トップ猫を飼う前に猫を飼うのに必要な費用はどのくらい?

猫を飼うのに必要な費用はいくら?~1ヶ月、1年間、1生涯にかかる出費の一覧リスト

 猫を飼う際に必要となる費用を、「飼い始め」、「飼い始めてから毎年」、そして「臨時」という枠組みでまとめました。 これから猫を飼おうという方は、是非参考にして下さい(🔄最終更新日2024年1月)

猫の飼い始めに必要な費用

 猫を飼い始めた時、真っ先に必要となる出費の一覧リストです。住んでいる地域や選ぶ商品によって大きく変動しますが、最低でも4万円、場合によっては10万円以上の費用がかかることもあります。なお猫の購入価格は除外してあります。 猫を飼い始めた時、真っ先に必要となる出費の一覧リストです

健康診断

 「健康診断」は、5歳未満の健康な猫なら年に1回、5歳を過ぎたら半年に1回くらいが大まかな目安です。費用に関しては地域や病院の立地、およびオプション検査の有無によりかなり変動しますので、事前に問い合わせて見積もりを取ったほうがよいでしょう。なお医療費に関しては、田舎よりも都会の方がやや割高となります。これは、都会の方が地代が高く、その分を医療費に上乗せしなければならない、という事情が関連しています。
 健康診断では以下のような検査を受けることができます。幾つかの項目に関してはオプションであり、必ずしも行われるわけではありません。オプション検査を依頼すると、その分検査費用がいくらか上乗せされます。家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査
一般的な猫の健康診断内容
  • 体重測定食事量が適正かどうかの目安になります。
  • 体温測定成猫の平熱は37.5~38.5℃、子猫の平熱は38~39℃くらいです。
  • 便の検査手法により変動しますが、737~897円程度です。硬さ、匂い、色、顕微鏡を使った寄生虫検査などを行います。便検査をする場合は検査の2時間以内に便を取って病院に持参します(病院内で採取することも可能です)。長時間放置した便は寄生虫が卵から孵化(ふか)している可能性があり、正確な検査ができません。
  • 血液検査採血料が727円、生化学検査料が4,625円程度です。その他特定の寄生虫やウイルスを検出する際には別料金が発生します。生化学検査では血液系の疾患を調べることができます。
  • 尿検査尿の採取料金が1,127円~1,549円、検査料金が1,432円程度です。泌尿器系(ひにょうきけい)の疾患を調べることができます。
  • エックス線検査単純撮影の場合は3,931円程度です。尿管や膀胱(ぼうこう)に異常が見られるときの尿路造影は7,107円、胃や腸の中に異物があるときの消化管造影は7,911円とやや割高になります。
  • 心電図検査2,521円程度です。不整脈、心室肥大、冠状動脈疾患などを調べます。

混合ワクチン接種

猫は病院の診察台に乗せられ、ワクチン注射を受けます。  「混合ワクチン接種」(こんごうわくちんせっしゅ)は、猫がかかりやすい病気に対する免疫力を、あらかじめ高めるための注射です。生まれたばかりの子猫には母猫から受けた受動免疫(じゅどうめんえき=生まれついて授かった病気に対する抵抗力)がありますが、離乳する頃には免疫力が低下してしまいます。この時期に猫汎白血球減少症猫ウイルス性鼻気管炎猫カリシウイルスなどの伝染病にかかりやすくなるため、人為的にこれらの感染症に対する混合ワクチンを接種する必要があるのです。生後50日頃に1回目、生後80~90日頃に2回目の接種を受け、以後は1年に1回受け続けるプログラムが一般的です。予防接種は近くの動物病院でいつでもできます。相場価格は、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)を含まない混合ワクチンが4,474円、含むものが6,514円程度となっています。ワクチン接種プログラム 猫の感染症

生活用品費用

 猫を家の中に迎え入れるときに必要となるアイテムがいくつかあります。値段はピンきりですが、参考までに具体的な品目と大まかな相場価格帯を記しておきます。安いもので揃えれば3万円、高いもので揃えれば10万円超といったところでしょうか。
猫の必需アイテムと価格
  • 猫用トイレ=2~4,000円
  • 食器=1~3,000円
  • ブラシ=1~4,000円
  • 爪きり=500円~2,000円
  • 首輪=1~2,000円
  • キャリーバッグ=2~6,000円
  • ハウス・ケージ=8,000円~3万円
  • ベッド=2,000円~1万円
  • キャットツリー=5,000円~2万円
各アイテムの詳細は猫に必要なペットグッズで詳しい解説とともにご紹介しています!
NEXT:年間飼育費用は?

猫を飼い始めてから毎年必要な年間費用

 以下では、猫を飼い始めてから毎年コンスタントにかかる費用について一覧リスト化しました。年間最低でも9~15万円超のコストがかかると見積もるのが妥当です。 猫を飼い始めてから毎年コンスタントにかかる費用の一覧リストです。

食費・おやつ

 ドライフードの場合、安いものであれば1ヶ月千円程度しかかかりません。プレミアムフードや療法食などを選んだ場合は費用が2~3倍になります。年間に換算すると12,000~50,000円といったところです。
 ウェットフードの場合、ドライフードよりも割高なため1日数百円の食費がかかります。単純計算すると、1日200円だと年間7万3千円、300円だと10万円超、500円だと18万円超になります。
 おやつの種類は色々ありますが、安いものであれば1ヶ月1,000円程度で済みます。近年は猫の食いつきがよいペースト状のおやつがたくさん出回っていますので、さすがに月1,000円で抑えることはできないかもしれません。年間では最低でも12,000円を見積もったほうがよいでしょう。キャットフードいろいろ

猫砂

 猫砂とはトイレの中に入れておしっこを吸収する素材のことです。最も安い紙素材のものであれば、1ヶ月1,000円程度で済みます。紙以外の素材(おから・ゼオライト・炭・ひのき etc)を用いた場合はやや割高になり、1ヶ月1,200~2,000円になります。年間に換算すると15,000~24,000円程度です。猫砂いろいろ

爪とぎ

 爪とぎとは猫がガリガリと爪を立てるための素材のことです。麻ロープ、カーペット、段ボールなどがあります。非常に安価なため1ヶ月500円程度、年間でも6,000円あれば十分でしょう。爪とぎいろいろ

その他の消耗品

 必需品とまでは言えないもののあったほうがよいアイテムがいくつかあります。具体的にはフィーダー、フードストッカー、猫草、ペット用のシャンプー用品、ウェットティッシュ、コロコロ、空気清浄機などです。猫に必要なペット用品

混合ワクチン接種費用

 免疫力を高めるために行われる初年度の2~3回のワクチン接種の後、免疫力を持続させるため2年目以降に行うブースター接種に関しては、年に1回が慣習になっています。しかし世界的には「3年に1回程度」という流れになっていますので、どうしても毎年接種しなければいけないというわけではありません。特に多様な変異種が存在する「猫カリシウイルス」や、強毒種がいる「猫ヘルペスウイルス」においてはたとえ接種したとしても、期待通りの感染防御能を示さないことがあるという知識は持っていて損にはならないでしょう。
 ブースター接種は近くの動物病院でいつでもできます。料金は猫白血病ウイルス感染症(FeLV)を含まない混合ワクチンが4,474円、含むものが6,514円程度です。 ワクチン接種プログラム

ノミ・ダニ予防薬

 猫の被毛は体の小さなノミやダニにとってかっこうのベッドです。しかし噛まれた部分がかゆくなったり、排出したフンがアレルギーの原因になったりと、猫にとっていいことは何もありません。また、ノミやダニが室内で繁殖すると、飼い主のベッドなどにも侵入してしまうため、室内を衛生的に保つためにも、猫のノミ・ダニ予防は重要となります。猫のノミ皮膚炎  ノミやダニは1年を通じて室内や屋外にいるため、ノミダニ対策も年中行う必要があります。方法は防虫効果のあるカラー(首輪)、部屋に防虫剤を塗布する、猫にノミダニ薬を月に1回投与するなど様々です。猫用のノミダニ薬は首に垂らすスポットタイプが主流です。
 スポット薬には主にノミやダニをターゲットとしたものの他、回虫や条虫と言った内部寄生虫、およびフィラリアまで含めてターゲットにしたものがあります。料金は毎月800~1,500円程度です。1年(12ヶ月)を通して対策した場合の年間のノミダニ予防費用は10,000~18,000円程度になるでしょう。 猫用ノミダニ薬は首筋に垂らすスポットタイプが主流  ネット上には個人輸入したノミダニ薬を、動物病院で処方された値段より安く通信販売している人がいます。そして法的な根拠を示さないまま「個人輸入して個人で使う分には違法ではない」と断言しています。しかし安いからと言って飛びついてしまうと、知らないうちに犯罪に加担していたということになりかねませんのでご注意ください。
 ノミダニ予防薬には「要指示医薬品」に区分されているものとそうでないものとがあり、動物医薬品データベースで確認が可能です。もし「要指示医薬品」の場合、ネットで売買することには法的な規制がかかりますので、事前によく調べなければなりません。厚生労働省の公的な見解では「要指示医薬品」であるノミダニ薬を輸入しようとする場合、1ヶ月分を超える分量を一度に取り寄せることはできず、取り寄せた薬をほかの人へ売ったり譲ったりすることはできないとなっています。輸入代行をしているのが日本国内の業者であれ海外の業者であれ、軽い気持ちで通販に手を出してしまうと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がありますので十分にご注意ください。 猫の寄生虫対策・完全ガイド 猫のノミ・ダニ駆除グッズ一覧
一例を挙げると、ペルメトリンを含んだ犬用ノミダニ薬を誤って猫に投与して急性中毒に陥るとか、事前にフィラリアの検査をしないでネット購入したスポット薬を自己判断で投与し、心臓付近の血管に成虫が詰まって猫が突然死してしまうといった可能性があります!
NEXT:一生涯の飼育費用は?

猫の一生涯にかかる費用

 猫の一生にかかる飼育費用はいくらくらいになるのでしょうか?飼い始めにかかる費用と毎年かかる費用を元にして計算してみましょう。
 例えば子猫の頃から飼い始め、猫の寿命を15年と仮定し、買い揃えるアイテムを価格の安いものでまとめたとすると、猫の一生にかかる生涯飼育費用は140~230万円になります。たいていは必須アイテムの買い替え、および病気や事故による臨時の出費がこれに加わりますので、あくまで最低費用とお考えください。また多頭飼いをしている場合は猫の頭数分だけ倍増します。
 なおペットフード協会が公開した2023年の統計調査では以下に示すような生涯飼育費用を試算しています。 全国猫猫飼育実態調査(2023年)
猫の生涯飼育費用
猫の一生涯にかかる飼育費用の比較棒グラフ(全体・室内飼い・放し飼い)
  • 放し飼い平均寿命14.18歳→1,249,906円
  • 室内飼い平均寿命16.25歳→1,534,047円
  • 猫全体平均寿命15.79歳→1,498,728円
 放し飼いの猫はワクチン、ノミ・ダニ・フィラリア予防といった基本的な医療費の他、事故による怪我や感染症の発症などに対する医療費がかさむと推測されます。平均寿命が2年ほど短いのもそうしたアクシデントのためでしょう。
飼育費用は高くつくは寿命は縮むは…。猫は完全室内飼いが原則ですね。外飼いのリスクに関しては「猫を放し飼いにしてはいけない理由」でまとめてあります。
NEXT:臨時でかかる費用は?

その他臨時で必要な費用

 以下では臨時で必要となる出費について解説します。トリミングや家具の修繕費用など、急を要さないものもありますが、緊急手術など一刻を争う事態も想定されます。飼い主としてはある程度経済的に余裕を持った状態で猫を飼いたいものです。

トリミング費用

 トリミングとは猫の被毛をカットすることで、料金は地域やお店でまちまちですが、おおよそ5,000~10,000円程度です。自分でできないことも無いですが、失敗を避けるために多くの人はプロに依頼します。短毛腫には関係ありませんが、長毛種の場合、毛をたくさん飲み込んで毛球症(もうきゅうしょう)と呼ばれる病気を発症することもありますので、日ごろのブラッシングのほかトリミングによって毛を短く整えておくことも重要です。
猫の年間トリミング費用
猫のトリミング費用推移棒グラフ(2022年版)  アニコム損保が公開している統計データ「家庭どうぶつ白書」の最新2022年版によると、グルーミング(シャンプー+カット+トリミング)料金は年間3,000円程度と犬の十分の一にも満たないようです。猫をサロンに連れて行くこと自体がストレスになるため、年に1回だけ行う人が多いのでしょうか。また短毛種の方が圧倒的に多いため、シャンプーだけしてカットはしないというパターンがあるのかもしれません。

ペットシッター・ホテル料金

 仕事や旅行などで長期間家を空けなければならない状況があるかもしれません。猫の留守番は2泊程度が限界ですので、帰宅できない期間がそれ以上伸びるようであれば猫の面倒を誰かにお願いする必要があります。猫に詳しい友人や知人がいれば無料で引き受けてくれるかもしれませんが、そうした人が身近にいない場合は料金を払って猫の世話をお願いする必要があるでしょう。
 自宅に来てくれるペットシッターに依頼した場合、食事の世話、トイレの掃除と取替え、退屈しのぎの遊び相手、などが主なサービス内容となり、相場価格は1頭1回3,000円以内のところが多いようです。猫を家の外にあるペットホテルに預ける場合、1頭1泊4,000円~が目安です。 猫の留守番
年間ペットホテル(シッター)料金
猫のペットホテル・ペットシッター年間費用・推移棒グラフ  アニコム損保が公開している統計データ「家庭どうぶつ白書」の最新2022年版によると、年間平均額は1,000円程度のようです。前年度に比べて急減した理由には、やはりコロナ禍とステイホームが関わっているのでしょうか。猫の飼育で困ったことの上位には「長い間の外出ができない」というものが常に入っています。ペットホテルやペットシッターを利用すれば長期の外出もできるでしょうが、その反面、猫のストレスが大きくなってしまうでしょう。

病気や怪我の治療費

 猫が交通事故にあった、高いところから飛び降りて足を骨折した、腹部にしこりが見つかった、などなど、急な病気や怪我の危険性は常に存在しています。お金に余裕が無くて手術が手遅れになった…などという事態に陥らないよう、飼い主はある程度の資金的余裕を持っていたいものです。料金は病気や怪我の内容によりけりですが、アニコム損保が公開している最新の統計データによると、平均金額は25,000円~35,000円の間で推移しているようです。ワクチン、フィラリア、ノミダニ薬など予防薬にかかった費用は除外されています。前年度に比べて急増している理由は、ステイホームで猫と一緒に過ごす時間が増えたことで病気の兆候に気づきやすくなったからかもしれません。
猫の年間医療費
猫の年間医療費推移棒グラフ  さらに以下は、ペット保険のアニコム損保が公開している統計資料「家庭どうぶつ白書2013」からの抜粋です。家庭どうぶつ白書2013猫1頭当たりの年間診療費(年齢別)グラフ  アニコム損保に契約した猫39,580頭が、2011年4月1日~2012年3月31日までの間に必要とした診療費用を元に、1頭あたりの年間診療費を年齢別に集計してあります。一言で医療費と言っても、年齢によって随分と開きがあることがお分かりいただけるでしょう。基本的に猫の年齢が上がれば上がるほど医療費も上がるとお考え下さい。

ペット保険料金

 飼い主の医療費負担を減らすため、ペットにも「ペット保険」というものがあります。猫の場合1ヶ月3,000~4,000円が相場です。 猫のペット保険
猫の年間ペット保険料金
猫のペット保険年間費用・推移棒グラフ  アニコム損保が公開している統計データ「家庭どうぶつ白書」の最新2022年版によると、年間のペット保険料金は30,000円程度のようです。2017年に4万円台だった医療費が、2018年以降急に2万円台に減った理由は、ペット保険への加入率が増えたからかもしれません。

オス猫の去勢手術費用

 飼い主が猫の繁殖を望まない場合、不要な妊娠を避けるために不妊手術という手段がとられます。料金は10,000~20,000円程度が相場です。2015年のデータ(PDF)では、中央値が「12,652円」となっています。
 オスの場合は去勢(きょせい=精巣を取り除くこと)することにより、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)、肛門周囲腺(こうもんしゅういせん)腫瘍、睾丸(こうがん)腫瘍などを予防する効果が期待できます。 また他のオス猫とメス猫を巡ってけんかをすることや、発情期における欲求不満ストレスを軽減することもできるなど、多くのメリットがあります。 オス猫の去勢手術 オス猫の生殖器の病気 オス猫の去勢手術では精巣の摘出が行われます。

メス猫の避妊手術費用

 飼い主が猫の繁殖を望まない場合、不要な妊娠を避けるために不妊手術という手段がとられます。料金は15,000~30,000円程度が相場です。2015年のデータ(PDF)では、卵巣切除が「19,833円」、卵巣子宮切除が「20,986円」となっています。
 メス猫の場合は卵巣(らんそう)と子宮(しきゅう)の摘出避妊手術を行いますが、生殖能力を失う代わり、発情期特有の神経質な行動が軽減されます。また子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)、乳腺腫瘍、子宮や卵巣の腫瘍などを予防することにもなります。
 手術のベストな時期について明確な結論はありませんが、最初の発情期を迎える前に、一度獣医さんに相談しておきましょう。 メス猫の避妊手術 メス猫の生殖器の病気 メス猫の避妊手術では、卵巣と子宮の摘出が行われます。

家財道具の修繕費用など

 ふすまを破られた、立ち鏡を倒して割った、テレビ台にぶつかってテレビが落下した…など、猫が原因で家財道具がおしゃかになることがあります。価格は内容によりけりですが、テレビやパソコンを壊されると高くつきます。
猫は一生を共にする家族の一員。衝動買い(飼い)する前に猫を飼う前に必要な条件をクリアし、飼育費用をしっかりとシミュレーションしておきましょう!安易な多頭飼いは崩壊につながりますので厳禁です。