トップ猫の健康と病気猫の感覚器の病気猫の皮膚の病気毛包虫症

猫の毛包虫症~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の毛包虫症(もうほうちゅうしょう)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の毛包虫症の病態と症状

 猫の毛包虫症とは、毛包虫(ニキビダニ)が猫の皮膚表面や毛包、皮脂腺に寄生して炎症を引き起こした状態のことです。「アカルス」、「ニキビダニ症」とも呼ばれます。
 猫の毛包虫症を引き起こすのは、ニキビダニ属(demodex)の一種である「D. cati」と「D.gatoi」の2種です。前者は主に毛包や皮脂腺の中に生息し、後者は皮膚表面の表皮に生息するという特徴を持っています。犬に寄生する「D.canis」とは違い、上記2種のライフサイクルに関しては、いまだによくわかっていません。また2015年に行われたDNA解析により、猫の皮膚には正体がよくわからない第三種目のニキビダニ属が存在している可能性も示唆されています。 皮膚断面における毛包と皮脂腺の位置と毛包中の外観  猫の毛包虫症の症状としては以下のようなものが挙げられます。好発部位は、眼、頭部、首などです。
毛包虫症の主症状
猫の毛包虫症~皮脂腺の多い部分に多発する
  • 膿疱(のうほう)
  • ただれ
  • 赤くなる
  • フケが多くなる
  • 脱毛
  • 膿皮症(重症例)

猫の毛包虫症の原因

 猫の毛包虫症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
毛包虫症の主な原因

猫の毛包虫症の治療

 猫の毛包虫症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
毛包虫症の主な治療法
  • 基礎疾患の治療  猫の毛包虫症は、そのほとんどが基礎疾患に起因しているため、まずはそうした病気に対する治療が最優先されます。
  • 対症療法  対症療法として、殺虫効果のある薬剤が投与されることもあります。またアミトラズなど、殺虫効果のある薬剤を用いて体をよく洗うという選択肢もあります。いずれにしても副作用があるため、適用に際しては事前のインフォームドコンセントが重要です。