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猫がいつも眠っているのには理由がある~寝相・睡眠サイクルから理想のベッド選びまで

 猫はよく眠ります。一日の大半を寝てすごす猫もいるくらいです。以下では、猫にとって眠りとは何なのか?なぜ猫はそんなに長く眠るのか?猫も夢を見るのか?などについて解説していきます。

猫の睡眠時間

長い睡眠時間を誇る猫は、その寝姿から「寝子」が語源ではないかとさえ言われている  猫は平均すると、おおよそ1日12~14時間眠るといいます。私たち人間は8時間眠れば「熟睡」と言えますので、 ずいぶんと長い時間眠っているように思われます。この長い睡眠時間から”ネコ”という言葉の語源が「寝子」ではないかと言われていますが、雨の日はさらに多く、1日20時間近く眠っている猫もいるとか。
 しかし猫が長時間眠っているのには訳があります。ライオンやトラと同様、来(きた)るべき狩りの時間に備えて、エネルギーを温存しているのです。また、草食動物である牛や馬は1日2~3時間しか寝ませんが、これは体に必要な窒素(N)やカロリーを摂取するため、生活の大半を「草を食べる」という行為に費やさなければならないからです。完全な肉食で高カロリー食を食べている猫は、一度食事を取ればしばらく何も食べなくてよいので、余った時間を睡眠に回しているともいえます。
 参考までに、動物界における睡眠時間の一覧を以下に示します。少ないものではキリンの1.9時間、ウマの2.9時間などがあり、逆に多いものではオオアルマジロの18.1時間、コウモリの19.9時間などがあります。人間の幼児も16時間となかなか健闘しているようです。 Inspiration Green 動物界における睡眠時間一覧表
猫は眠る前に手足が熱くなる
猫の手足が眠る前にポカポカと熱くなるのは、体の内部の温度を下げることで、眠りを引き起こしやすくしているから  「赤ちゃんの手足が、眠る前に熱くなる」という話は聞いたことがあると思います。しかしどうやら人間の赤ちゃんと同じように、猫の手足も眠る前にポカポカと熱くなるそうです。
 そもそも赤ちゃんの手足が熱くなる理由は、体の表面にある皮膚から熱を放散させ、体の内部の温度を下げることで、眠りを引き起こしやすくしているからだと考えられています。体の内部の温度(深部体温という)が低いほうが眠りに付きやすいという法則は、赤ちゃんに限らず大人でも同じで、日中に酷使した脳を冷却しようと、眠っている間に体温を下げてメンテナンスするためだ、と言われています。
 猫も手足に血液を集めて体温を外に逃がし、深部体温を下げることで、なるべくいい眠りについて脳を休ませようとしているのかもしれませんね。 テルモ体温研究所・「睡眠と体温」

猫の寝相・寝姿

 猫の寝相や寝姿は様々ですが、一般的に気温が15度を下回ると、体を丸めて眠るようになりますので、「猫の寝相を見れば外の気温がわかる」とも言われています。なお、猫の寝相・寝姿に影響を及ぼすものとしては、外界の気温のほか「警戒心」と言うものがあります。猫の寝相・寝姿と気温・警戒心の関係は以下です。
猫の寝相と気温・警戒心の関係
猫の寝相を見れば外の気温がわかる
  • 丸まって寝る外界の気温15度以下/警戒心強い
  • 横になりわき腹を見せて寝る外界の気温15-22度/警戒心ややゆるい
  • 両手を広げてバンザイ状態で寝る外界の気温22度以上/警戒心ほぼなし
 しっぽを首に巻きつけて眠るという姿勢には、ちょっとした注意点があります。もしその猫が耳ダニをもっている場合、寝ている間にしっぽに移ってしまうことがあるのです。ですから、耳だけからダニを駆除しても、しばらくするとしっぽの中に隠れていたダニが耳に戻り、いつのまにか再発するという現象が時々起こります。耳ダニを駆除するときは、全身を対象にすることが重要ということです。
猫のあくびとストレッチ
 寝起きに特に多いのが「あくび」と「ネコストレッチ」。
 あくびは、睡眠中に不足した酸素を脳に取り込もうとしており、またストレッチは吸い込んだ酸素を全身にいきわたらせようとしているとか。あくびとストレッチの後は、寝起き直後でもすぐに全速力で走り出せるくらいシャキッと目が覚めますが、これは寝込みを襲われてもすばやく外敵から逃げ切るためのメカニズムです。
 ちなみにべろをちょろっと出して眠っているのは、毛づくろいに疲れたためという説が有力で、寝ている間に腕で顔を隠す「ごめん寝」は、ただ単に光がまぶしいからです(猫は夜行性なので光に敏感なんですね)。 猫が舌を出しっぱなしなのは、疲れた舌のしまいわすれ/寝起き直後のストレッチは吸い込んだ酸素を全身にいきわたらせようとしている

猫の睡眠サイクル

 私たち人間の睡眠は、レム睡眠ノンレム睡眠が、おおよそ90分サイクルで繰り返されます。ここでいう「REM」とは、”Rapid Eye Movement”の略で、「高速眼球運動」を意味します。簡単に言うと寝ている間に細かく目玉が上下左右に動くことですが、このレム睡眠の間に眠りが浅くなり、夢を見ているというのが通説です。逆にノンレム睡眠においては高速眼球運動が見られず、眠りの度合いが深くなると言われています。
 一方猫の睡眠も、私たちと同様レム睡眠とノンレム睡眠から構成されます。しかし、その現れ方には大きな違いがあるようです。1974年、研究所内における猫の睡眠サイクルを調査したところ、以下のような事実が明らかになったといいます(→出典)。
猫の睡眠サイクル
  • 覚醒時間26分+睡眠時間78分の104分周期が一日中繰り返される
  • 睡眠時間78分のうち6~7分のレム睡眠が平均2.6回訪れ、トータル時間は全体の15%を占める
  • 睡眠時間78分のうち残りの85%がノンレム睡眠
 人間が夜になってからがっつり睡眠をとるのに対し、猫は104分サイクルでこまめに睡眠をとるという特徴をもっているようです。この睡眠~覚醒サイクルには、野生環境における摂食パターンが関係しているように思われます。野生における猫は、食餌を1日10回ほどに分けて摂るそうです。睡眠の小刻みな出現も、こうした断続的な摂食パターンに連動しているのかもしれません。つまり「食事→睡眠→食事→睡眠→・・・」という「食っちゃ寝パターン」が、遺伝子に刻み込まれているということです。 人間と猫の1日における睡眠サイクル比較
 猫の睡眠時間のうち、およそ15%を占めるとされるレム睡眠に関し、フランスの脳科学者ミシェル・ジュヴェ(Michel Jouvet)は、猫のレム睡眠時の覚醒閾値はノンレム睡眠時のおよそ300倍だと報告しています(1967)。つまり、浅く眠っているときは深く眠っているときよりも、300倍目覚めやすいという意味です。人の横で寝ていた猫が突然目を覚まし、引っかいたり逃げ出すなど、寝ぼけたような行動をとることがあります。こうした奇妙な行動をとるのも、猫が寝ている間でさえも、警戒心を怠っていない証拠なのでしょう。
 ちなみにレム睡眠のとき、猫も夢を見ている可能性があります。上でも登場したミシェル・ジュヴェは、睡眠中でも筋肉が脱力しないように脳みそに細工を施して、猫の睡眠を観察しました。その結果、獲物を追いかけるしぐさを見せたり体をなめたり外敵から逃げるようなそぶりを見せたといいます。ですから、私たち人間と同じように猫も何らかの夢を見ているのかもしれませんね。
猫のレム睡眠
 以下でご紹介するのは、猫がレム睡眠に陥っている瞬間を捉えた動画です。体を小刻みに振るわせているのは、夢でも見ているのでしょうか?ちなみに猫のレム睡眠の割合は、生後10日では100%ですが、生後28日になると50%にまで激減します。 元動画は⇒こちら

猫にとって理想のベッド

 猫が好きなベッドの条件は以下です。ベッド選びや寝場所を選ぶときの参考にしてみましょう。 猫に必要な睡眠・管理グッズ
猫のベッド設置のポイント
  • 快適な温度22度前後の場所
  • 適度な暗さ夜行性の猫は光に敏感なので、適度な暗さが必要
  • 見通しのよい場所外敵に対する本能的恐怖心を和らげる
  • 閉鎖空間段ボール箱など体をすっぽりと包み込むような空間が、猫にとって居心地のよい場所
  • 保護者が近くにいる母猫や母猫代わりの存在(飼い主)のベッドと付かず離れずの場所が落ち着く
 なお、Crouseの研究(1995)によると、固い場所よりも柔らかい場所の方が、猫の睡眠時間が長くなるといいます。またHawthorneの研究(1995)によると、ポリエステルのフリース、コットンのタオル、苫(とま=イグサのマット)、波型ダンボールの中では、「ポリエステルのフリース」が最も好まれたとのこと。こうした事実から、ポリエステル製の柔らかいベッドを用意してあげると、猫の満足度が高まってくれるようです(→出典)。