トップ猫の体猫の体の構造猫の尾・しっぽ

猫の尾・しっぽ

 マンクスのようにしっぽのない特殊な猫種を除き、全ての猫は大なり小なりしっぽを持っています。以下ではしっぽの解剖学的な構造や種類・役割などについて写真付きで解説していきます。

猫の尾・しっぽの構造

がまの穂はその見た目が猫のしっぽに告示していることから「cat-tail」と呼ばれます。  猫の尾・しっぽには色々な種類があります。一般的には18~23個の尾椎(びつい=しっぽを支える骨)と、しっぽを前後左右に動かす4つの筋肉、及び細かな動きをつかさどる8つの筋肉から構成されますが、長い尾をもつ種から全くしっぽの無い種まで様々ですので一概には言えません。
 ちなみに「がまの穂」という植物がありますが、これは英語で「キャットテイル(cattail=猫の尾)」といいます。もちろん、見た感じが猫のしっぽに似ているからです。以下では一般的な猫のしっぽの断面解剖図、及び種類を示します。
猫のしっぽの断面解剖図
猫のしっぽの断面解剖図
  • 内背側仙尾筋 内背側仙尾筋(ないはいそくせんびきん)が左右同時に収縮すると、しっぽが上に上がる。右のみ、もしくは左のみの筋肉が収縮すると、斜め上方に持ち上がる。
  • 外背側仙尾筋 外背側仙尾筋(がいはいそくせんびきん)は、内背側仙尾筋と尾横突間筋の補助的な役割を果たす。どちらかの筋が損傷を受けても、この筋肉が機能を補完してくれる。
  • 尾横突間筋 尾横突間筋(びおうとつかんきん)は尾椎一つ一つに付着する非常に小さな筋肉で、主としてしっぽを横に曲げる。部分的に収縮させることで、しっぽの細かい「くねり動作」を生み出すことが出来る。
  • 直腸尾筋 直腸尾筋(ちょくちょうびきん)は左右同時に収縮することでしっぽを下に引きこむ。けんかに負けたオス猫のしっぽを巻き込む動作にはこの筋肉が作用している。
  • 外腹側仙尾筋 外腹側仙尾筋(がいふくそくせんびきん)が左右同時に収縮すると、しっぽが下に下がる。右のみ、もしくは左のみの筋肉が収縮すると、斜め下方に下がる。
  • 内腹側仙尾筋 内腹側仙尾筋(ないふくそくせんびきん)は、外腹側仙尾筋と直腸尾筋の補助的な役割を果たす。どちらかの筋が損傷を受けても、この筋肉が機能を補完してくれる。
猫の尾椎は18~23個の骨からなる  上記した筋肉の作用により、猫のしっぽは、まるでオーケストラの指揮者が振るタクトのように、先っぽまできれいに動かすことができます。こうした華麗な動きを司っているのは、「尾骨神経」(びこつしんけい)と呼ばれる神経です。この神経は第1~第8までの尾骨の横から出て、しっぽ全体に分布しています。上に伸びる枝は背面の筋肉や皮膚に分布し、下に伸びる枝は腹面の筋肉と皮膚に分布しています。
 「猫のしっぽを引っ張ってはいけない」とよく言われますが、これは尾骨神経が、「骨盤神経」、「陰部神経」、「下腹神経」といった他の重要な神経と、骨盤に近い場所で部分的に連結しているためです。尾骨神経に外力が加わると、その他の神経にも力が波及し、排尿や排便の障害、歩行の障害といった様々な症候群につながることがあります。これが「しっぽ引っ張り外傷」、もしくは「仙尾部外傷」(せんびぶがいしょう)と呼ばれる状態です。詳しくは当ページ内の「猫ふんじゃった症候群」というセクションをご覧ください。
猫の尾・しっぽトップへ

猫の尾・しっぽの種類

 猫のしっぽはその形状によって様々ですが、以下では一般的な分類を示します。しっぽが極端に短いマンクスの遺伝子は、子猫の致死率や脊椎の奇形とも関連しているため、安易な繁殖はご法度です。

猫のしっぽのタイプ

形状で分類した猫のしっぽの種類・一覧図
  • 1: Full Tail フルテイルは通常の長いしっぽで、約25~30センチメートルです。
  • 2: Aerial Curled Tail エアリアルカールドテイルは中空でクルッとカールしたしっぽのことです。
  • 3: Flank Curled Tail フランクカールドテイルはカールしたしっぽが脇腹に垂れ下がるタイプです。フランクとは英語で脇腹を意味します。
  • 4: Flat-to-Back Tail フラットトゥバックテイルは折れ曲がったしっぽが、背中に沿って水平に伸びるタイプです。
  • 5: Kinked Tail キンクドテイールはしっぽの先がねじれているタイプです。
  • 6: Corkscrew(Piggy) Tail コークスクリューテイルはしっぽがスクリュー(豚尾)のようにカールしたタイプです。ブタのしっぽにも似ていることからピギー(子豚)テイルとも呼ばれます。
  • 7: Bob Tail ボブテイルは6~7センチメートルの短いしっぽのことです。有名な猫種ではアメリカンボブテイルジャパニーズボブテイルなど、マイナーな猫種ではクリリアンボブテイルメコンボブテイルなどがいます。
  • 8: Rumpy Manx ランピーマンクスはマンクスという種のうちの「ランピー」という亜種のもつ尾のことです。

尾曲がり猫の来歴

猫の尾曲がりを形成する尾椎中の半椎体  尾曲がり猫におけるしっぽのカーブを作っているのは、骨の中に挟まれる「半椎体」(はんついたい)と呼ばれるクサビのような骨です。この骨の形状は劣性遺伝(れっせいいでん)によって子猫に伝わることが分かっています。半椎体による尾曲がり猫は、江戸時代には普通に見られたものの、明治に入ってから徐々に少なくなっていったそうです。この背景には恐らく、「しっぽの曲がった猫同士が交配しない限り、しっぽの曲がった子猫が確実に生まれることはない」という劣性遺伝の特性が関係しているのでしょう。
 しかし現在でも、九州の長崎県では約80%の割合で尾曲がり猫が見られるといいます。この異常に高い尾曲がり率には、どうやら長崎の出島が関係しているようです。江戸時代、鎖国中の日本では長崎の出島において、特別にオランダの東インド会社との交易が許されていました。この会社はインドネシアに支所を持っていましたが、船で航海する際の保険として、「猫を乗せる」という条項が含まれていたようです。
猫の曲がり尾  ここからは想像ですが、約半世紀前、ネズミしっぽ曲がり(→PDF)を遺伝学的に研究したことで知られる野澤謙氏(現:京都大学名誉教授)によると、東インド会社はネズミ捕りのうまい猫を現地から同乗させて来日し、その猫がいつの間にか長崎に居ついたというのです。もしこの仮説が正しいとすると、インドネシアと長崎県の両地において、なぜか猫の尾曲がり率が高いという事実がすっきりと説明されます。つまり、日本における尾曲がり猫の祖先は、元々インドネシアあたりに暮らしていたということです。
 ちなみに野澤氏の魂を受け継いでか、長崎には現在「日本・長崎ねこ学会」なるものが存在しています。しっぽの曲がった猫を「長崎ねこ」と名付け、少しずつ認知度を高めていきたいとか。「尾曲がりのんちゃん」というゆるキャラもいます。

しっぽの長さと猫又伝説

 しっぽが曲がっていたり短い猫は、とりわけ江戸時代において多かったといわれています。「ネコの毛並み」(ポピュラーサイエンス)の著者である野澤謙氏によると、江戸時代の絵画に描かれた猫243頭のうち、何と約半数に近い122頭までもが曲がったしっぽを持っていたとのこと。こうした「尾曲がり猫ブーム」には、どうやら猫又伝説(ねこまたでんせつ)が関与しているようです。
 そもそも「猫又」(or 猫股)とは、日本の民間伝承や古典の怪談、随筆などに登場する猫の妖怪です。江戸時代に入ると、「人家で飼われている猫が年老いて猫又に化ける」という考えが一般化し、人の言葉を話したり二本足で歩いたり、果ては人を食い殺したりする化け物として恐れられるようになりました。時を同じくして、「しっぽの長い猫は、そのしっぽが二つに分かれて猫又に化ける」という迷信も広まったため、その反動として、しっぽの短い猫がもてはやされたのではないかと推察されています。 日本古来の猫股伝説が、短いしっぽの猫を選択繁殖させる要因だったかもしれない  曲がったしっぽや短いしっぽは劣性遺伝で伝わるため、通常の繁殖においては徐々に少なくなっていくのが自然です。江戸時代の日本において、この種のしっぽが不自然なほど頻繁に見かけられたのは、上記「猫又伝説」に突き動かされた人々が、意識的に選択繁殖した結果なのかもしれません。なお、その血統は今日、長崎県に生息する野良猫や、「ジャパニーズボブテイル」という純血種の中に受け継がれていると考えられます。ジャパニーズボブテイル
猫の尾・しっぽトップへ

猫の尾・しっぽの役割

 猫の尻尾には様々な役割があります。犬の場合「犬種標準」(けんしゅひょうじゅん=その犬の持つべき理想的な姿)に合わせて、子犬の頃にしっぽを切り取ってしまうこともありますが、猫のしっぽを切ると大変なことになります(もちろん犬も大変でしょうが・・)。以下では猫のしっぽがもつ代表的な役割です。

体のバランスを保つ

猫のしっぽは歩くときのバランス棒  猫のしっぽの役割としてはまず、動いているときの体のバランスを保つという点が挙げられます。
 1998年、4匹の猫を対象にした実験では、横木の上を歩いている猫の足元をずらした時の反応が観察されました。その結果、横木がスライドした瞬間、しっぽがスライドとは逆の方向に素早く振れることにより、骨盤を元の位置に固定させて落下するのを防いでいる様子が捕らえられたといいます。またしっぽのない猫では、落ちる確率が明らかに高かったとも。こうした事実から研究者たちは、「猫のしっぽはバランスを立て直すのに役立っている」と結論付けました。 Balance in the cat

防寒具

寒いときに猫は自分のしっぽを顔に巻きつけ、風雨や寒さをしのぐ  猫のしっぽの役割としては、防寒具という側面を無視できません。
 気温が15度を下回ると、猫は体を丸くして眠りますが 、そのときしっぽで顔を隠すような姿勢をとります。これは人間でいうと、ちょうど「マフラー」を首に巻いている状態といえるでしょう。このように、ふかふかのしっぽは状況によって防寒具としての側面も持っています。

マーキング

猫がしっぽをするつけるのは、甘えの表現というよりも、「においつけ」としての意味合いが強い  猫のしっぽは臭いを対象物にこすりつけ、自分の縄張りや所有権を主張するマーキングにも用いられます。
 猫の体には至るところに臭腺(しゅうせん) と呼ばれる、自分固有の臭いを発する器官があり、額の両側、唇の両側、顎の下、肉球、肛門、そしてしっぽなどに存在しています。猫がしっぽを巻きつけている光景をたまに見かけますが、こうすることでしっぽから発せられる自分のにおいを対象物に残しているものと考えられます。

感情を表す道具

 猫のしっぽの役割としては感情を表現する道具という側面もあります。猫に言わせれば、「別に誰かに感情を伝えたいんじゃなくて・・勝手にしっぽが連動するんだよ !」といったところでしょうが、以下に代表的なしっぽと感情の相関関係を示します。
猫のしっぽと感情の関係
しっぽに現れる猫の気持ちいろいろ
  • しっぽをピーンと立ててすりよってくる  写真左に見られる「しっぽをピーンと立ててすりよってくる」という行為は、母猫に依存していた子猫時代の気分が、何かの拍子によみがえった時などに見られます。
     母猫は子猫のお尻をなめて排便を促したり衛生(えいせい)を保ったりしますが、そのとき子猫は「しっぽをピーン」と立てて母猫に身を任せます。つまり大人になった猫が「しっぽピーン」という行動を取ってすりよってきたとき、その猫の心理は子猫時代にタイムスリップしていると考えられるのです。 しっぽを立ててすりよる
  • しっぽをふくらませて弓なりにしたり立たせる  写真中央に見られる「しっぽをふくらませる」という行為は、怒りに駆られたり、逆に恐怖におののいているときに見られます。
     全身の毛やしっぽの毛を逆立てるということは、外敵に対して自分を大きく見せようとする「ハッタリ行為」です。ですからしっぽをふくらませていわゆる「タヌキしっぽ」を作っている猫は、相手を攻撃しようと威嚇しているか、怖さを隠すために怒ったふりをして相手を退散させようとしていると考えられます。 毛を逆立てて歯を見せる
  • しっぽを股の間に挟んで体を小さく見せる  写真右に見られる「しっぽを股の間に挟む」という行為は、自分を小さく見せて敗北と服従を示すときに見られます。
     相手の怒りにこれ以上油を注がないよう、負けを認めてしまうときなどです。見たことの無い奇妙な物体や動物に出会って恐怖心を感じているときや、オス猫がけんかに負けたときなどに見られます
  • しっぽを1秒間隔で根元から小刻みに振る  猫が1秒間隔くらいで、根元から小刻みにしっぽを振っているときは、いらだちやストレスを感じていると疑ってみるとよいでしょう。
     犬はうれしいときにしっぽをフリフリしますが、猫はちょうど逆の心理のときにしっぽをフリフリするとお考え下さい。飼い主がしつこく猫の体をなでようとしたり、子供が乱暴な抱き方をしたときなどに見られます。 しっぽを左右に振る
  • 呼びかけなどに対して2~3度軽くしっぽを振る  猫の名前を呼んだにもかかわらず、2~3度軽くしっぽを振っただけで動こうとしないときは、「聞こえてるよ・・でも今は動きたくないんだ」といった意味合いを持ちます。ちょうど母猫が子猫をいなす感じに近いでしょう。
猫の尾・しっぽトップへ

猫ふんじゃった症候群

しっぽ引っ張り外傷は、赤ん坊が猫のしっぽを引っ張ることなどが原因となる  「猫ふんじゃった症候群」とは、猫のしっぽに外傷が加わった時に現れるさまざまな症状のことです。正式には「仙尾部外傷」(せんびぶがいしょう, Sacrocaudal Injury)、もしくは「しっぽ引っ張り外傷」(Tail Pull Injury)と呼ばれます。猫と共同生活を送っている飼い主が、誤って猫のしっぽを踏んづけて怪我を負わせてしまう可能性は常にあります。ですからこの「猫ふんじゃった症候群」に出くわす可能性は、誰もが持っているわけです。

発症メカニズム

 腰から下の部位における猫の神経は、細い神経の束がまるで馬のしっぽのように後方に向かって伸びています。「馬尾」(ばび)と呼ばれるこの神経の束は、膀胱、肛門、後足の神経などと所々で連結しているため、先端を引っ張ってしまうと、その場所のみならず他の部位にも障害が発生することがあります。このように、一部分に加わった外力が、遠く離れたその他の部位にまで影響を及ぼしてしまった状態が「猫ふんじゃった症候群」です。猫のしっぽを絶対に引っ張ってはいけない理由はここにあります。
猫の脊髄・馬尾・尾骨神経の位置関係模式図
馬尾症候群
 「馬尾症候群」(ばびしょうこうぐん)とは、腰から下に向かって伸びる神経の束に圧迫や炎症が加わり様々な症状を示した状態のことです。「猫ふんじゃった症候群」(or しっぽ引っ張り外傷)が、発症原因に着目した表現で、主に犬や猫に用いられるのに対し、「馬尾症候群」は原因部位に着目した表現で、主に人間に対して用いられるという特徴があります。なお人間の場合、しっぽの外傷が原因で馬尾に障害が発生するという「下→上」パターンありえませんが、犬や猫の場合は、腰周辺の病変が馬尾に影響与える「上→下」という人間的なパターンも大いにあり得ます。猫の馬尾症候群

症状

 猫ふんじゃった症候群でみられる主な症状は以下です。しっぽの神経に加わった外力が、それに連なる「骨盤神経」、「下腹神経」、「陰部神経」、「坐骨神経」といった末梢神経にまで波及してしまうことで発症します。
猫ふんじゃった症候群・主症状
  • しっぽを触ると痛がる
  • しっぽが動かない+感覚がない
  • 骨折脱臼でしっぽが曲がっている
  • 自力でおしっこができず、膀胱に尿がたまる
  • 排便のコントロールができず、垂れ流す
  • 後足の動きがおかしい
しっぽ引っ張り外傷を負った猫のレントゲン写真

原因と予防

 猫のしっぽに外力が加わってしまう状況は様々です。外を自由に歩き回っている猫ではもちろんのこと、家の中で暮らしている猫も常に危険にさらされているといえます。しかし原因さえわかっていれば、予防策を講じることはさほど難しくはありません。室内環境を猫にとって安全な「キャットプルーフ」に整えたり、猫を安易に外に出さないなどの配慮が重要となってきます。
猫ふんじゃった症候群・原因と予防法
  • しっぽを引っ張った 子供が面白半分で猫のしっぽを引っ張ったり、悪意の第三者が虐待目的で引っ張ることがあります。→「幼い子供と猫を二人きりにしない」、「猫を出歩かせない」などで予防できるでしょう。
  • しっぽを踏んだ 前方不注意の飼い主が、足元に伸びているしっぽを誤って踏んづけてしまったり、布団の下にもぐりこんでいる猫に気づかずそのまま踏んづけてしまうというパターンがあります。→「常に足元を確認する」という習慣をつけることで予防できるでしょう。ただし、「猫の首に鈴を付ける」という方法は、音響ストレスの原因になるためお勧めできません。
  • しっぽをドアに挟んだ 家の中の安全対策が万全でないと、ドアを閉めた拍子に猫のしっぽを挟みこんでしまうことが起こりえます。→「ドアストッパーを付ける」ことで予防できるでしょう。ドアの下に挟むタイプや上に挟むタイプなどが出回っています。
  • 交通事故に遭った 外を自由に出歩いている猫は常に交通事故に遭う危険にさらされています。事故に遭った猫はタイヤにしっぽを巻き込まれ、強い力で圧迫されたり引っ張られたりします。→「猫を安易に外に出さない」ことで予防できるでしょう。
  • お尻から落下した 高い場所から落下した猫は、通常「立ち直り反射」により足の裏で着地することができます。しかしあまりにも高い場所から飛び降りた場合や、たまたまお尻から落ちてしまった場合などは、この「立ち直り反射」では補いきれず、尻餅をついてしっぽに衝撃が加わってしまうことがあります。→「高い場所で日向ぼっこさせない」、「面白半分で猫を放り投げない」などで予防できるでしょう。
  • しっぽを犬にかまれた 犬と同居している猫が遊びの延長で噛まれたり、外をほっつき歩いている猫が散歩中の犬や野良犬に敵対心を持って噛まれてしまうことがあります。→「猫を安易に外に出さない」ことで大部分は予防できるでしょう。犬と猫の仲が悪い場合は、室内では常に飼い主が監督し、外出する場合は部屋を別々にするなどの特殊な配慮が必要となります。

治療

 猫ふんじゃった症候群に対して行われる主な治療は以下です。外傷から48時間経った時点で、しっぽの付け根5cm近辺の痛覚が残っている場合は、膀胱の機能も回復しやすいと言われています。また、しっぽに外傷を負った51匹の猫を対象とした調査では、最初の診察で肛門の反射や股間の感覚が残っている場合、2日から30日以内(平均13日)で、排尿の自力コントロールができるようになったとも。では感覚がない猫の場合、排尿機能の回復は絶望的かというとそういう訳でもなく、たとえ痛覚が消失していても、約60%の猫では膀胱の機能を取り戻したというデータもあります。
猫ふんじゃった症候群・主な治療法
  • 排泄の補助 しっぽの感覚が残っている場合は、さしあたり排泄行為に伴う障害を軽減することが最優先されます。具体的には、尿道カテーテルや膀胱カテーテルで膀胱内に溜まった尿を定期的に空にしたり、浣腸や軟便剤で直腸を空にするなどです。排尿に関しては、手で膀胱を圧迫することによって促すこともできますが、尿が残りやすいため膀胱炎の原因になるとされます。
  • しっぽの切断 しっぽを上げることができない場合、切断処置がとられることもあります。これは、付け根に糞便が付いて不衛生になったり、しっぽを引きずって「馬尾」に再び外力が加わってしまう可能性があるためです。ただし、しっぽの感覚や運動能力は、7日から150日(平均31日)で回復するというデータがあることから、あまりにも早い段階での手術は推奨できないとされます。
Management of Pelvic Trauma
猫の尾・しっぽトップへ