トップ猫の心を知る猫の習性飼い主におみやげをもってくる

おみやげをもってくる

 猫の習性の一つである飼い主におみやげをもってくるという点について解説します。
 猫は時折、死んだ昆虫や小動物の死体を飼い主の元に届けにきますが、猫はなぜこのような行動を取るのでしょうか?

猫の行動・その理由は?

猫が飼い主に虫や動物の死体をお土産として持ってくるのは、飼い主のことを狩りのできない「ねんね」扱いしているから  猫は時々、何の脈絡(みゃくらく)もなく飼い主の元に、あまり望ましくないお土産(みやげ)を持ってくることがあります。バッタ、ゴキブリ、スズメ、金魚(キンギョ)、カエル、ヘビ、トカゲ、ネズミなど、飼い主に対する嫌がらせとしか思えないものが大半です。
 しかしこれは嫌がらせではなく、飼い主のことを狩りのできない未熟な子猫だと思って、母猫気分で獲物を持ってくるというのが通説です。避妊手術をしたメス猫に多いと言われるこの行動は、以前は「しとめた獲物を飼い主に見せびらかそうとしている」と考えられていました。しかし最近では「獲物を捕らえることが出来ない未熟な子猫(=猫からすれば飼い主のこと)」に、狩りの仕方を教えてあげようとしている」という解釈に変わりつつあります。野生環境では、母猫が子猫に対して実地で獲物の殺し方や食べ方を教えますので、飼い猫の中でも何かの拍子にこうした「野生の血」が目覚めたのかもしれませんね。
 びっくりするようなおみやげを持ってきても叱ったりせず、軽く褒めて猫の自尊心を満足させるくらいの度量(どりょう)があってもよいでしょう。 猫の去勢と避妊手術 子猫の育て方 野生環境では、子猫を抱えた母猫のほうが、通常のメス猫よりも優秀なハンターになる  なお、1979年にLeyhausenが行った調査では、子猫をもつメス猫の方が、かなり多くの獲物をとらえると報告されています。また1986年、Turnerらが行った観察では、子猫が巣で待っている母猫の方が、やはり狩猟は効率的であったと言います。
 このように、母猫が優秀なハンターに変貌する理由として、一部の研究者たちは、「母猫たちは少し大きくなってきた子猫たちに獲物を持ち帰る必要があったため、他の猫よりも狩猟への動機付けが強い」という点を可能性として挙げています。またInselmanらは、母猫の体内におけるエストロゲンの増加が狩猟行動を促すとしています。飼い主におみやげを持ち運んでくる猫たちは、何らかの理由で母性本能がくすぐられたのかもしれません。

屋外猫の狩猟行動

 2010年11月~2011年10月、アメリカ・ジョージア州の田舎町において、放し飼いにされている猫55匹を対象とした「屋外における狩猟行動」の観察が行われました(→出典)。猫は屋外で捕らえた獲物の約1/4を家に持ち帰ると推計される  その結果、44%の猫は狩りを行ったとのこと。獲物としては爬虫類、小型哺乳類、無脊椎動物(ナメクジやカタツムリ)が多く、狩りの上手な猫の場合、7日間で平均して2.4匹の獲物を捕らえたといいます。また、捕らえた獲物の内、23%は家に持ち帰り、49%はその場に放置し、28%は捕食したとも。こうしたデータから、猫が飼い主の元に持ってくる「お土産」はゲットした獲物の内のほんの一部に過ぎないという可能性がうかがえます。
お土産の季節性
外を出歩く猫が家に持ち帰る小動物の季節性  さらに2002年10月から2007年12月の期間、ポーランドで行われた調査によると、猫が家に持ち帰るおみやげの内容は上のグラフで示したように季節や生活地域によって変動することが確認されています(→詳細)。具体的には、「田舎の猫より都会の猫のほうが鳥をたくさん持ち帰る」、「夏は鳥、秋はげっ歯類が増える」、「冬は爬虫類が減る」などです。猫は必要でない状況で獲物を殺傷する「満腹狩り」という習性を持っているため、生態系への影響を最小限に食い止めるためには、「猫を外に出さない・迷子にしない」という鉄則を守る必要がありますね。 猫は生態系を壊している?