トップ猫の心を知る猫の習性排泄物に砂をかける

排泄物に砂をかける

 猫の習性の一つである排泄物に砂をかけるという点について解説します。
 猫は自分のおしっこやうんちの上に熱心に砂をかけて隠そうとしますが、猫はなぜこのような行動を取るのでしょうか?

猫の行動・その理由は?

 猫がおしっこやうんちをした後、その上に熱心に砂をかけて隠すという動作が見られます。公園の砂場で思わず猫のうんちをつかんでしまい、「あっ!」と驚いた経験がある人もいるのではないでしょうか?この行動の理由としては以下のようなものが挙げられます。
猫が排泄物に砂をかける理由
  • 外敵・獲物かく乱説 排泄物の強烈な匂いをさらしてしまうと、外敵(獲物)に自分の居場所がばれやすくなるので、本能的に隠したがるという説
  • 遠慮説 ボス猫が排泄物に砂をかけないという野猫の観察結果から、ボス猫に対する劣位の猫の遠慮だとする説
  • 疾病予防説 糞尿に含まれる病原菌やウイルスが蔓延しないよう、隠しているとする説
 1番目の外敵・獲物かく乱説は最も理解しやすいものです。きつい糞尿の匂いを放置してしまうと、外敵が近づいてくる危険性を高めてしまいますし、同時に獲物を逃がしてしまう可能性も高めてしまいます。人間に置き換えると、「隠れんぼをしている最中、大きなオナラをする」ようなものですので、誰も積極的にはやらないでしょう。
 2番目のボス猫遠慮説は、動物学者のデスモンド・モリスが提唱したものです。これは現代の猫に特有の習性といえるかもしれません。なぜなら本来猫は単独行動型で暮らしますので、他の猫との序列はそれほど気にしないものです。しかし現代の猫は狭い都会の中に押し詰められて暮らしており、必然的に他の猫と出くわす確率も高くなります。こうした猫同士の頻繁(ひんぱん)な遭遇は「お前は俺より強いのか?弱いのか?」といった序列意識につながりやすくなります。もし「自分より強いボス猫に対する遠慮」として排泄物に砂をかけているとすると、それは祖先から受け継いだ本能というよりは、狭いテリトリーの中での生活を余儀(よぎ)なくされた、現代の猫に特有の「処世術」と言えるかもしれませんね。
 3番目の疾病予防説は、獣医師であり「猫の行動」(Feline Behavior)の著者でもあるボニー・ビーバーが唱えたものです。猫の尿中には猫伝染性腹膜炎ウイルス、糞中には条虫回虫などの寄生虫が含まれています。こうした病原体が外部に広がらないよう、猫は長い歴史の中で「臭いものにはふたをする」という習性を発達させたのかもしれません。寝床の近くに設置したトイレを猫が嫌がるという事実も、この説を知っていれば納得がいきます。 猫のトイレのしつけ 猫に必要なトイレ用品
 以下でご紹介するのは、自分の排泄物に砂をかけようとする猫の動画です。 元動画は→こちら