トップ猫の栄養と食事猫の食生活

猫の食生活・完全ガイド~好き嫌いから手作りごはんの注意点まで

 猫はなぜあんなにも好き嫌いが激しいのでしょうか?なぜ何回にも分けて食事を摂るのでしょうか?完全肉食動物である猫に固有の食習慣や食生活について詳しく解説します。

食に関する好き嫌い

 猫の食に対する好みは生後4週齢~6ヶ月齢の間の経験によって形成されるといいます。ですから全ての猫に共通したミラクルフード的なものはおそらく無いのでしょう。以下では実験や調査などを通して確認されている、猫の味覚的な好き嫌いについてご紹介します。 猫の食に対する好き嫌いには後天的な要因(食経験)が大きく作用する

猫が好きな味は?

 猫の舌の上にある味覚受容器では、人間の味覚において「甘い」と表現されるタイプのアミノ酸に反応するユニットが発達しています。具体的には以下のようなアミノ酸群です。
「甘い」アミノ酸
  • プロリン
  • システイン
  • オルニチン
  • リシン
  • ヒスチジン
  • アラニン
 上記したアミノ酸ユニットは、ある種のアルカロイドや、人間の味覚において「苦い」と表現されるタイプの疎水性側鎖を有したアミノ酸で阻害されるといいます。具体的には以下のようなアミノ酸群です。
「苦い」アミノ酸
  • トリプトファン
  • イソロイシン
  • アルギニン
  • フェニルアラニン
 甘いアミノ酸と苦いアミノ酸を含んだ水を並べておいた時、猫は甘い方を選ぶといいます。初期に行われた実験では食用肉に対する好みに関し「ヒツジ>ウシ>ウマ>ブタ>ニワトリ>魚」だったと報告されていますので、「肉であれば何でもいい」というわけではなく、肉の中に含まれているアミノ酸の組成によって好みが変わってしまうのかもしれません。

猫が嫌いな味は?

 死んだ動物の組織内に蓄積する「モノりん酸ヌクレオチド」は猫の舌の上にあるアミノ酸ユニットの活性化を阻害するといいます。猫が新鮮な素材を好み、古くなった食材を嫌う理由はここにあるのでしょう。死肉でも平気で食べてしまうスカベンジャー(残飯荒らし)の犬とは大きく異なる点です。
 猫の舌および舌からの電気信号を脳に伝える顔面神経においては「アミノ酸ユニット」とは別に「ユニットX」と呼ばれる味覚の存在も確認されています。このユニットはアルカロイド、タンニン酸、リンゴ酸、フィチン酸など幅広い物質に反応し、特にキニーネ対してはウサギやハムスターよりも千倍近く敏感とのこと(Levesque, 1999)
 キニーネは強い苦味を持つことで有名な物質ですので、人間と同様、苦味として体感されている可能性があります。ですから「ユニットX」を活性化するような成分を含んだフードは積極的に嫌われるかもしれません。猫が中鎖脂肪酸、ココナッツオイル、サッカリン、チクロ、カゼインを嫌う理由にも「ユニットX」が関わっているのでしょうか。

猫が好きな水分含量は?

 猫は野生環境で捕獲する獲物と同じ70~85%の水分含量を好むとの報告があります。その一方、 家庭内で飼育されているペット猫と、農場などで放し飼いにされている納屋猫に性質が異なる5種類のフードを自由に選ばせたところ、ペット猫がドライフード(いわゆるカリカリ)を選んだのに対し、納屋猫は生の牛肉を好んだと言います(Bradshaw, 2000)。さらに魚に対する好みはまちまちで、赤肉よりも好まれることもあれば、逆に忌避されることもあるようです(Bradshaw, 1992)
 水分含量による好みの違いは、食に関する経験、口内炎や歯周病の有無、新しいものを好むネオフィリアと逆に忌避するネオフォビアのバランスなどによって左右されるものと推測されます。

猫が好きな食感は?

 加工したキャットフードの形状がとがっている場合、忌避されるという報告があります(Trivedi, 1999)。飲み込む時に食道に引っかかるような極端に角張ったものは食べたがらないのかもしれません。
 一方、2017年にオランダ・ユトレヒト大学獣医学部のチームが行った調査では、フードの「pH」「硬さ」「粘度」という3つの特性が、猫の好みと負の相関関係にあったと報告されています。つまり上記した特性が強ければ強いほど忌避される傾向があると言うことです。
 猫に忌避される3つの条件を全てひっくり返して考えると「酸味が強く柔らかくて極端にネバネバしていないもの」が好まれるということになります。具体的にイメージすると、やはり生肉や生魚に近いものということになるでしょうか。詳しくは以下のページをご参照ください。 猫が好みやすいフードの食感は?

猫が好きな温度は?

 温度は熱すぎず、冷たすぎない「人肌」程度がベストです。猫の食欲を最も刺激するものは匂いだと言われます。ちょうど食べ物が人肌程度の温度にあるとき、そこから発せられる揮発成分が最も多くなるのでしょう。エサの温度と猫の嗜好性の関係 逆に、上のグラフで示したとおり、エサの温度が40度を超えると急激に食欲が落ちます(Sohail, 1983)。こうした猫の特性から「猫舌」という言葉が生まれたのかもしれません。

猫が好きな野生動物は?

 野生動物に対する好みでは、ウサギ>ハタネズミ>その他のネズミ・食虫動物>イエスズメといった傾向が報告されています。まずドイツで行われた観察では、キヌゲネズミ科に属するハタネズミを特に好み、その他のネズミ科動物は避けるという結果が出ています。また、イエスズメに関しては、狩るけれども口にしないとか(Borkenhagen, 1978)。さらに、トガリネズミやモグラなど、昆虫類を主食とする食虫動物も、あまり好んでは食べないようです(Farsky, 1944)
 それに対し、猫の好物がウサギであるという報告があります。1984年、Libergが行った観察では、「ウサギが豊富にいる環境で、猫はほとんどげっ歯類を狩りの対象としない」という特性が明らかになっています。ウサギ1匹(300グラム)を捕まえている間に、げっ歯類は5匹(150グラム)しか捕まえることができないという事実から考えると、単位時間当たりの「コストパフォーマンス」がものをいうのでしょう。 「ドメスティック・キャット」(チクサン出版社) 野生動物に対する猫の好みは、ウサギ>ハタネズミ>ネズミ・食虫動物>イエスズメ、という順番  厄介なのは、ウサギのような大きめの獲物は逆に嫌われるという報告がある点です(Biro, 2005)
 ハンガリー国内で野生環境に暮らす猫(264頭)、ヤマネコ(22頭)、イエネコとヤマネコのハイブリッド(30頭)を対象とし、一体何を食べて生きているのかが胃の内容物や直腸からの採取物を通じて調査されました。その結果以下のような内訳になったと言います。
さまざまな「屋外ネコ」たちの獲物
屋外環境に暮らすイエネコ、ヤマネコ、ハイブリッドの獲物内訳
  • 小型哺乳類イエネコ=82% | ヤマネコ=70% | ハイブリッド=59%
  • 鳥類イエネコ=7% | ヤマネコ=16% | ハイブリッド=20%
  • 野うさぎイエネコ=2% | ヤマネコ=5% | ハイブリッド=3%
 50g未満の獲物が占める割合に関し、イエネコでは89~96%、ヤマネコとハイブリッドでは80%だったとのこと。また陸生動物が獲物となっていた割合はイエネコで91~98%、ヤマネコで84%、ハイブリッドで86%と推計されました。
 猫の狩猟行動に関する40近くの調査研究を元にしたメタ分析では、獲物となる動物の平均的な質量は41.2gで、猫の平均体重(3,559g)のおよそ1%だったといいますので、ウサギのような大きめの獲物を好むというのはむしろ例外なのかもしれません。
NEXT:猫の栄養バランス

猫の栄養バランス

 人間には偏食・好き嫌いというものがあり、摂取する栄養素が偏ってしまうこともしばしばあります。しかし人間と違って猫は、自分の体に必要な栄養素を本能的に知っており、その本能的な欲求に合わせてえさをえり好みすることができるようです。
 2011年、ペットの栄養や健康などを専門的に研究する「ウォルサム研究所」は、猫は偏食せず、自分で栄養バランス取りながらエサを食べることができるという事実を明らかにしました。同研究所が発見した猫の食性をまとめると、以下のようになります。 Geometric analysis of macronutrient selection in the adult domestic cat
猫の食事量自動調整能力
  • 3大栄養素の摂取量100匹以上の猫を対象に、「食べたいものを自由に食べさせる」という実験を行った。その結果、どの猫も1日における3大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)の摂取量がほとんど同じであることが判明した。
  • 栄養素の摂取比率重量ベースで見たときの各栄養素の摂取比率は、タンパク質26g、脂質9g、炭水化物8gであり、この割合は自然の中で魚などを食べて暮らすときに近かった。また含まれる栄養素が異なる3種類のエサを用意したところ、猫たちは上記「必要栄養バランス」に合うよう、自発的に食べる比率を調整した。
  • 炭水化物の摂取上限炭水化物の摂取量に関しては、1日あたり70kcal(300kJ)という上限があった。この上限を超えると、たとえ空腹でもそれ以上のエサを食べなくなった。
 このように猫は自分の体に必要な栄養バランスを生まれつき知っており、そのバランスを崩さないようにエサを食べるという、優れた調整能力を持っていることが明らかになりました。また当事実は2016年に行われた別の調査でも追認されています。詳しくは以下のページをご参照ください。 猫の食べる量を最終的に決めているのはタンパク質含量 マクロ栄養素を満たせない食餌しかないとき、猫は潔く空腹を選ぶ  こちらの調査で新たに発見されたのは、「カロリーの中でタンパク質が占める割合が最終的に50%前後に落ち着くよう猫は自動調整する」という事実です。タンパク質の優先度は食餌に加えられた味や匂いよりも高く、また炭水化物の摂取量が体重1kg当たり3gという上限を超えるような食餌しかない場合、猫は潔く空腹を選ぶとも。
 猫が食欲不振のときは、ひょっとすると食事に含まれる炭水化物の量が多すぎてタンパク質の含有比率が下がっているのかもかもしれません。
NEXT:猫の脂肪食

猫の脂肪食

 人間にとって高脂肪の食事は高脂血症の原因として名高いですが、どうやら猫は比較的高脂肪の食餌を摂取しても、人間のようにコレステロール値が上昇しないようです。
 研究を行ったのは、グラスゴー大学とウォルサム研究所出典資料:Butterwick, 2012。16頭の臨床上健康な未手術のメス猫を対象とし、多価不飽和脂肪酸由来の脂質を含んだフード(51% or 66%)と飽和脂肪酸由来の脂質を含んだフード(51% or 66%)を6週間にわたって給餌し、血漿脂質や脂質の代謝に関与している酵素がどのように変化するかが調査されました。その結果、66%という高い比率で脂質を含んだフードを与えても、血漿脂質濃度に影響を及ぼさなかったといいます。
 人間で見られるような高コレステロール血症や高トリグリセリド血症が引き起こされない理由としては、「猫は進化の過程で脂質を処理するシステムが発達し、ヒトに推奨される食事よりも高タンパク・高脂肪の食餌を摂取しても、それをうまく消化できるから」といったメカニズムが考えられています。 猫は獲物に含まれる体脂肪を効果的に消化吸収できる  猫は体質的に脂質の対処能力に優れていることは確かですが、不飽和脂肪酸の過剰摂取とビタミンEの欠乏が同時に起こると脂肪組織炎(イエローファット)を発症する危険性があります。
 半世紀以上前、アメリカ・マサチューセッツ州で不飽和脂肪酸の過剰摂取とビタミンE不足が原因と考えられる脂肪組織炎(イエローファット)の症例が報告されました(Munson, 1958)。この報告では、マグロの赤身を主体としたウエットフードを食べていた4頭の猫(うち2頭はもっぱらマグロ)で活動性の低下、発熱、皮下脂肪の硬化もしくは柔軟化が見られたと言います。さらに同じチームは別の8頭(6ヶ月齢~8歳)においても同様の症状が現れたことを報告しています(Munson, 1960)。これらの猫でも食事の大部分はマグロの赤身でした。 魚の偏食は猫の黄色脂肪症(イエローファット)を引き起こす  日本には「猫は魚が大好き」という思い込みを抱いている人がたくさんいるようですので、魚だけしか与えないなど栄養素が極端に偏った食事は避けるようにしましょう。 猫の黄色脂肪症(イエローファット) NEXT:猫と猫草

猫と猫草

猫が草を食むのは、腸管を刺激して排泄を促すためともいわれています。  猫が好んで食べる草のことを猫草(ねこぐさ)と言い、イネ科の植物、パセリ、ジャコウソウを食べることが多いようです。
 猫が草を食べる理由としては、「ちくちくした葉が消化器官を刺激して毛玉を吐き出させる」という説や、葉の中に含まれる「葉酸」(ようさん)と呼ばれるビタミンの一種を補っている、という説がありますますが、はっきりとした答えは出ていません。ただ、猫はセルロースのベータ結合を切ってグルコースに分解する能力をもっていないため、体内に入った植物は消化されないまま胃腸内に残り、刺激を与えることは確かなようです。
 その一方猫にとって有毒・有害な危険植物は、一説では700以上もあるそうです。700種類を全て覚えきることなどできませんので、イネ科植物など、猫が食べても平気な 「猫草」(ねこぐさ)以外は一切口に入れさせないと覚えた方が早いでしょう。 猫草の種類と栽培方法 猫にとって危険な有毒植物 NEXT:猫のムラ食い

猫のムラ食い

 好きなときに好きなだけエサを食べられる環境に猫をおいた場合、1日9~16回に渡って少量の食事を同量ずつ食べるといいます(Brackshawら, 1988)。こうした「ムラ食い」や「だらだら食い」をする理由としては、猫の祖先であるリビアヤマネコの食生活が大きく関わっていると考えられます。
自由摂食の場合、猫は1日9-15回に分けて少量ずつをだらだらと食べる リビアヤマネコは、獲物があまり豊富とはいえない砂漠地帯で、小型のげっ歯類などを主食として進化を遂げてきました。一度の狩りで10匹も20匹も獲物を捕まえることなどできませんので、必然的に、休み休み獲物を捕まえて食べるという食生活になります。そして、こうした食生活を長年続けることにより食欲が小刻みに上下動するようになったと考えられます。
 現代の猫が、豊富にエサがあるにもかかわらず一気食いせず、だらだらと10回以上に分けて食べる理由は、ひょっとすると小動物を断続的に捕らえて生きてきた祖先の食生活を、遺伝的に受け継いでいるからかもしれません。
 また、この仮説を裏付けるかのように、成猫がネズミだけで食事をまかなおうとした場合、1日10匹程度食べる必要があるといいます(Timmins, 1994)。これは、成猫の必要エネルギーを1日1キロ当たり80キロカロリー、ネズミ1匹あたりの平均エネルギー量を30キロカロリーとしたときの逆算データです。このデータに基づくと、猫が一回の食事で摂取する適正カロリーは、30キロカロリー程度でよいということになります。
 なお、時間を決めて規則正しくエサを与えた場合、自由に食べさせた場合に比べ、猫は攻撃的になり、協調性も失うと言います。また、一度に食べる量が多くなるため、尿のペーハー、マグネシウムやリン酸のレベルの変動も大きくなるとか(Finco, 1986)自由摂食と定時摂食における、猫の尿中PHの違い  「猫は本来、食事を10回以上に分ける」、「食事回数を少なくすると攻撃的になる」といった事実を見て来ましたが、これらは、私たち人間の「1日3食」という食生活に猫を付き合わせることが、実は大きな間違いである可能性を示しています。猫がちょびちょび食べている姿を見ると、「あれ、食欲ないのかな?」と心配しがちですが、人間視点ではなく猫視点から見ると、ごく普通のことなのかもしれません。猫の健康と福祉向上に関する啓発を行っている「ICC」では、1日の食事回数は少なくとも5回以上に分けることを推奨しています。また「AAFP」(アメリカ猫獣医師協会)も2018年、猫への給餌方法に関するガイドラインを発表し、餌を1~2回に分けてどかっと与えるのではなく、小刻みに分けて与えるよう忠告しています。
 人間の習慣や都合を猫に押し付けるのではなく、猫の健康と病気予防を最優先に考えた「ネコファースト」の給餌方法を実践したいものですね。以下のページを参考にしながら、猫の食欲が正常か異常かを常に監視する習慣をつけておくとベターです。 猫の食欲低下と増進 NEXT:猫の手作りごはん

猫向けの手作りごはん

 猫の食事をキャットフードではなく手作りごはんにするという選択肢もあります。しかし手作りごはんはいい面ばかりではありません。まず食費がかかる、手間隙がかかる、せっかく作ったのに猫が口を付けてくれない、など飼い主のやる気をくじくような側面があります。
 そしてそれより重大なのは、エネルギーと必要栄養素のバランスを取るのが非常に難しいという技術的な側面です。世界各国で猫向けごはんの手づくりを検証した結果、すべての栄養素を完璧に満たしたレシピは1つもないことが判明しています。以下は一例です。

ブラジルの手づくりレシピ

 2015年、サンパウロ州立パウリスタ大学(UNESP)を中心としたチームが犬向けレシピ80種類、猫向けレシピ24種類、犬猫兼用レシピ2種類の栄養バランスを検証した所、必要とされる栄養成分35種を完全に満たしているレシピは1つもなく、また分析された栄養成分35種のうち、106種のレシピすべてが基準を満たしているものは1つもなかったといいます。 猫向け手作りフードの多くは必要栄養素が足りていない

アメリカの手づくりレシピ

 カリフォルニア大学デイヴィス校のチームは、アメリカ国内で流通している書籍やインターネットで入手できた114の猫向け手作りごはんレシピが、NRC(全米研究評議会)の定める推奨基準を満たしているかどうかを検証しました出典資料:Wilson, 2019
 その結果、ほぼ100%に近い113では準備や調理の仕方に関する指示が曖昧だったといいます。94のレシピでは詳細な情報が提供されていたものの、そのうち93では食材、調理法、サプリメントに関する但し書きを必要としたとも。
 素人が手がけたレシピでは推奨基準を下回る傾向がありましたが、獣医師が監修しているものでも、すべての推奨基準を十分に満たしたものは1つもなかったそうです。とは言え、もっとも栄養バランスが良かったのは獣医師が監修した5つのレシピで、コリンを除いたすべての栄養成分を満たしていたとのこと。しかし2レシピではタウリンが十分かどうかを検証できなかったとしています。
 マクロ栄養素では、粗タンパク質が6.4%(6/94)の割合で推奨基準以下であることが確認されました。またビタミンやミネラルに関し基準値を下回ることが多かったのはコリン(89.7%)、鉄分(76.6%)、チアミン(62.8%)、亜鉛(61.7%)、マンガン(57.4%)、ビタミンE(57.4%)、銅(45.7%)などでした。

日本の手づくりレシピ

 2017年、日本で市販されている書籍およびインターネットから維持期の猫用手作り食レシピを集め、中に含まれる栄養素含量がAAFCO養分基準(2016年版)を満たしているかどうかが検証されました(ペット栄養学会誌21)
 その結果、粗タンパク質、必須アミノ酸、粗脂肪、必須脂肪酸はほとんどのレシピで充足していたものの、ミネラルに関しては基準に達していない場合が多く、半数以上のレシピではカルシウムが著しく不足していたといいます。逆にメチオニンが過剰となっているレシピが4分の1以上あり、ヨウ素、ビタミンA、ビタミンDが過剰となっているレシピがわずかに認められたとも。

手作りごはんの注意点

 上記したように、飼い主が手作りで猫のご飯を用意しようとすると、ほとんどの場合は栄養バランスが崩れて猫を不健康に陥れてしまいます。
 それでも猫の手作りごはんに挑戦したいとお考えの方は、「エネルギー源となる炭水化物・脂質・タンパク質の三大栄養素」、そして「体の微調整をしてくれるビタミン・ミネラル」のバランスを考えながら与える必要があります。1日に必要なカロリー数に関しては、「猫が必要とするカロリー」が役に立つでしょう。また栄養素のバランスに関しては、AAFCO(米国飼料検査官協会)が最低摂取量を公開しています。「日本食品標準成分表」を確認しながら、フードの中に必要な栄養素が十分量含まれているかどうかを常に確認しながら作る必要があります。
猫の手作りごはんに必要な情報
猫の手作りごはんは栄養バランスが崩れやすいので要注意  なお、猫のための手作りレシピを扱った書籍がたくさんありますが、こうしたレシピのほとんどは出来上がったごはんの成分保証値を記載していませんし、長期的に給餌したときの猫に対する影響を追跡調査していません。また近年は生の食材を用いた「ローフード」(raw food)を介した多剤耐性菌への感染が懸念されていますので、素材への注意も必要です。手作りごはんに不安を覚える方はいさぎよく市販のフードに切り替えることをお勧めします。 猫に対する生肉(ローフード)の給餌がESBL産生菌への感染リスクを高める  キャットフードを選ぶ時の一つの基準は「この製品はAAFCO(米国飼料検査官協会)の定める基準を満たすことが証明されています」もしくは「この商品はペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、成猫用の総合栄養食であることが証明されています」と記載されていることです。
 これらの記載があれば、少なくともAAFCOやペットフード公正取引協議会が推奨している必須栄養素の最低量が満たされており、また一定のプロトコル(試験手順)にのっとって数週間~半年間の追跡調査を行ったことが保証されます。
市販フードを給餌する際は「キャットフードの選び方」をご参照ください。ラベルの読み方から成分(食材や添加物)の安全性まで詳しく解説してあります。