって、遊びに誘ってみましょう。理由は、数時間何も食べていないとき、小さなものを使った遊びの頻度が高まるからです(Bradshaw, 1998)。これは、空腹感があるために「何か獲物をつかまえないと!」という狩猟本能が目覚めるからかもしれません。
  • 催促に応じない  「ニャーニャー!」という猫の催促鳴きに応じて遊びを開始してしまうと、猫は「鳴けば自分の願いがかなう」と学習してしまいます。これを繰り返すと、無駄鳴きを助長してしまう危険性がありますので、遊びの開始は必ず飼い主が決めるよう徹底します。
  • 猫の視覚を知る  猫の色覚は人間とは全く違います。黄色と青、およびその中間色以外は上手に認識することができません。ですから、おもちゃを選ぶときは赤系統を避け、なるべく猫が見やすい色にします。
     また逆に、白黒のコントラストに関しては人間よりも敏感です。おもちゃのどこかにキラキラ光る素材が入っていると、猫の目でとらえやすくなります。
  • やや薄暗くする  猫は薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)といって、少し薄暗くなってから活動的になる動物です。部屋の中が余りにも明るいと、なかなか動こうとしないことがあります。また、蛍光灯の光は、猫の目には点滅して見えます。この光がわずらわしいがために、やる気を失ってしまう可能性もありますので、豆電球をつけるなど猫が好みそうな薄暗い環境を演出した方がよいでしょう。
  • 腹八分目で終わる  おもちゃで遊んでいるときの猫の体内では、コルチゾールと呼ばれるホルモンが大量に分泌されています。このホルモンは、猫を狩猟行動に駆り立てる一方、あまりにも長時間体に作用すると、ストレスの原因になってしまいます。
     10~20分くらい遊び、猫が寝そべって小休止を取ったり、鼻で「フンフン」と呼吸をするようになったタイミングで切り上げるようにします。
  • 常に新鮮なおもちゃを  猫は飽きっぽい動物です。一度は夢中になったおもちゃでも、しばらくすると見向きもしなくなります。猫に新鮮な刺激を与えるため、できるだけ新しいおもちゃを用いるのが理想です。
     なお、一度飽きたおもちゃでも1ヶ月くらい見せないでおくと、再び夢中になってがっつくことがあります。古いおもちゃは壊れていない限り、捨てずに保管しておいたほうがよいでしょう。 猫に必要なおもちゃ・玩具
  • マタタビでアクセントをつける  マタタビ好きの猫の場合、おもちゃに塗りつけることによって、より活発に遊ぶことがあります。また最近は、マタタビの成分をあらかじめ練りこんだおもちゃも売られていますので、試してみましょう。 売れ筋マタタビ製品
  • 猫に無理強いしない  一般的に、猫のやんちゃ盛りは2歳くらいまでと言われています。この時期を過ぎた猫は、じっと日向ぼっこをしたり、飼い主の膝の上で昼寝することを、段々と好むようになります。遊びに誘っても乗ってこないからといって、無理やり猫を遊びに付き合わせない方がよいでしょう。
  • 誤飲に注意 遊んだ後は、おもちゃのひも、釣り糸、毛糸などを必ず猫の手が届かない場所に保管するようにして下さい。ひも状の異物は腸管内にひっかかりやすく、間違って飲み込んでしまうと最悪のケースでは死を招いてしまうこともあります。留守番中の猫にひも状のおもちゃを与えて外出することは絶対にNGです。
 冒頭で「遊びは食事前に」と述べましたが、1998年に行われた実験で、猫の空腹の度合いが遊びの頻度に影響を及ぼすことが明らかになっています。
空腹の度合いと遊び行動
猫はおなかが空いていたほうが遊び行動に走りやすい  実験では、ごはんを食べたばかりで満腹状態の猫と、絶食16時間で空腹状態の猫を対象に、おもちゃに対する遊び行動の頻度が観察されました。おもちゃのサイズは、体積が90立方センチメートル程度の小さなものと、体積が330立方センチメートル程度の大きなものです。その結果、おもちゃに噛み付く行動が、満腹時よりも空腹時において多く見られたといいます。さらに、大きなおもちゃよりも小さなおもちゃに対する食いつきの方がよかったとも。
 遊びのためにわざわざごはんを抜く必要はありませんが、ちょっとおなかがすいている頃合いを狙って猫を遊びに誘うと、うまく乗ってきてくれるかもしれません。 The Behaviour of the domestic cat

ネズミ型遊び

 ネズミ型遊びとは、おもちゃをネズミのように動かして猫を挑発する遊び方です。ポイントは、物陰に隠れる・音を立てる・すばしっこく動くというネズミの特徴を上手に再現することです。
 なお猫は、余りにも大きなおもちゃに対しては恐怖心を抱いてしまうことがあります。リアクションが悪いと感じたときは、少し小さめのおもちゃに切り替えてみてください。また、レーザーポインターは、非常に猫を興奮させやすいアイテムです。しかしその反面、手でつかまえたり口でかじったりすることができません。結果、興奮したはいいけれども、そのはけ口が見つからず、逆にストレスになってしまうことがあります。ですから、過剰な使用は避けたほうが無難でしょう。
猫のネズミ型遊び
 以下でご紹介するのは、おもちゃをネズミのように動かす「ネズミ型遊び」の動画です。座布団をアーチ状にしたり、不要な紙袋を寝かせたりして、ネズミの隠れ家を再現します。猫は「薄暗い隙間」を見ると興奮するようです。また、カサカサという小さな音を立てると、猫の興奮度がさらに増します。 元動画は⇒こちら

トリ型遊び

 トリ型遊びとは、おもちゃをトリのように動かして猫を挑発する遊び方です。ポイントは、空を飛ぶ・激しく左右に動く・高いところに止まる・突然飛び立つというトリの特徴を上手に再現することです。
 なお、おもちゃを猫の進行方向とは逆に急転換すると、膝を脱臼してしまうことがあります。急激に動かすときは、ハイジャンプを促すよう上向きに限定しましょう。
猫のトリ型遊び
 以下でご紹介するのは、おもちゃをトリのように動かす「トリ型遊び」の動画です。空中を旋回するように動かしたり、左右に激しく揺さぶると猫は興奮します。 元動画は⇒こちら

ウサギ型遊び

 ウサギ型遊びとは、おもちゃをウサギのように動かして猫を挑発する遊び方です。ポイントは、ピョンピョン跳ねる・突進する・物陰から突然現れるというウサギの特徴を上手に再現することです。
 なお、おもちゃに夢中になった猫は周囲の環境が見えなくなってしまうことがあります。頭をぶつけると危険な固いものは事前に片付けたり、クッションで覆うなどしましょう。頭をぶつけると急性硬膜外血腫、あごをぶつけると骨折のような重大な事故につながることがあります。
猫のウサギ型遊び
 以下でご紹介するのは、おもちゃをウサギのように動かす「ウサギ型遊び」の動画です。ウサギが跳ねるようにピョコピョコと動かすと、猫は狩猟本能をかき立てられます。たまに顔に向かって突進するように動かすと、猫の闘争心に火がつくようです。 元動画は⇒こちら