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猫はカバー付きの広いトイレがお好き?

 トイレカフェテリアと呼ばれる手法を用いた選好試験により、猫は大きめでカバーのついたトイレを好むことが確認されました。

トイレカフェテリア選好テスト

 調査を行ったのはフランス・サン=ジュニ=ラヴァルにあるクレマンソー動物病院のチーム 。カバーの有無がトイレの選好に及ぼす影響を検証するため、トイレカフェテリアと呼ばれる手法を用いた実験が行われました。 猫のトイレの好みはカバーの有無と大きさによって左右される  第1の調査では、カバーが付いていないオープン型のトイレとカバー付きのトイレを用意し、面積が同じになるようセッティングしました(奥行き56cm×幅39.5cm=2,212 cm²)。調査に参加したのは13頭の猫たち(オス6+メス7)。トイレを二つ並べてどちらか好きな方を選ばせるという手法で28日間にわたって糞便の回数をカウントしたところ、オープン型の平均使用回数が11.9回だったのに対し、カバー付きの平均が19.9回だったと言います。大きな格差が見られましたが、統計的に有意とまでは判断されませんでした。
 第2の調査ではオープン型とカバー付きのトイレを二つ並べて用意し、カバー付きの面積が17%大きくなるように設定しました。具体的には、オープン型が50cm×37cmの1,850 cm²、カバー付きが56cm×39.5cmの2,212cm²というものです。
 調査に参加したのは12頭の猫たち(オス5+メス7)。第1の調査と同様、2つのトイレを並べた状態で28日間にわたって猫たちに自由選択してもらったところ、オープン型の平均使用回数が8.75回だったのに対し、カバー付きの平均が22.2回だったと言います。この格差は統計的に有意と判断されました。
 こうした結果から調査チームは、カバー付きでなおかつ広めのトイレを用意してあげたら、猫がスムーズに好きになってくれる可能性が高いとの結論に至りました。ただし実験に参加した猫達は全て完全室内飼いで単頭飼い、他に同居動物がいないという条件付きです。またうんちのたびごとにちゃんとトイレ掃除がされました。
Field assessment in single housed cats oflitterbox type (covered/uncovered) preferences for defecation
Beugnet, V.V., Beugnet, F., Journal of Veterinary Behavior (2019),doi: https://doi.org/10.1016/j.jveb.2019.05.002

猫は基本的に大きいトイレが好き

 2016年に行われた調査では、小さめのトイレよりも大きめのトイレの方が明確に好まれるとの可能性が示されています(Seksel, 2016)
  今回の調査では「トイレが広い+カバーがある」という条件が揃った時、猫に好まれる傾向が統計的に有意なレベルで強まりました。「猫が広めのトイレを好む」という傾向が追認されましたので、なかなかトイレを使ってくれないという場合は一回り大きなトイレを用意してあげるのが解決の第一選択肢となります。

猫はカバー付きトイレが好き?

 2013年に行われた調査では、オープン型とカバー付きトイレの間で格差は見られなかったと報告されています。こちらの調査では最終的に、猫の好みに影響を及ぼすのはトイレトレーの形状ではなく、トイレ内部の清潔さであるとの結論に至っています(Grigg et al., 2013)
 今回の調査ではカバーをつけることによって使用頻度は高まったものの統計的に有意とまでは判断されませんでした。過去の調査と合わせて考えてみても、カバーをつけることが猫の好みに影響を及ぼすかどうかは判然としませんが、つけるとしたら密閉型のフラップ(パタンと開閉する扉)がない方が良いでしょう。
 フラップがあると中に臭いがこもりますので、自分の排泄痕が残ることを本能的に嫌う猫にとってはストレスの要因になってしまいます。また猫は通常、周囲の様子を観察しながら排泄行為をしますので、フラップがあると安心して用を足すことができず、忌避されてしまう可能性が高まります。
 オープン型とカバー型の中間にあるハーフカバー型のトイレもありますが、このタイプのトイレが好まれるのかどうかに関する調査は行われていません。今後の課題となるでしょう。

トイレ選びは猫ファーストで

 猫のトイレを選ぶ時は基本的に飼い主の都合よりも猫の好みを優先するようにしてください。
 飼い主の都合には「値段が安い」「砂が飛び散らない」「掃除しやすい」「省スペース」などがありますが、こうした都合を優先して猫がトイレを嫌ってしまうと、最悪のケースでは粗相につながってしまいます。2,000円をケチったがために絨毯やベッドが台無しになり、掃除費用が10,000円かかってしまっては元も子もありませんからね。
 最も無難で汎用性があるのは大きめのフルカバートイレです。最初はフラップを外した状態で使用し、猫の反応がイマイチだったらフラップを付けた状態で試してみます。上半分や前半分を取り外せばハーフカバータイプにもなりますので、猫の好みに最も広く対応できるでしょう。
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基本的なセッティングに関しては「猫のトイレのしつけ」、猫の粗相に関しては「トイレの失敗・おしっこ編」や「トイレの失敗・うんち編」をご参照ください。