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捨て猫や保護猫の引き取り方・完全ガイド

 何らかの理由で施設に保護された猫たちを引き取る際の方法や手順を詳しく解説します。保護猫たちとはどこで会えばよいのでしょうか?また里親になるために必要な条件とは何なのでしょうか?

猫を引き取る準備をする

 猫を家に迎えるときに必要となる様々な準備について解説します。猫に対する同情心だけでは解決できない問題もありますので、見切り発車で猫を引き取る前に、じっくりとシミュレーションしてみましょう。

猫と暮らす心の準備をする

 まずは猫を飼う前に必要な条件をクリアすることが大前提です。
 一度猫を飼ってしまうと、ずっと猫と一緒に暮らすこととなります。寂しい時や退屈な時だけ都合よく猫が登場するわけではありませんし、ぬいぐるみのように食餌やトイレの世話が不要というわけでもありません。猫は飼い主によるお世話が必要な生き物であるという当たり前の事実を、事前にしっかりと肝に銘じておく必要があります。ご自分の気持ちを整理するためにも以下のページをじっくりとお読み下さい。猫を飼う前に必要な条件  心の準備としては「もし今猫を飼っていたら、自分はどう感じるだろうか?」という意識を常に持ちながら日常生活を送ってみましょう。退屈なときや経済的に余裕があるときは「犬や猫がいたらなぁ…」と思うかもしれません。しかし実生活の中には、外回りでくたくたになって今すぐにでもベッドに入りたいとき、恋人と映画に出かけるとき、連休を利用して家族で旅行するとき…などありとあらゆる状況が存在します。そうした様々な状況と「猫を飼っている」という条件とを掛け合わせて頭の中でシミュレーションしてゆき、3~6ヶ月様子を見ます。
 こうしたシミュレーションを繰り返し、もしあなたが「やっぱりちょっと負担だなぁ…」とか「うわ面倒くさいなぁ…」と感じることが多いようなら、まだ用意ができていません。お近くの猫カフェや知り合いの飼っている猫などと、たまに触れ合っていた方が猫のためでもありますし、あなたのためでもあります。
 「やっぱりどうしても猫と暮らしたい!」という強い願望と責任感が、猫を飼う際の大前提となります。

猫を飼う費用を考える

 「犬に比べて猫はお金がかからない」という風説がありますが、少なく見積もっても1頭につき年間9~15万円ほどの飼育費がかかります。生活必需品の買い替えや不慮の事故、病気の治療費といった臨時の出費もありますので、しっかりとした経済的な基盤がないのに見切り発車で猫を飼い始めるのはNGです。猫の飼育にかかる費用については以下のページを参考にしてください。 猫を飼う際必要な費用  日本各地で多発している「多頭飼育崩壊」には、飼い主の経済力不足が大きく関わっています。よく見られるのが「費用がなくて不妊手術をしていなかったらいつのまにか猫が増えてしまった」というパターンです。こうした事件は、猫たちを劣悪な環境下にぎゅうぎゅう詰めにして著しく福祉を損なうと同時に、飼い主のいない猫の数を増やす残酷なものです。  子猫の頃から飼い始め、15歳まで一緒に暮らした場合、最低でも1頭につき140~230万円程度の費用がかかります。知識不足で可哀想な猫たちを出さないよう事前にしっかりとシミュレーションし、十分な蓄えを用意しておくことが重要です。

猫を迎える環境を整える

 猫を迎える環境の整え方に関しては猫を飼う室内環境猫に必要なペットグッズをご覧下さい。
 賃貸契約でペットの飼育が禁止されているのに見切り発車で猫を飼うのは厳禁です。「ペット可」の物件を見つけて引っ越してからにしましょう。一部では猫の「隠し飼い」を奨励(しょうれい)しているかのような書籍を見かけますが、絶版に値する極めて不適切な内容です。
賃貸物件の規約に違反してペットを飼っていると、急に立ち退きを要求されるかもしれませんよ!↓三重県の事例
NEXT:里親に応募する

猫の里親に応募する

 猫の里親に応募するにはどうすればよいのでしょうか?代表的な窓口としては各地方自治体の動物愛護センター保健所、及びセンターから一旦猫を譲り受けて改めて里親を募集する民間の保護団体が挙げられます。

動物愛護センターや保健所に応募する

 各地方自治体の動物愛護センターに応募する場合、多少の違いはありますがおおむね以下のような流れで譲渡手続きが進行します。各都道府県の動物愛護センターの場所や連絡先は公共機関の里親募集案内をご覧下さい。なお人手不足や管理スペース不足などの理由により、猫の譲渡を行っていない自治体もありますので、事前に所属地域にご確認ください。
 また猫を動物愛護センターや保健所から譲り受けるときの特徴や注意点、および社会的な意味については以下のページでも詳しく解説してありますので、他の入手方法と比較しながらご検討ください。猫の購入・入手方法
【行政】猫の譲渡会の流れ
  • 動物愛護センターに講習の予約を入れる
  • 指定された講習日にセンターを訪れて受講する
  • 譲渡候補の猫と対面する
  • 気に入った猫がいたら譲渡希望の申し込みをする
  • 他に希望者がいなければ譲渡仮決定
  • 譲渡
 以下でご紹介するのは、都道府県における犬猫譲渡会の様子です。動物たちがどのように管理されているのか、そして譲渡会がどうやって進行するのかが簡単に紹介されています。ただし全ての保健所や動物愛護センターが同じようなキャパシティや人員を有しているわけではありません。 元動画は⇒こちら

引き取り手順1

 まずは動物愛護センターや保健所に講習の予約を入れます。猫の飼育に関して極端に無知で低レベルな飼い主をふるいにかけるため、強制的に講習を受講させるのが一般的です。

引き取り手順2

 予約をとったら指定された講習日にセンターを訪れて飼育者の心得を学びます。平日であることが多いので、働いている人は講習の日程にあわせて都合をつける必要があるかもしれません。内容は約1~2時間で、猫を飼育する際の法律や常識などが中心です。

引き取り手順3

 施設内に保護されている譲渡候補の猫と対面します。猫はあらかじめ疾病検査や性格テスト(人なつこいか、優しいかなど)を通過した個体が譲渡候補として出されます。しかし飼い主としてはその日が初対面ですので、限られた時間の中でその子のキャラクターを感じ取り、自分の性格や生活のリズム、生活環境と合っているかどうかを相性判定しなければなりません。また医療検査では糞便検査のみで血液検査を行っていないところもありますので、事前に担当者に確認しておきましょう。

引き取り手順4

 気に入った猫がいたら譲渡希望の申し込みをします。自分の生活にぴったり合った猫が見つからなかった場合、新しい猫がセンターに来るまで待つことになります。公示期間(こうじきかん=引き取られた猫猫をセンターが”生かして”おく期間)が3日の場合、3~4日に一度の頻度でセンターに問い合わせれば最新の情報を得ることができるでしょう。なお公示期間は自治体によってまちまちですので事前に要確認です。

引き取り手順5

 他に希望者がいなければ譲渡が仮決定します。同じ猫を希望する飼い主候補者がいた場合、単純にくじ引きやじゃんけんで正式な飼い主を決めることが多かったようです。しかし近年は「猫を商品のように扱うな!」という声も多いことから、候補者の適正を吟味した上で優先順位を決めるという方法に変わりつつあります。

引き取り手順6

 いよいよ譲渡決定です。自治体によっては譲渡料金を設定しているところがありますので確認しておきましょう。多くの場合数千円です。
 引き取った猫を自宅までつれてくる際はキャリーバッグが必要となりますので、事前に猫に必要なペットグッズなどを参考にしながら用意しておきましょう。車から家までの距離が短いからと言って抱っこした状態で移動してはいけません。この瞬間に猫が腕の中から飛び出し、そのまま迷子になってしまうというケースも実際にあります。

民間の保護団体に応募する

 民間の代表的な団体に関しては民間団体の里親募集案内をご参照下さい。また当サイトのTwitterアカウントでは日本全国で開催されている官民の譲渡会情報を発信しています。ほとんどは週末に集中していますので、土日を利用して一度見学に行かれてはいかがでしょうか。さらに近年は里親募集型の猫カフェが徐々に増えつつあります。こうした施設を利用すれば、保護猫を見るだけでなく実際に触れ合うこともできますので、迎えた後の生活をよりリアルにシミュレーションできるでしょう。なお地域によっては該当するような団体がないこともあります。その場合は各地方自治体の運営する動物愛護センターや保健所にご相談下さい。
 猫を民間の保護団体から譲り受けるときの特徴や注意点、および社会的な意味については以下のページでも詳しく解説してありますので、他の入手方法と比較しながらご検討ください。猫の購入・入手方法
【民間】猫の譲渡会の流れ
  • ホームページなどでお気に入りの里子を見つける
  • 「預かり日記」などを熟読し里子のキャラクターを見極める
  • 自分のライフスタイルや性格と合っているかどうか熟考する
  • アンケート用紙や申し込みフォーマットに必要事項を記入して里親として応募する
  • お見合い+トライアル
  • 譲渡決定
 以下でご紹介するのは民間の保護団体が開催している猫の譲渡会の模様を収めた動画です。シェルターを独自に所有している団体はほとんどありませんので、どこかの施設やレンタルスペースを間借りするというスタイルになります。開催頻度は毎週~不定期までさまざま。基本的に譲渡会当日に猫を連れ帰ることはできません。 元動画は⇒こちら

引き取り手順1

 民間団体が公開しているホームページ、ブログ、Facebookなどでお気に入りの里子を見つけます。「猫 譲渡 里親 住んでいる都道府県や市区町村名」などで検索をかけると、猫が管理されている場所のほか譲渡会(里親会)の開催される場所を見つけやすいでしょう。

引き取り手順2

 動物愛護センターではいわゆる「ぶっつけ本番」で猫を決めますが、保護団体経由の場合は大抵「預かり日記」がありますので、その子のキャラクターを細かく知ることができます。自分がその猫を引き取った場合の生活をよりリアルに近い形でシミュレーションできるのが大きなメリットです。

引き取り手順3

 自分のライフスタイルや性格と猫が合っているかどうかじっくりと考えます。仕事で長時間の留守番を強いるライフスタイルなのに、とびっきり寂しがり屋の猫を譲り受けるのは賢明とはいえません。また犬や子供が苦手な猫を、子供のいる家庭が強引にもらい受けるのも同様です。ライフスタイルと猫の性格をよく検討してから決めましょう。

引き取り手順4

 自分に合った猫が見つかったら里親として応募します。アンケート用紙や申し込みフォーマットに必要事項を記入して譲渡条件を満たしているかどうかを確認しましょう。
 民間の保護団体の場合、ペットショップのように誰かれ構わず猫を渡してしまうスタンスとは異なり、飼い主にはある一定の条件が課されます。例えば「ペット可の賃貸契約書を見せる」「不妊手術を施す」「完全室内飼い」「迷子防止策をしっかりする」「一人暮らしは不可」「年配の人は後見人が必要」などです。また、引き取った猫を虐待したりする里親詐欺を防ぐため、ある程度個人的な質問をされますし、場合によっては自宅を実際に訪問して飼育環境を確認することもあります。
「民間団体の譲渡条件は厳しい!」という声をよく耳にします。しかし残念なことに、譲渡された猫のすべてが幸せをつかめているわけではありません。
 里親の経済力、愛情、飼育環境、知識レベルなどにより、地獄の2丁目から3丁目に引っ越しただけの事例があるのも現実です。また猫の場合、いわゆる「里親詐欺」として虐待の犠牲になるケースが非常に多く報告されています。以下は一例です。事件になって報道されるのはほんの一部ですので、実際にはもっとたくさんの猫たちがひそかに犠牲になっているものと推測されます。 動物の虐待事例等調査報告書(H25年版)
😿猫の里親詐欺の事例
  • 2010年・愛知県インターネットを通じて引き取った猫を虐待したとして、愛知県警南署は名古屋市南区の無職の男(25)を動物愛護法違反容疑で名古屋地検に書類送検した。男は子猫の里親を募集するインターネットのサイトを通じて少なくとも子猫9頭を引き取っており、うち2頭は転落や栄養失調で死に、5頭は逃がしたと供述しているという。
  • 2012年・神奈川県虐待する目的を隠して猫を引き取ったとして神奈川県警麻生署は会社員男性容疑者(45)を詐欺容疑で逮捕した。広瀬容疑者は猫の里親になる際、「終生家族の一員として愛情を持って育てる」などと記載された誓約書に署名していたが、調べに対し「最初から面倒を見るつもりはなかった。ストレス発散のため虐待できる猫がほしかった」と供述した。
  • 2012年・広島県猫を虐待死させた上、捨てたとして広島東署は無職男性(37)を逮捕した。男が飼っていた猫は広島市動物管理センターから譲り受けたもので、同センターは「こういうことがあると想定していなかった。今後は、譲り渡しなどの方法についても検討していきたい」としている。
  • 2013年・高知県インターネットで里親を募集していた猫4頭を譲り受け、自宅でボーガンで射殺したとして、高知県警は男子学生(当時18)を動物愛護法違反などの疑いで高知地検に書類送検した。学生は「鬱憤を晴らしたかった」と容疑を認めている。
 こうした不適切飼養、虐待、再放棄を防ぐため、厳しすぎるとも思える条件を里親候補者に課すことは致し方ないことだと理解しておきましょう。なお譲渡に際してはある程度の費用負担を求められることがあります。しかしそれは猫の不妊手術費用、健康診断費用、自宅までの移動費用など、常識的に考えて新しい飼い主が当然負担すべき費用負担です。
🚨保護団体を選ぶ時  動物の将来を考えて献身的に努力している団体がいる一方、「動物愛護」や「殺処分ゼロ」の美名に隠れて寄付金を集め、私服を肥やしている団体も残念ながら一部にはいます。民間の保護団体を選ぶ際は、「団体の収支報告を見せてくれる」「動物の保護環境がきれい」「引き取り料金の明細をくれる」「細かな質問にも丁寧に答えてくれる」等を一つの基準として念頭に置いておくと、後で嫌な思いをする確率が減ります。

引き取り手順5

 猫と実際に対面してフィーリングをつかみます。預かり日記では陽気で元気いっぱいだったにもかかわらず、実際に会ってみるとよそよそしくて思っていた感じとは違うかもしれません。しかしそれは多くの場合時間の問題で、新しい環境や世話人の存在に慣れてくれば、本来の気質が表に出てくるようになります。
 こうした馴化期間が「トライアル」です。数週間一緒に猫と暮らし、家の中の環境、給餌スケジュール、同居人の臭いなどを覚え込ませましょう。またスキンシップなどを通じて「この人は悪い人じゃない!」と判断してくれれば、少しずつ元の性格が出てくるはずです。
 先住猫や先住犬がいる場合、ゆっくりお互いの存在に慣らしていくようにします。いきなりご対面させた結果双方がパニック状態に陥り、「先住猫(犬)との相性が悪い!」と誤解してトライアルを早々に中止してしまうケースもあります。

引き取り手順6

 トライアルを終了し、問題がないようであれば譲渡決定です。残念ながら正式譲渡が決まった後も猫の存在をないがしろにし、迷子になっても探そうともしない飼い主が一部にはいます。  譲渡が決まったら保護猫はもう家族の一員です。迷子にさせないのはもちろんのこと、しっかりと愛情をかけて「再放棄」という最悪の事態が起こらないようにしましょう。
「どうせタダ同然でもらった猫だから」とか「どうせ一度捨てられた猫だから」など、猫を軽視する気持ちが心のどこかにないでしょうか?里親に応募する前に猫を飼う前に必要な条件を繰り返しご確認ください。
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保護猫・捨て猫の特徴

 保護猫や捨て猫の特徴としては、子猫が多いこと、独特の癖をもっていることが多いこと、ミックス猫(雑種)が多いことなどが挙げられます。

子猫が多いかも

 平成29年度(2017年度)、日本全国の行政機関では62,137頭の猫が保護されました。そのうち1歳未満の子猫は40,895頭で全体の66%を占めています。ですから行政機関においても、行政機関から保護猫を引き出している民間団体においても、通常は子猫の占める割合が大きくなります。
 子猫の場合、まだやんちゃ盛りで成猫のもつ落ち着きはないかもしれません。しかしそれは一時的なもので、ほとんどの猫は2歳になるまでの間に人間生活に順応していきます。

独特の癖があるかも

 保護されたり捨てられたりした猫の中には、外で怖い目にあったとか、元の飼い主に虐待されていたといった理由により、独特の癖を持っているかもしれません。例えばある特定の動物や子供を怖がるとか、ある特定の音(救急車、掃除機など)に興奮するなどです。
 こうした癖の形成には子猫の社会化期(生後2~7週頃)における生育環境のほか、成猫になってからの経験が影響を及ぼしています。しつけによってある程度改善することも可能ですので、詳しくは猫のしつけ方を参照してください。 猫のしつけ方

ミックス猫が多いかも

 施設に保護されている猫が純血種の場合、ペットショップで買った猫が迷子になった末に収容されたとか、飼い主が飼育放棄したというパターンが考えられます。一方、保護猫がミックス猫(雑種)の場合、野良猫が自然繁殖した末に捕獲されたというパターンが考えられます。
 血統書がないことや猫の品種図鑑に載っていないことなど全く気にならない方は、ぜひ保健所や動物愛護センターをご活用ください。一方「純血種以外は猫じゃない」という考えをお持ちの方は、まず「血統書」の意味について把握していただきたいと思います。以下は姉妹サイト「子犬のへや」内のページです。「犬」を「猫」に読み替えてご一読ください。 血統書について(子犬のへや)
純血種へのこだわりを捨てきれない場合は、廃業したブリーダーから保護された猫などを扱っている団体もありますので探してみてください。
NEXT:新生活を評価する

猫との新生活を評価する

 猫を飼って自分が幸せになるのは簡単です。しかし猫を飼って猫を幸せにするには努力が必要となります。自己満足に陥らず、今の生活環境で果たして猫が幸せかどうかを吟味してみましょう。
迎えた猫のチェックポイント
  • 前足をしきりになめたりしていないか?
  • 便は硬すぎたりゆるすぎたりしないか?
  • 無駄鳴きが多くないか?
  • 食欲はあるか?
  • 被毛は健康的か?
 ストレスの前兆は色々な箇所に現れますのでチェックを怠らないようにしましょう。
猫の肉体面の健康チェックに関しては猫の健康と病気猫の症状一覧を、さらに精神面のストレスサインについては猫の心を読む訓練猫の幸福とストレスなどをご参照下さい。