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猫のしっぽ・完全ガイド~気持ちの読み方から動きのしくみまで

 猫のしっぽ(尻尾)について、構造・タイプから動きのしくみまでを写真や図を用いて解説します。気持ちの読み方がわかれば、猫マスターになれるかもしれません。

猫のしっぽの動きと筋肉

 猫のしっぽには色々な種類があります。一般的には18~23個の尾椎(びつい=しっぽを支える骨)と、しっぽを前後左右に動かす4つの筋肉、及び細かな動きをつかさどる8つの筋肉から構成されますが、長い尾をもつ種から全くしっぽの無いマンクス、短いしっぽが特徴のジャパニーズボブテイルまで様々ですので一概には言えません。 世界一長いしっぽを持つ猫「シグナス」  ちなみにギネス世界記録で最も長いしっぽを持つ猫として認定されているのは、ミシガン州の「シグナス」というメインクーンで、記録は44.66 cmでした。これほど長い尻尾を持っているにも関わらず、先端だけを器用に動かすことができます。
 以下では一般的な猫のしっぽの断面解剖図、及び筋肉の種類を動きとともに示します出典資料:Wada, 1994)
猫のしっぽの断面解剖図
猫のしっぽの筋肉・断面解剖図
  • 1:内背側仙尾筋内背側仙尾筋(ないはいそくせんびきん)はしっぽの上面についている筋肉。「内」とは体の正中線に近いという意味です。
    【しっぽの動き】左右同時に収縮すると、しっぽが上(背中側)に上がります。猫のしっぽがピーンと立っているときに動員されている筋肉です。右のみ、もしくは左のみの筋肉が収縮すると斜め上方に持ち上がります。
  • 2:外背側仙尾筋外背側仙尾筋(がいはいそくせんびきん)は、内背側仙尾筋と外側尾骨筋の中間に位置し、補助的な役割を果たす筋肉。どちらかの筋が損傷を受けてもこの筋肉が機能を補完してくれます。
    【しっぽの動き】内背側仙尾筋と連動した場合はしっぽが斜め上、外側尾骨筋と連動した場合はしっぽが横に動きます。
  • 3:外側尾骨筋外側尾骨筋(がいそくびこつきん)は尾椎一つ一つに付着する非常に小さな筋肉。
    【しっぽの動き】猫がしっぽをパタパタと左右に振るときに動員される筋肉です。また母猫が子猫をあやすときに見られるように、部分的に収縮させることで細かい「くねり動作」を生み出すこともできます。
  • 4:内腹側仙尾筋内腹側仙尾筋(ないふくそくせんびきん)はしっぽの下面(おなか側)に付いている筋肉。「内」とは体の正中線に近いという意味です。
    【しっぽの動き】左右同時に収縮することでしっぽを下(おなかの方)に引きこみます。けんかに負けたオス猫のしっぽを巻き込むときに動員される筋肉です。
  • 5:外腹側仙尾筋外腹側仙尾筋(がいふくそくせんびきん)は内腹側仙尾筋と内側尾骨筋の中間に位置し、補助的な役割を果たす筋肉。どちらかの筋が損傷を受けても、この筋肉が機能を補完してくれます。
    【しっぽの動き】内腹側仙尾筋と連動した場合はしっぽが斜め下、内側尾骨筋と連動した場合はしっぽが横に動きます。
  • 6:内側尾骨筋内側尾骨筋(ないそくびこつきん)は外側尾骨筋よりやや内側(体の正中線に近い位置)に付いている筋肉。
    【しっぽの動き】すぐ上についている外側尾骨筋と連動し、しっぽを横に動かします。しっぽの付け根をトントンしているときに気持ちよくて左右に振ったり、眠っているときにしっぽを丸めるのもこの筋肉です。
猫のしっぽは左右に6つずつ付いている筋肉の連動でさまざまな動き方を見せる 猫の尾椎は18~23個の骨からなる  上記した筋肉の作用により、猫のしっぽはまるでオーケストラの指揮者が振るタクトのように、先っぽまできれいに動かすことができます。こうした華麗な動きを司っているのは、内背側仙尾筋と外背側仙尾筋から伸びる長い腱(ケーブル)と、「尾骨神経」(びこつしんけい)と呼ばれる運動神経です。この神経は第1~第8までの尾骨の横から出て、しっぽ全体に分布しています。上に伸びる枝は背面の筋肉や皮膚に分布し、下に伸びる枝は腹面の筋肉と皮膚に分布しています。
 「猫のしっぽを引っ張ってはいけない」とよく言われますが、これは尾骨神経が「骨盤神経」「陰部神経」「下腹神経」といった他の重要な神経と、骨盤に近い場所で部分的に連結しているためです。尾骨神経に外力が加わると、その他の神経にも力が波及し、排尿や排便の障害、歩行の障害といった様々な症候群につながることがあります。これが「しっぽ引っ張り外傷」、もしくは「仙尾部外傷」(せんびぶがいしょう)と呼ばれる状態です。詳しくは当ページ内の「猫ふんじゃった症候群」というセクションをご覧ください。
NEXT:しっぽの形や種類

猫のしっぽの形や種類

 猫のしっぽはその形状によって様々ですが、以下では一般的な分類を示します。しっぽが極端に短いマンクスの遺伝子は、子猫の致死率や脊椎の奇形とも関連しているため、安易な繁殖はご法度です。

猫のしっぽのタイプ

形状で分類した猫のしっぽの種類・一覧図
  • 1: Full Tailフルテイルは通常の長いしっぽで、約25~30センチメートルです。
  • 2: Aerial Curled Tailエアリアルカールドテイルは中空でクルッとカールしたしっぽのことです。
  • 3: Flank Curled Tailフランクカールドテイルはカールしたしっぽが脇腹に垂れ下がるタイプです。フランクとは英語で脇腹を意味します。
  • 4: Flat-to-Back Tailフラットトゥバックテイルは折れ曲がったしっぽが、背中に沿って水平に伸びるタイプです。
  • 5: Kinked Tailキンクドテイールはしっぽの先がねじれているタイプです。
  • 6: Corkscrew(Piggy) Tailコークスクリューテイルはしっぽがスクリュー(豚尾)のようにカールしたタイプです。ブタのしっぽにも似ていることからピギー(子豚)テイルとも呼ばれます。
  • 7: Bob Tailボブテイルは6~7センチメートルの短いしっぽのことです。有名な猫種ではアメリカンボブテイルジャパニーズボブテイルなど、マイナーな猫種ではクリリアンボブテイルメコンボブテイルなどがいます。
  • 8: Rumpy Manxランピーマンクスはマンクスという種のうちの「ランピー」という亜種のもつ尾のことです。
 日本国内ではスコティッシュフォールドという品種が非常に高い人気を誇っていますが、この猫が耳折れの場合、かなり高い確率で骨軟骨異形成と呼ばれる遺伝疾患を抱えています。主な症状は手や足の先端に形成される「骨瘤」(こつりゅう)と呼ばれる骨の塊ですが、その他の症状として「しっぽの付け根が太くなって動かなくなる」というものも報告されています。 重度の骨軟骨異形成症を発症したスコティッシュフォールドの症例~全身のエックス線画像  耳折れのスコティッシュフォールドを飼育している場合、年齢とともにしっぽが太くなり、垂れ下がったまま動かさなくなるということがあるかもしれません。病気の詳しい内容については以下のページでも解説してあります。 スコティッシュフォールドに多い病気

猫のしっぽはなぜ短い?

 猫の中には短いしっぽや途中で折れ曲がったしっぽをもっている個体がいます。こうした短尾やかぎしっぽには、最低でも3つの遺伝子が関わっていることが明らかになっています。1つは、マンクスの極端に短いしっぽを形成する「T-Box」遺伝子、1つはジャパニーズボブテイルのしっぽを形成する「HES7」遺伝子、そして最後はいまだに発見されていない第三の遺伝子です。第三の遺伝子に関しては「猫の短いかぎしっぽを形成している遺伝子が判明」で解説してあります。
 猫の尾曲がりを形成する尾椎中の半椎体「T-Box」遺伝子はマンクスにしか見られない限定的なものですが、「HES7」遺伝子の変異は東南アジアや中国南部の野良猫にも見られる非常にありふれたものです。2016年に行われた調査では、「HES7」の遺伝子型が「C/T」のときは軽~中等度の短曲尾、「C/C」のときは重度の短曲尾が生まれることが明らかになっています。また、しっぽを短くしているのは尾椎(びつい)と呼ばれるしっぽの骨の減少と癒合、そしてしっぽをカギ状に曲げているのは尾椎の半椎体化であることも明らかになりました。 猫で見られる短曲尾のバリエーション一覧  現在、九州の長崎県では約80%の割合で尾曲がり猫が見られるといいます。この異常に高い尾曲がり率には、どうやら長崎の出島と上記「HES7」遺伝子が関係しているようです。
 江戸時代、鎖国中の日本では長崎の出島において、オランダ東インド会社との交易が特別に許されていました。この会社はインドネシアに支所を持っていましたが、船で航海する際の保険として、「猫を乗せる」という条項が含まれていたようです。猫の曲がり尾約半世紀前、ネズミしっぽ曲がりを遺伝学的に研究したことで知られる野澤謙氏(現:京都大学名誉教授)によると、東インド会社はネズミ捕りのうまい猫を現地から同乗させて来日し、その猫がいつの間にか長崎に居ついた可能性が高いとのこと出典資料:Nozawa, 1971)。もしこの仮説が正しいとすると、長崎における猫の短曲尾は、元々インドネシアあたりに暮らしていた猫が保有していた「HES7」遺伝子の変異によって形成されているという可能性が浮上してきます。またインドネシアと長崎県の両地において、なぜ猫の尾曲がり率が高いのかという疑問もすっきりと説明されます。
 日本に起源を持つジャパニーズボブテイルの短曲尾にも「HES7」遺伝子が関わっていることが明らかになっていますので、「東南アジアや中国南部の短曲尾猫→長崎の短曲尾猫(長崎猫)→ジャパニーズボブテイル」という流れで、「HES7」遺伝子が継承されてきたのかもしれません。

しっぽの長さと猫又伝説

 しっぽが曲がっていたり短い猫は、とりわけ江戸時代において多かったといわれています。「ネコの毛並み」(ポピュラーサイエンス)の著者である野澤謙氏によると、江戸時代の絵画に描かれた猫243頭のうち、何と約半数に近い122頭までもが曲がったしっぽを持っていたとのこと。こうした「尾曲がり猫ブーム」には、どうやら猫又伝説(ねこまたでんせつ)が関与しているようです。
 そもそも「猫又」(or 猫股)とは、日本の民間伝承や古典の怪談、随筆などに登場する猫の妖怪です。江戸時代に入ると、「人家で飼われている猫が年老いて猫又に化ける」という考えが一般化し、人の言葉を話したり二本足で歩いたり、果ては人を食い殺したりする化け物として恐れられるようになりました。時を同じくして、「しっぽの長い猫は、そのしっぽが二つに分かれて猫又に化ける」という迷信も広まったため、その反動として、しっぽの短い猫がもてはやされたのではないかと推察されています。 年をとると猫股になる 日本古来の猫股伝説が、短いしっぽの猫を選択繁殖させる要因だったかもしれない  江戸時代の日本において、この種のしっぽが不自然なほど頻繁に見かけられた理由は、上記「猫又伝説」に突き動かされた人々が、しっぽの短い猫を意識的に選択繁殖したからなのかもしれません。なお、その血統は今日、長崎県に生息する野良猫(長崎猫)や、「ジャパニーズボブテイル」という純血種の中に受け継がれていると考えられます。ジャパニーズボブテイル NEXT:しっぽの役割

猫のしっぽの役割

 猫の尻尾には様々な役割があります。犬の場合「犬種標準」(けんしゅひょうじゅん=その犬の持つべき理想的な姿)に合わせて、子犬の頃にしっぽを切り取ってしまうこともありますが、猫のしっぽを切ると大変なことになります(もちろん犬も大変でしょうが…)。以下では猫のしっぽがもつ代表的な役割です。

体のバランスを保つ

猫のしっぽは歩くときのバランス棒  猫のしっぽの役割としてはまず、動いているときの体のバランスを保つという点が挙げられます。
 1998年、4匹の猫を対象にした実験では、横木の上を歩いている猫の足元をずらした時の反応が観察されました出典資料:Walker, 1998)。その結果、横木がスライドした瞬間、しっぽがスライドとは逆の方向に素早く振れることにより、骨盤を元の位置に固定させて落下するのを防いでいる様子が捕らえられたといいます。またしっぽのない猫では、落ちる確率が明らかに高かったとも。こうした事実から研究者たちは、「猫のしっぽはバランスを立て直すのに役立っている」と結論付けました。
 この理屈ですと、しっぽの短い猫はややバランス感覚が劣るということになりますね。

防寒具

寒いときに猫は自分のしっぽを顔に巻きつけ、風雨や寒さをしのぐ  猫のしっぽの役割としては、防寒具という側面を無視できません。
 気温が15度を下回ると、猫は体を丸くして眠りますが 、そのときしっぽを丸めて顔を隠すような姿勢をとります。これは人間でいうと、ちょうど「マフラー」を首に巻いている状態といえるでしょう。このように、ふかふかのしっぽは状況によって防寒具としての側面も持っています。

マーキング

猫がしっぽをするつけるのは、甘えの表現というよりも、「においつけ」としての意味合いが強い  猫のしっぽは臭いを対象物にこすりつけ、自分の縄張りや所有権を主張するマーキングにも用いられます。
 猫の体には至るところに臭腺(しゅうせん) と呼ばれる、自分固有の臭いを発する器官があり、額の両側、唇の両側、顎の下、肉球、肛門、そしてしっぽなどに存在しています。猫がしっぽを巻きつけている光景をたまに見かけますが、こうすることでしっぽから発せられる自分のにおいを対象物に残しているものと考えられます。子猫ではアポクリン腺の匂いを母猫につけ、成猫では皮脂腺の匂いを異性につけるというのが基本パターンです。
 なお、特にオスの成猫のしっぽの上面に豊富に存在している皮脂腺に炎症が起こると、「尾腺炎」(スタッドテイル)という病的な状態になります。汚れが目立ったり臭いを発したりしますので、しっぽの付け根から中間あたりにかけてフケ、脱毛(はげ)、変色(黒ずみ)、イボ(しこり)がないかどうかを頻繁にチェックしてあげましょう。猫の尾腺炎

気持ちを表す道具

 猫のしっぽの役割としては気持ちを表現する道具という側面もあります。猫に言わせれば、「勝手にしっぽが連動するんだよ !」といったところでしょう。詳しくは次のセクションをご覧ください。
NEXT:しっぽに現れる気持ち

猫のしっぽから気持ちを読む

 猫のしっぽは左右に6つずつ付いた筋肉の働きにより、かなり自由に動かすことができます。その結果、猫同士だけでなく人間との間でも特殊な「会話」ができるようになりました。猫の祖先であるリビアヤマネコでは見られないしっぽの動きがあることから、人間によって家畜化されていく間に獲得した特殊な能力だと考えられています出典資料:Cafazzo, 2009)。以下は一例です。

しっぽをピーンと立ててすりよってくる

 しっぽをピーンと立ててすりよってくるという行為は、母猫に依存していた子猫時代の気分が、何かの拍子によみがえった時などに見られます。
 母猫は子猫のお尻をなめて排便を促したり衛生(えいせい)を保ったりしますが、そのとき子猫は「しっぽをピーン」と立てて母猫に身を任せます。つまり大人になった猫が「しっぽピーン」という行動を取ってすりよってきたとき、その猫の心理は子猫時代にタイムスリップしていると考えられるのです。 猫がしっぽをピーンと立てるのは庇護者に対して甘えている時  なおこの動作は優位猫→劣位猫ではほとんど見られず、劣位猫→優位猫という方向で多く観察されるといいます出典資料:Cafazzo, 2009)。飼い猫がしっぽを立てながら自分に向かってすり寄ってきた場合、おそらく人間のことを庇護者や保護者とみなしているのでしょう。言われてみれば確かに、ごはんの催促をするときによく見られますね。 しっぽを立ててすりよる

しっぽをふくらませて弓なりにしたり立たせる

 しっぽをふくらませるという行為は、怒りに駆られたり、逆に恐怖におののいているときに見られます。
 全身の毛やしっぽの毛を逆立てるということは、外敵に対して自分を大きく見せようとする「ハッタリ行為」です。ですからしっぽをふくらませていわゆる「タヌキしっぽ」(ポンポンしっぽ)を作っている猫は、相手を攻撃しようと威嚇しているか、怖さを隠すために怒ったふりをして相手を退散させようとしていると考えられます。 毛を逆立てて歯を見せる 防御反応を示す猫は体を横に向け、毛を逆立てて自分の体を大きく見せ得る  なおしっぽが膨らむ現象は正式には「立毛」(りつもう, piloerection)と呼ばれ、毛の根元に付着している立毛筋と呼ばれるとても小さな筋肉によって生み出されています。人間で言う「鳥肌が立った状態」と言えばわかりやすいでしょう。立毛筋が特に豊富に存在しているのは首の後ろ~背中~しっぽにかけてのエリアです。調節中枢は脳の中の視床下部と呼ばれる部位で、コリン作動薬に反応して散瞳、発声、立毛など、典型的な防御反応が起こることが確認されています出典資料:S.M.Brudzynski, 1981)。詳しくは以下のページでも解説してありますのでご覧ください。 猫の毛が逆立つ仕組み 猫における立毛反射の断面図

しっぽを足の間に挟んで体を小さく見せる

 しっぽを股の間に挟むという行為は、自分を小さく見せて敗北と服従を示すときに見られます。
 相手の怒りにこれ以上油を注がないよう、負けを認めてしまうときなどです。見たことの無い奇妙な物体や動物に出会って恐怖心を感じているときや、オス猫がけんかに負けたときなどに見られます。「しっぽを巻いて逃げる」とはよく言ったものです。猫がしっぽを巻いて逃げるのは降参のしるし

しっぽを根元からパタパタと振る

 猫が1秒間隔くらいで、根元から小刻みにパタパタとしっぽを振っているときは、いらだちやストレスを感じていると疑ってみるとよいでしょう。
 犬はうれしいときにしっぽをフリフリしますが、猫はちょうど逆の心理のときにしっぽをフリフリするとお考え下さい。飼い主がしつこく猫の体をなでようとしたり、子供が乱暴な抱き方をしたときなどに見られます。 しっぽを左右に振る  ちなみに2019年、セラピーロボットとして「Qoobo」という商品が発売されました。クッションをなでると付属のしっぽが左右にゆらゆら振られるという代物です。猫がのどをゴロゴロ鳴らしながらリラックスしているときにしっぽを振ることもありますので、こちらのパターンを機械で再現したのでしょう。
元動画は→こちら

呼びかけなどに対して2~3度軽くしっぽを振る

 猫の名前を呼んだにもかかわらず、2~3度軽くしっぽを振っただけで動こうとしないときは、「聞こえてるよ・・でも今は動きたくないんだ」といった返事としての意味合いを持ちます。ちょうど母猫が子猫をいなす感じに近いでしょう。
 なお日本の上智大学が行った調査により、猫は自分の名前を理解できることが示されています。報告によると、名前を呼んだときの反応はただ単に音の発生源に意識を向けたのではなく、母音と子音から構成される自分の名前という音響的な刺激を聞き分けている可能性が強いとのこと。詳しくは以下のページでも解説してあります。 猫は自分の名前を理解できるのか?
猫が自分のしっぽの先端をガジガジかじっている場合、何らかのストレスを抱えている可能性があります。「猫がしっぽをかじるのは心因性脱毛症のサインかも」を参考にして改善を試みて下さい。
NEXT:しっぽを踏んじゃいけない!

猫ふんじゃった症候群

しっぽ引っ張り外傷は、赤ん坊が猫のしっぽを引っ張ることなどが原因となる  「猫ふんじゃった症候群」とは、猫のしっぽに外傷が加わった時に現れるさまざまな症状のことです。正式には「仙尾部外傷」(せんびぶがいしょう, Sacrocaudal Injury)、もしくは「しっぽ引っ張り外傷」(Tail Pull Injury)と呼ばれます。猫と共同生活を送っている飼い主が、誤って猫のしっぽを踏んづけて怪我を負わせてしまう可能性は常にあります。ですからこの「猫ふんじゃった症候群」に出くわす可能性は、誰もが持っているわけです。

発症メカニズム

 腰から下の部位における猫の神経は、細い神経の束がまるで馬のしっぽのように後方に向かって伸びています。「馬尾」(ばび)と呼ばれるこの神経の束は、膀胱、肛門、後足の神経などと所々で連結しているため、先端を引っ張ってしまうと、その場所のみならず他の部位にも障害が発生することがあります。このように、一部分に加わった外力が、遠く離れたその他の部位にまで影響を及ぼしてしまった状態が「猫ふんじゃった症候群」です。しっぽを触ると怒る猫がいたり、猫のしっぽを絶対に引っ張ってはいけないと言われている理由はここにあります。
猫の脊髄・馬尾・尾骨神経の位置関係模式図
馬尾症候群
 「馬尾症候群」(ばびしょうこうぐん)とは、腰から下に向かって伸びる神経の束に圧迫や炎症が加わり様々な症状を示した状態のことです。「猫ふんじゃった症候群」(or しっぽ引っ張り外傷)が、発症原因に着目した表現で、主に犬や猫に用いられるのに対し、「馬尾症候群」は原因部位に着目した表現で、主に人間に対して用いられるという特徴があります。なお人間の場合、しっぽの外傷が原因で馬尾に障害が発生するという「下→上」パターンありえませんが、犬や猫の場合は、腰周辺の病変が馬尾に影響与える「上→下」という人間的なパターンも大いにあり得ます。猫の馬尾症候群

仙尾部外傷の症状

 猫ふんじゃった症候群でみられる主な症状は以下です。しっぽの神経に加わった外力が、それに連なる「骨盤神経」、「下腹神経」、「陰部神経」、「坐骨神経」といった末梢神経にまで波及してしまうことで発症します。
猫ふんじゃった症候群・主症状
  • しっぽを触ると痛がる
  • しっぽが動かない+感覚がない
  • 骨折脱臼でしっぽが曲がっている
  • 自力でおしっこができず、膀胱に尿がたまる
  • 排便のコントロールができず、垂れ流す
  • 後足の動きがおかしい
しっぽ引っ張り外傷を負った猫のレントゲン写真

仙尾部外傷の原因と予防

 猫のしっぽに外力が加わってしまう状況は様々です。外を自由に歩き回っている猫ではもちろんのこと、家の中で暮らしている猫も常に危険にさらされているといえます。しかし原因さえわかっていれば、予防策を講じることはさほど難しくはありません。室内環境を猫にとって安全な「キャットプルーフ」に整えたり、猫を安易に外に出さないなどの配慮が重要となってきます。
猫ふんじゃった症候群・原因と予防法
  • しっぽを引っ張った子供が面白半分で猫のしっぽを引っ張ったり、悪意の第三者が虐待目的で引っ張ることがあります。→「幼い子供と猫を二人きりにしない」、「猫を出歩かせない」などで予防できるでしょう。
  • しっぽを踏んだ前方不注意の飼い主が、足元に伸びているしっぽを誤って踏んづけてしまったり、布団の下にもぐりこんでいる猫に気づかずそのまま踏んづけてしまうというパターンがあります。→「常に足元を確認する」という習慣をつけることで予防できるでしょう。ただし、「猫の首に鈴を付ける」という方法は、音響ストレスの原因になるためお勧めできません。
  • しっぽをドアに挟んだ家の中の安全対策が万全でないと、ドアを閉めた拍子に猫のしっぽを挟みこんでしまうことが起こりえます。→「ドアストッパーを付ける」ことで予防できるでしょう。ドアの下に挟むタイプや上に挟むタイプなどが出回っています。
  • 交通事故に遭った外を自由に出歩いている猫は常に交通事故に遭う危険にさらされています。事故に遭った猫はタイヤにしっぽを巻き込まれ、強い力で圧迫されたり引っ張られたりします。→「猫を安易に外に出さない」ことで予防できるでしょう。
  • お尻から落下した高い場所から落下した猫は、通常「立ち直り反射」により足の裏で着地することができます。しかしあまりにも高い場所から飛び降りた場合や、たまたまお尻から落ちてしまった場合などは、この「立ち直り反射」では補いきれず、尻餅をついてしっぽに衝撃が加わってしまうことがあります。→「高い場所で日向ぼっこさせない」、「面白半分で猫を放り投げない」などで予防できるでしょう。
  • しっぽを犬にかまれた犬と同居している猫が遊びの延長で噛まれたり、外をほっつき歩いている猫が散歩中の犬や野良犬に敵対心を持って噛まれてしまうことがあります。→「猫を安易に外に出さない」ことで大部分は予防できるでしょう。犬と猫の仲が悪い場合は、室内では常に飼い主が監督し、外出する場合は部屋を別々にするなどの特殊な配慮が必要となります。

仙尾部外傷の治療

 猫ふんじゃった症候群に対して行われる主な治療は以下です。外傷から48時間経った時点で、しっぽの付け根5cm近辺の痛覚が残っている場合は、膀胱の機能も回復しやすいと言われています。また、しっぽに外傷を負った51頭の猫を対象とした調査では、最初の診察で肛門の反射や股間の感覚が残っている場合、2日から30日以内(平均13日)で、排尿の自力コントロールができるようになったとも。では感覚がない猫の場合、排尿機能の回復は絶望的かというとそういう訳でもなく、たとえ痛覚が消失していても、約60%の猫では膀胱の機能を取り戻したというデータもあります出典資料:Meeson, 2011)
猫ふんじゃった症候群・主な治療法
  • 排泄の補助しっぽの感覚が残っている場合は、さしあたり排泄行為に伴う障害を軽減することが最優先されます。具体的には、尿道カテーテルや膀胱カテーテルで膀胱内に溜まった尿を定期的に空にしたり、浣腸や軟便剤で直腸を空にするなどです。排尿に関しては、手で膀胱を圧迫することによって促すこともできますが、尿が残りやすいため膀胱炎の原因になるとされます。
  • しっぽの切断しっぽを上げることができない場合、切断処置がとられることもあります。これは、付け根に糞便が付いて不衛生になったり、しっぽを引きずって「馬尾」に再び外力が加わってしまう可能性があるためです。ただし、しっぽの感覚や運動能力は、7日から150日(平均31日)で回復するというデータがあることから、あまりにも早い段階での手術は推奨できないとされます。 しっぽ引っ張り外傷闘病記
猫は必ず室内飼いをして外には出さないで下さい。しっぽの怪我だけでなく、虐待や感染症などさまざまな危険が待ち受けています。詳しくは「猫を放し飼いにしてはいけない理由」にて。