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猫の進行性網膜萎縮~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の進行性網膜萎縮(しんこうせいもうまくいしゅく)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の進行性網膜萎縮の病態と症状

 猫の進行性網膜萎縮とは、眼球の内側を内張りしている網膜(もうまく)が変性して薄くなった状態を言い、びまん性網膜変性症とも呼ばれます。 猫の眼球断面図  犬に関しては遺伝的な要因がほとんどであるのに対し、猫の場合そのほとんどが後天的な要因だといわれます。視力障害の度合いは、萎縮した網膜の面積次第です。
 猫の進行性網膜萎縮の症状としては以下のようなものが挙げられます。
進行性網膜萎縮の主症状
  • 夜盲症
  • 眼底血管の蛇行
  • 散瞳(瞳孔が開きっぱなし)
  • 失明

猫の進行性網膜萎縮の原因

 猫の進行性網膜萎縮の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
進行性網膜萎縮の主な原因
  • 先天性  この病気に関し、先天的な要因はまれですが、ペルシャアビシニアンでわずかながら症例が報告されています。
  • タウリン不足  ほとんどの原因は後天的なもので、具体的にはタウリンと呼ばれるアミノ酸不足で発症します。1987年、拡張型心筋症とタウリンの因果関係が発見されてからペットフードにタウリンが配合されるようになりました。その結果、心筋症と共に進行性網膜萎縮症の発症数も減ったため、現在ではあまり見かけることがありません。しかし飼い主が横着し、猫にドッグフードを与え続けたときなどにはやはり発症してしまいます。 猫とタンパク質

猫の進行性網膜萎縮の治療

 猫の進行性網膜萎縮の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
進行性網膜萎縮の主な治療法
  • タウリンの摂取  病気が初期段階にあるなら、不足しているタウリンを補うことで病状の進行を食い止めることができます。しかし一度変性した網膜を復元することは、現代医学では不可能ですので、予防が肝心ということになります。またタウリンの摂取は、拡張型心筋症を予防する上でも重要です。 猫とタンパク質