トップ有名な猫一覧奇跡の生還を果たした猫フェイス

フェイス

 空襲から我が子を守ったことで有名な猫「フェイス」について解説します。

フェイスとは?

 フェイスは、第二次世界大戦における「ロンドン急襲作戦」の際、激しい空襲から我が子を守り通した母猫。名前は「顔」ではなく「信仰心」の方の「Faith」。
空襲から我が子「パンダ」を守り通した勇敢な母猫「フェイス」の肖像  1936年の時点で、彼女はまだ野良猫でした。ある日、寒さを凌ごうとしてロンドンのワトリング通りにあるセント・オーガスティン教会に忍び込もうとしますが、教会の守衛に追い返されてしまいます。何度かの失敗の後、建物への侵入に成功した彼女は、教会のヘンリーロス神父に見つかってしまいます。しかし幸運なことに神父は猫好きだったため、彼女は正式な教会猫として飼われることになりました。フェイス(信仰心)と名づけられたこの猫は、信者からも教会関係者からも可愛がられ、説教の際は神父の足元で寝るほど、教会の一部となっていきます。
 平穏な日々が4年ほど過ぎた1940年の8月、彼女は子猫を産み落としました。耳としっぽに黒いブチがあったことから「パンダ」と名づけられたこの子猫は、戦争や不景気で淀みがちな世間の空気を明るくしたといいます。ところが、まだ乳離れも完了していない9月6日、フェイスがなぜか冷たい地下室へパンダを運び込む姿が目撃されます。心配したヘンリー神父は、3回ほど上の階へ連れ戻しましたが、いつの間にか地下室に戻り、頑として上階へ戻ろうとしません。
 するとその翌日の9月7日、ドイツ軍の「ロンドン急襲作戦」により周囲が空襲に遭い、教会や建物が損壊を受けます。教会の惨状はひどく、建物は瓦礫と化し、柱は燃え盛っていたと言います。何とか一命を取り留めた神父は、瓦礫を掻き分けてフェイスの名を呼ぶと、隙間から弱々しい声が聞こえてきました。攻撃が加えられている間、彼女は子猫を守り通したのです。
 この勇敢な行動は、後にロンドン中で話題となり、1945年10月12日、特製の銀メダルがカンタベリーの大主教からフェイスに授与されました。 St Augustine Watling Street Purr'n'Fur

フェイスの写真

 以下でご紹介するのは、空襲から我が子を守ったことで有名な猫「フェイス」の写真です。 教会猫フェイスのものとして唯一のこっている写真
 教会の守衛だったトーマス・エヴァンズの反対を押し切り、ヘンリー神父はフェイスを教会猫として受け入れた。写真の出典はこちら
第二次大戦中に大破したセント・オーガスティン教会も、今ではすっかり復興している
 現在のセント・オーガスティン教会。セント・ポール大聖堂のすぐ東に位置している。写真の出典はこちら