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猫の死とペットロス~死別・葬儀・埋葬の知識から心のケアまで

 大好きな飼い猫が死んでしまったとき、飼い主の心にはぽっかりと穴が開いてしまいます。猫が死んだときの事務処理的な手続きや埋葬・供養、そして飼い主の心の問題であるペットロスについて解説していきます。

猫との死別の種類

 命あるものには終わりが来ます。人間もそうですが、当然猫にも死が訪れます。猫と死別するときの状況をパターン別に解説しますが、天寿を全うする自然死から、不慮の事故死まで様々な種類があります。

猫の自然死

 「自然死」(しぜんし)とは猫の寿命(じゅみょう)に任せる別れ方です。
 猫の老化で詳しく解説した通り、猫の一般的な寿命は10~15年です。アニコム損保が0~12歳の猫74,337頭のデータを元に作成したグラフによると、早くも7歳くらいから死亡率の上昇傾向が見られます。これは一般に猫の「壮年期」が始まる年齢でもあります。 アニコム損保「家庭どうぶつ白書2017」
猫の年齢別死亡率推移
年代別に見た猫の死亡率推移グラフ  猫が病気にかかっている場合は「延命治療をする/しない」という選択肢にも出会うでしょう。また「自宅で看取る/病院で看取る」という別れ場所の選択肢も重要です。猫は死ぬ前に姿を消すという都市伝説を信じ、外に出た猫をほったらかしにしていると、客死(かくし)した遺体を清掃局が回収してしまうという悲惨なケースも考えられるためお勧めはしません。
 なお、死因が老衰であることがはっきりしている場合は比較的スムーズに見送ることができますが、「突然死」など死因がはっきりしない場合は、ペットロスを悪化させてしまう可能性があるため、「死後剖検」という選択肢なども考慮します。
死後剖検
 「死後剖検」(しごぼうけん)とは、死因を究明するために遺体を細かく検査することです。「病理解剖」、「ネクロプシー」(necropsy)とも呼ばれます。メリットは、「あいまいな死因がはっきりすること」です。逆にデメリットとしては、「死因がよくわからないこともある」、「費用が10万円近くかかる」、「遺体にメスを入れる」などが挙げられます。火葬に付した後では絶対に出来ない検査ですので、死因について釈然としない場合は、担当獣医師と相談の上、専門機関に依頼します。
 近年では年老いた猫を預かって介護してくれる「老犬ホーム」や「老猫ホーム」という施設も誕生しています。利用するかどうかを決めるときのポイントはどちらも同じですので、姉妹サイト内にある以下のページを参考にしてお考え下さい。 老犬ホームの選び方・完全ガイド(子犬のへや)

猫の安楽死

 「安楽死」(あんらくし)とは飼い主の判断でペットの命を絶つ別れ方です。
 経済的、時間的、気力的に猫の介護を続けることができない、苦痛を伴う病気にかかってしまったため1秒でも早く楽にしてあげたい、などがこの別れ方を選ぶ動機になることが多いようです。法律上猫を始めとするペットは「物」として扱われるため、安楽死自体が法律に引っかかることはありません。
 安楽死は獣医師との相談のもと行われます。ここで道義(どうぎ)上の善し悪しは論議しませんが、熟考が必要なことは言うまでもありません。詳しくは以下のページをご参照ください。 猫の安楽死を考えるとき

猫の事故死

 「事故死」(じこし)とは文字通り事故によってペットを失う別れ方です。
 事故死は猫の死に方の中で最悪のものと言えるでしょう。放し飼いにしている猫が車に轢(ひ)かれたり、車のエンジンルームの中でエンジンに巻き込まれたり、ベランダから落下死したり、コンセントや電気コードで遊んでいて感電死したり、いろいろなケースがありえます。
 猫の死亡事故のほとんどが予防可能なものであることから、残された飼い主が自責の念にとらわれ、軽いうつ症状になってしまうこともあります。猫にとっても飼い主にとっても苦痛の結果しか招かない最悪の別れ方ですので、絶対に巻き込まれないよう予防意識を強く持っておきましょう。 猫の怪我と事故 放し飼いが招く猫の死

猫が死んだときの対処

 猫が虹の橋へと旅立った後、残された飼い主はその処置をしなければなりません。以下では遺体の安置方法や葬儀・埋葬の方法について解説していきます。

猫の遺体の安置

 猫が息を引き取り、葬儀に移るまでの間、遺体を一定期間どこかに安置しておく必要があります。ここでは猫の遺体の安置の仕方について細かく解説します。なお、ペットが動物病院で他界した場合は、獣医さんにご相談ください。

遺体を安置する際、用意するもの

 猫の遺体を安置する際に必要となるもの一覧リストです。以下のアイテムを用意しておきましょう。
遺体安置に必要なもの
  • 猫の体が入るくらいのダンボールやプラスチックボックス
  • 大き目のビニール袋
  • 新聞紙たくさん
  • 使い捨てバスタオル
  • ペットシート
  • ドライアイス・氷・保冷剤

棺を用意する

 猫の遺体を収める棺(ひつぎ)を用意しましょう。まずは猫の体が入るくらいのダンボールや木箱、プラスチックボックスの底に新聞紙やビニール袋などを厚めに敷き、その上にドライアイスや氷、保冷剤などを敷き詰めます。さらにその上に新聞紙やペットシート、使い捨てのバスタオルなどを敷きましょう。これは、筋肉の弛緩した猫の体から体液が染み出し、棺を濡らしてしまうことがあるためです。
 準備の整った箱を直射日光の当たらない涼しい場所に箱を安置しますが、どうしても安置する場所がない場合は、ペット霊園に相談して、一時的に預かってもらうという選択肢もあります。 猫の遺体を一時的に収容する安置ボックスは、可燃性のダンボールがベストです。

死後硬直に備える

 濡れタオルで体を拭き、毛並みを整えたら、まぶたを閉じて手足を胸の方に折り曲げてあげます。そしてタオルなどで体をくるみ、用意した箱の中に入れます。これは死後硬直(しごこうちょく)と呼ばれる筋肉の硬化に備えるためです。気温や室温に左右されますが、おおむね死後2~3時間程度とお考え下さい。もし手足が伸びたまま硬直してしまうと、箱の中に納まりきらなくなりますので要注意です。

遺体の腐敗を防ぐ

 血流が止まった体には免疫力がないため、微生物の繁殖を抑えることが出来ません。結果として「腐敗」(ふはい)が発生します。ペットを弔(とむら)うまでの数時間~数十時間、この腐敗をなるべく遅らせるためには、室温を低めに設定し、氷やドライアイスなどを猫の腹部に当ててタオルで固定しましょう。温度が低い環境では微生物が繁殖できませんので、結果として腐敗を遅らせることが出来るのです。ただし48時間程度が限界とお考え下さい。

最後の別れ・お通夜

 ペットの遺体を火葬や土葬にかけるまでの間は、飼い主にとって最後のお別れをする時間となります。ペットと一緒に火葬・埋葬する思い出の品などを決めておきましょう。ただし金属製品やプラスチックは火葬できませんので、可燃物に限ります。
 あとはローソクを立てたり遺影を飾ったりお線香をたいたりして、愛猫との最後の時間を過ごします。親しかったペット仲間などを「お通夜」という形で招き、飼い主と共に別れを告げるという形もあります。
 以下は火葬や土葬に付するまでの間、猫の近くに設ける「枕飾り」(まくらかざり)と呼ばれる小さな祭壇の設置例です。仏教、キリスト教、神道によって微妙にセッティングが異なりますが、宗教にかかわらず以下のようなアイテムを揃えてあげましょう。葬儀が終わった後で骨壷や遺灰を置けば、飼い主の気持ちが落ち着くまでの簡易祭壇にもなってくれます。なお室内に犬や猫などの同居動物がいる場合、植物の誤食には十分ご注意下さい。しきみやユリなどは有毒成分を含んでいます(→注意すべき有毒植物)。
猫の祭壇・枕飾りの一例
猫の祭壇・枕飾り~オリジナルバージョン
  • お供え台低いテーブルや台の上に布や猫が愛用していた毛布などを敷きます。
  • 水と好物猫が生前好きだった食べ物やおやつを水とともに置いてあげます。
  • おもちゃ猫が生前好きだったおもちゃがあれば、置いてあげるのも良いでしょう。
  • 花の種類にルールはありませんが、一般的には白い花が用いられます。
  • ろうそく立てろうそく立てとろうそくを用意してあげます。
  • 遺影生前の写真の中から一番好きなものを選び、飾ってあげましょう。

葬儀の種類と特徴

 安置していた猫の遺体は、次の段階ではしかるべき方法で弔います。以下は一般的な猫の葬儀パターンです。

地方自治体の引き取り

 路上で死んでいた猫を見つけた場合とは違い、飼っていた猫が死んでしまった場合は基本的に飼い主が責任持って弔います。しかし何らかの理由でどうしても対処できない場合は、所属している市区町村に依頼して引き取ってもらうことも可能です。自治体引き取りのメリットは「費用が比較的安い」という点、デメリットは「合同火葬しか無い」という点でしょう。
 多くの場合は清掃局やリサイクルセンターが窓口になっており、手数料は3,000円前後、動物の体重は25kgまでというところが多いようです。猫が25kgを超えることはありませんのでほぼ確実に引き取ってくれます。また引き取られた猫は行政機関が契約している動物霊園に移送されて火葬に付された後、合同墓地に埋葬されます。後になって「お骨を引き取りたい!」と申し出ても無理ですので、選ぶ際は事前によく考えなければなりません。
自治体によっては路上死動物のように可燃ごみ(廃棄物)と同等の扱いをするところもあります。事前にどのような形で火葬・埋葬されるのかを必ず確認しておきましょう!

猫の火葬

 猫の火葬とは、文字通り火葬施設で猫の遺体を焼却してもらうという葬儀方法です。火葬のメリットは「遺骨がスペースを取らない」や「メリハリのあるお別れができる」という点、デメリットは「費用が比較的高額」という点です。地方自治体によっては、ペット火葬の専用施設を備えており、葬祭事業をほとんど公営化しているところもあります。料金や施設の詳細については、お住まいの市区町村役場に直接お問い合わせ下さい。
 公共機関以外では民間のペット火葬業者という選択肢があります。民間のペット火葬パターンは一般的に以下のように分類されますが、飼い主としてのポイントは以下のようにまとめられます。
火葬タイプを選ぶポイント
  • 火葬に立会いたいか?
  • お骨上げをしたいか?
  • 返骨を希望するか?
 お骨上げ(おこつあげ)とは、二人一組で足の方の骨から順番に骨壷に入れていき、最後に坐禅する仏の姿と似ている第二頚椎(だいにけいつい, 軸椎)を入れて成仏を願うという儀式で、返骨(へんこつ)とは、骨壷に入れたペットの遺骨を自宅へ戻してもらうことです。
 上記したポイントの様々な組み合わせにより、民間業者における火葬の種類はおおむね以下のように分類されます。
民間業者における火葬の種類一覧表
民間業者における火葬の種類一覧です。
  • 合同葬合同葬(ごうどうそう)とは、他のペットと共に読経等の合同葬儀をし、その後火葬してもらう葬儀です。火葬の立会い、お骨上げはできず、遺骨はそのまま共同墓地や合同供養塔に納骨・埋葬されます。火葬施設へは自分で赴くことも出来るし、遺体を業者に預け、その後の必要事項を一任することもできます。
  • 一任個別葬一任個別葬(いちにんこべつそう)とは、読経等の葬儀の後、個別に一体ずつ火葬してもらう葬儀です。全ての業務を葬儀社に一任する形のため、火葬の立会い、及びお骨上げはできません。遺骨は納骨・埋葬もできるし、返骨もできます。
  • 立会い個別葬立会い個別葬(たちあいこべつそう)とは、読経等の葬儀の後、個別に一体ずつ火葬してもらう葬儀です。葬儀社に一任する形ではなく、飼い主が立ち会えるので、希望する場合はお骨上げもでき、遺骨は納骨・埋葬もできるし、返骨もできます。
  • 自宅葬自宅葬(じたくそう)とは、葬儀業者が自宅まで出向き、全ての業務を執り行う葬儀です。友人や、散歩仲間等、ペットと関わりの深かった人を招き、人間と同じように「葬式」という形でペットを見送ることもできます。読経等の葬儀の後、移動火葬炉(火葬車)にて火葬を行い、お骨上げもできます。なお移動火葬車は環境に配慮し、無煙・無臭・ダイオキシンを発生させない構造をもつものが増えてきています。
 ペット火葬に関しては過去に悪徳業者によるひどいサービス内容がニュース沙汰となりました。どの業者を選ぶにしても「オプション料金の有無を事前に確認する」「料金総額の確認をして書面で残す」「複数社の見積もりを取る」くらいは最低限気をつけるようにしましょう。以下は悪徳業者を排除するため、ペット葬儀の関連団体が設けている代表的なデータベースです。
ペット葬儀社・データベース
イオンペットが運営するペット葬儀社データベース「メモリアルなび」  登録業者は「固定炉と動物霊園を保有していること」を基本条件として選定されています。どのデータベースも悪徳業者にでくわすリスクを下げてくれるでしょう。なお火葬料金を含めたより詳しい内容は姉妹サイト「子犬のへや」内にある「葬儀の種類と特徴」というページもご参照下さい。 葬儀の種類と特徴(子犬のへや)

猫の土葬

 猫を火葬にかけない場合は土葬(どそう)で弔うことになります。土葬とは死体を土中に埋めることですが、一般的には自宅の庭に埋葬します。公園など公共の場に埋葬すると犯罪になりますので決してしないで下さい。
 火葬していない遺体を埋葬する場合は、穴を1メートル以上深く掘って埋葬するようにします。そうしないとカラスなどにせっかくのお墓を荒らされてしまったり、悪臭が漂ってご近所の迷惑になることが危惧(きぐ)されます。
 なお、日本の法律においてペットの遺体は、路上死動物が区分される「一般廃棄物」でも、家畜動物の死体が区分される「産業廃棄物」でもありません。ましてや人間の遺体とも全くの別物です。よって「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、人間の遺骨や遺体に対して適用される「墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)」や刑法190条の「死体遺棄罪」とは無関係となります。
 ペットの遺体に関する法的な位置づけが不明確なため、現時点においては 不衛生にならない形で自宅の敷地内に埋めたならば、法律上の問題はないというのが一般的な解釈です。逆に河川や公園などの公有地にペットの死骸を埋めた場合は、「廃棄物の不法投棄」となり軽犯罪法により罰せられます。また海に投棄することも同法律施行令で禁じられているのでご法度(はっと)です。他人の私有地に勝手に埋めた場合は、軽犯罪法のほか刑法で裁かれる可能性もあります。

猫の埋葬の種類と特徴

 ペットを火葬にした場合、四十九日や命日、ペットの誕生日などを区切りとして、ペットの遺骨をしかるべき場所に安置します。このプロセスが埋葬(まいそう)です。以下では一般的な埋葬のパターンについて詳説します。なおアニコム損保が犬の飼い主1,287人と猫の飼い主427人を含む合計2,041人を対象として行ったアンケート調査によると、葬儀と葬儀後の供養にかかった金額は、合計以下のようになったと言います。 アニコム損保「家庭どうぶつ白書2017」
ペットの葬儀+供養の費用合計
ペットの葬儀と供養に実際に掛かった費用の合計額一覧リスト
  • 1万円以下=27.6%
  • 1~3万円=28.3%
  • 3~5万円=26.5%
  • 5~7万円=9.2%
  • 7~10万円=3.9%
  • 10万円超=2.4%
 全体の80%以上が「5万円以内」に収まるようです。では具体的な埋葬の種類と特徴を見ていきましょう。

合同埋葬

 「合同埋葬」(ごうどうまいそう)とは、合同葬で火葬したペットの遺骨を、他のペットの遺骨と共に、供養塔(くようとう)や合同墓(ごうどうぼ)と呼ばれる共同埋葬施設に安置することです。合同壇には、ペットの名前が書かれた塔婆(そとば)が立てられたり、墓地に埋葬された後は、定期的に「合同慰霊祭」(ごうどういれいさい)などが行われます。

納骨堂への納骨

 「納骨堂」(のうこつどう)とは、ペット霊園などに併設されている骨壷を効率的に安置するための空間です。コインロッカータイプ、棚タイプ、個室タイプなどがあり、他のペットと合同で納骨するパターンや個別に納骨するパターンがあります。また、1年単位で更新する契約や、永代供養してもらう契約など様々です。一般的には、個別葬によって弔われたペットの骨壷が入ります。

ペット霊園への埋葬

 「ペット霊園」への埋葬とは、一般墓地のペット専用区画や、ペット専用墓地などに遺骨を安置することです。一般的には、個別葬によって弔われたペットが入ります。

自然散骨

 「自然散骨」(しぜんさんこつ)とは、遺骨を自然環境内にまくことです。海に散骨することを「海洋葬」(かいようそう)、山に散骨することを「山葬」(さんそう)、木の苗とともに墓地内に埋めることを「樹木葬」(じゅもくそう)などと呼びます。飼い主が自分で行う場合もありますし、骨の粉末化から散骨までを代行してくれる業者もいます。
 ちなみに遺骨を環境にまく行為の合法性ですが、一般的に常識の範囲内であれば法に抵触(ていしょく)することはなく、特別な埋葬許可証も必要ありません。ここで言う「常識の範囲内」とは、例えば以下のようなことです。
自然散骨が許されるケース
  • 他人の私有地に無断で散骨しない
  • 自分の土地に散骨する場合でも、近隣住人に迷惑をかけない
  • 農耕地や養殖地などに散骨しない
  • 遺骨は第三者が見て「骨」とわからないよう、砂粒より小さく砕く
  • 散骨する際、喪服を着たりお供え物をしない
とはいえ、各自治体で特別な条例等を設けている場合もありますので、事前に確認は必要です。

自宅埋葬

 「自宅埋葬」(じたくまいそう)とは、自宅の庭などに遺骨を埋めることです。ペットが常に身近にいるような安心感があります。近年ではプランター(植木鉢)の中に遺骨を埋葬し、集合住宅の室内やベランダなどに安置する人もいるようです。

手元供養

 「手元供養」(てもとくよう)とは、納骨や埋葬のかわりに遺骨を自宅に保管する供養方法です。自宅供養(じたくくよう)ともいいます。大別すると、以下の二種類に分類されます。
手元供養の種類
  • 納骨型供養納骨型供養(のうこつがたくよう)には、インテリアとしても使えるデザインを重視したオブジェの中に遺骨を納める「納骨オブジェ」や、故人やペットの遺骨(遺灰)の一部を細かく砕いたものをペンダントに収納して身に付けられるようにした「メモリアルジュエリー」(カロートペンダント)などがあります。
  • 加工型供養加工型供養(かこうがたくよう)には、火葬後の遺灰や遺骨から抽出した炭素、或いはその炭素を一部使用して製作した合成ダイヤモンドである「遺灰ダイヤモンド」(通称メモリアル・ダイヤモンド)や、遺骨を釉(うわぐすり)の一部として焼成した陶器などがあります。
 手元供養の最たる例は、「ペットを剥製にして部屋の中に飾る」というものです。これは火葬に付した後では絶対にできないオプションですので、興味がある方は専門業者を調べてみて下さい。

ペットロス症候群について

 大好きな猫が死んでしまいました。心にぽっかりと穴が開いたようで気力がわきません。普通の飼い主なら当然の感情ですが、生活に支障(ししょう)をきたすほどふさぎこんでしまうといわゆるペットロス症候群(ぺっとろすしょうこうぐん)と呼ばれることがあります。
 飼っていたペットを失ったときに感じる深い悲しみには、いくつかの典型的なモデルがあります。非常に多くの研究者が、非常に多くの理論を発表していますが、その全てに共通する要素は以下です。 ペットロスと獣医療(チクサン出版社)
悲嘆のプロセス3段階
  • 初期段階=ショックや拒否
  • 中期段階=情緒的な苦痛や苦悩
  • 最終段階=回復
 大事なものを喪失した人が経験する悲嘆プロセスの中で最も有名なのは、エリザベス・キュブラー・ロスが1969年の本「On Death and Dying」の中で紹介した「キュブラー・ロス・モデル」です。悲しみの5段階とも呼ばれるこの理論では、悲しみが生じてから回復するまでの心の過程を「拒否・怒り・交渉・抑うつ・受容」の5つに分類しています。著名なグリーフ・カウンセラーの一人マーレー・コリン・パークスは「死別に悲しむ人を救うために大切なのは、何が正常かを知ることである」と指摘していますので、以下に示すような自分自身に起こる変化を事前に知っているだけで、ペットロスからの立ち直りが早まる可能性があります。 Kubler-Ross model
悲しみの5段階
  • 拒否「拒否」とは、「ペットが死んでしまった」という事実を頑(かたく)なに認めようとしない心理プロセスのことです。
  • 怒り「怒り」とは、自分に苦しみを与えたものに対して漠然と反発することです。対象はペットを担当していた獣医に向かうこともありますし、100点満点の飼い主とは言えなかった自分自身に向かうこともあります。
  • 交渉「交渉」とは、悲しみを克服するために、何か神的なものに願掛けをすることです。例えば「ペットを生き返らせてくれるのなら、私の寿命を10年差し上げます!」などです。
  • 抑うつ「抑うつ」とは、無気力になった状態のことです。悲しみの感情があまりにも強いため、今まで楽しかったことや夢中だったことがどうでもよります。
  • 受容「受容」とは、ペットの死を動かしがたい事実として受け入れ、忘れかけていたポジティブな感情を徐々に取り戻していくプロセスのことです。
 ペットを失った悲しみは、通常であれば時間が解決してくれますが、苦しみや後悔をなかなか克服できず、長期間に渡って軽いうつ状態に陥ってしまうこともあります。そんなときは、ペットロスを克服する際のヒントを姉妹サイト「子犬のへや」の中でまとめてありますので以下のページをご参照ください。 ペットロスがつらいとき~原因から克服のヒントまで