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猫白血病ウイルス感染症

 猫の猫白血病ウイルス感染症(ねこはっけつびょうういるすかんせんしょう)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫白血病ウイルス感染症の病態と症状

 猫白血病ウイルス感染症とは、猫白血病ウイルス (FeLV)を原因とする猫の感染症です。
猫白血病ウイルス(FeLV)の顕微鏡写真   猫白血病ウイルス(FeLV)はレトロウイルス科ガンマレトロウイルス属に属するRNAウイルスです。このウイルスは感染している猫の唾液、涙、血液、乳汁などに含まれており、口や鼻の中から感染したり(経口感染・経鼻感染)、母猫が子猫を産む際にも感染したりします(垂直感染)。しかし人間や犬などの猫以外の動物に移ることはほぼありません。
 ウイルスが猫に感染すると、およそ1ヶ月をかけて口やのどのリンパ組織→血液→体中のリンパ組織→骨髄という順番で勢力を広げていきます。以下は、一般的な猫白血病ウイルス感染症の病期です。
猫白血病ウイルス感染症の病期
  • 病期1 口や鼻から入ったウイルスが、扁桃腺や咽頭リンパ節などで局所的に増殖。
  • 病期2 循環血液中の単球やリンパ球によって全身に運ばれる。
  • 病期3 脾臓や消化管のリンパ組織内で増殖。
  • 病期4 小腸のリンパ組織や、骨髄内で増殖。
  • 病期5 ウイルスを内部に含んだ好中球や血小板が骨髄から放出され、血液を汚染(ウイルス血症)。
  • 病期6 唾液腺や涙腺といった組織に移動し、唾液や涙と共に外界に飛び出す。
 免疫力が十分な猫の場合は、体中のリンパ組織に侵入してくるまでに自力でウイルスを排除できますが、免疫力が不十分な猫の場合は、骨の中に含まれる「骨髄」(こつずい)という部分への侵入を許してしまいます。こうなるとウイルスが持続的に血液の中に放出されるようになり(持続性ウイルス血症)、二次的に発生した病気が原因で、大半は3年以内に死んでしまいます。
 猫白血病ウイルス感染症の重症度は猫の免疫力に大きく左右され、生後間もなくウイルス感染した場合の致死率はほぼ100%、離乳期(生後1ヶ月~1ヶ月半)のそれは約50%ですが、子猫が生後4ヶ月齢を超えると、およそ90%が治癒するといわれています。
 猫白血病ウイルス感染症の主な症状は以下です。
猫白血病ウイルス感染症の主症状
  • 急性期症状  感染して1ヶ月くらいすると、のどや口のリンパ節や血中に侵入したウイルスの影響で急性期の症状が現れます。急性期の主な症状は、食欲不振、体重減少、貧血、下痢、発熱、脱水、鼻水、口内炎、リンパ節の腫れなどです。
  • 慢性期症状  急性期を生き延びたとしても、ウイルスを完全に排除しきれなかった場合は、体内に潜伏していたウイルスが1~2年後に再び活性化し、リンパ腫、腎臓病、慢性口内炎、再生不良性貧血、白血球減少症などの症状が現れ出します。また、たとえ自然治癒したとしても、その後の悪性リンパ腫の発生率は感染したことがない猫に比べて高くとどまります。
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猫白血病ウイルス感染症の原因

 猫白血病ウイルス感染症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
猫白血病ウイルス感染症の主な原因
  • 接触感染  猫白血病ウイルス(FeLV)の主な感染経路は、ウイルスに感染した猫の唾液が他の猫の口から体内に侵入するという経路です。放し飼いをしている猫の場合はケンカを通して、そして室内で猫を多頭飼いしている家庭では、猫同士がお互いがなめ合ったり食器を共有することによって感染します。母猫が子猫をなめてウイルスを移してしまうというケースもあります。
  • 垂直感染 母猫の体内において、胎盤を通じてウイルスが子猫に移ってしまうことがあります。また生後、母乳を通じて感染するというルートもあります。
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猫白血病ウイルス感染症の治療

 猫白血病ウイルス感染症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。ウイルスを直接退治する治療法はありませんので、ウイルスに感染して最初の1ヶ月前後で発症する急性症状、及びその1~2年後に現れ始める慢性症状に対し、その場に応じた対症療法を施すのが基本的な治療方針となります。
猫白血病ウイルス感染症の主な治療法
  • 急性期の治療  貧血がひどくて輸血が必要なら、輸血して体力の回復を図り、また、白血球が急減していれば、二次的な細菌感染を防ぐために抗生物質を投与します。猫用インターフェロンを投与しながら猫の免疫力を少しでも高めていき、 自然治癒を目指すのが急性期の一般的な治療法です。 
  • 慢性期の治療  急性期の1~2年後に現れやすい慢性期の代表疾患悪性リンパ腫を例にとると、この病気は放置すればわずか1~2か月で死を迎えますが、適切な抗がん剤を投与したり化学療法を行えば、半年~2年ほど余命を伸ばすことが出来ます。 
  • ワクチン接種  猫白血病ウイルスはワクチンが開発されていますので、あらかじめワクチン接種しておくことは予防という観点から重要です。混合ワクチンとしては「フィーライン」、「フェロバックス」などがあり、また単体ワクチンもあります。しかしワクチンには100%の予防効果はなく、また猫によっては副作用が出てしまうものもいますので、まずは担当の獣医さんにご相談下さい。 猫のワクチン接種
  • 飼い主の側の注意  猫白血病ウイルス感染症の予防策は、まず感染猫と接触させないために猫を完全室内飼いにすることです。こうすることで他の猫とケンカしたりなめあったりして感染する経路を絶ちます。また、母猫から子猫への感染を防ぐため、ウイルス検査をして陽性が出たメス猫は、あらかじめ避妊手術をほどこして子猫を産ませないようにすることが必要です。さらに、猫の多頭飼い家庭における集団感染を予防するため、新たな猫を飼うたびにウイルス検査を行い、もし感染猫がいれば部屋を分けるなどして、感染猫をほかの猫と隔離する必要があります。
     なお、猫の体内でウイルスが潜伏していても、普段から十分な栄養や休養、快適な生活環境を保って免疫力を保持していれば、再活性化をコントロールすることも十分可能です。
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